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<公営交通>京都市バス、赤字転落の危機 京阪バス撤退で

11/9(金) 10:02配信

毎日新聞

 京都市交通局は、京阪バスが2019年度で事業から撤退した場合、現状の路線やダイヤを直営で維持するには新たに130~140人の運転手が必要と試算する。割高な公務員の運転手はコスト増となる上、年間50億円の民間委託料も人材確保のため25%程度膨らむ見通し。03年度から黒字が続いた市バス経営が赤字に転落する危険性が高まっており、業界関係者からは「受委託方式のメリットは失われつつある。市は方針転換を迫られている」との声が上がっている。

 人手不足は全国的な問題だ。バスの運転に必要な大型2種免許の保有者数は17年時点で約92万人と、10年前より約19万人減り、府内でも約4000人減少している。市交通局は採用枠を拡大し、18年度は前年比約30人増の約75人を予定。京阪バスの撤退を受けて19年度はさらに増やし、100人以上を採用する方向で検討している。担当者は「運転士や整備士不足は深刻。特に2~3年前から急激に労働人口の減少を感じる」と話す。

 直営の市バス運転手は公務員のため、平均月給約48万円(17年度末)。業界関係者によると、民間に比べ約8万円高いという。さらに、他の民間バス会社5社も人材確保のための必要経費として受託金額増を要求しており、現在年間50億円の委託料は19年度以降、約12億円増加する見通しだ。

 市バス経営は受委託方式を採用することで経費を節減し、黒字を確保してきた。現行方式に切り替える前の00年度は約52億円の赤字だったが、03年度には約8億円の黒字に転じ、以降15年連続の黒字。最大約163億円あった累積赤字も解消し、17年度は22億6900万円の経常利益を計上した。

 人手不足によるコスト増加を受け、市の担当者は「赤字経営に転落する可能性は否定できない」と危機感を募らせるが、「事務員などの経費も考慮すれば、現行方式のメリットはまだある。受託業者がいる限りは続ける」としている。

 一方、業界関係者は「事業規模が大きい民間バス会社にとっては、受託料が一定で営業努力が反映されない受託事業はうまみが少ない。人手不足が続く中、市が新たに公募しても複数の企業が応じなければ安く委託する交渉はできない。市は徐々に直営化路線を増やす方針転換を迫られるのではないか」と指摘する。【飼手勇介】

最終更新:11/9(金) 10:13
毎日新聞

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