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<徳島>ゴッホの消えた自画像、陶板で再現 大塚国際美術館

11/9(金) 10:43配信

毎日新聞

 ゴッホ(1853~90年)唯一の全身自画像で、1945年ごろ所在不明となった名画「タラスコンへの道を行く画家」(1888年)を、大塚国際美術館(徳島県鳴門市)が陶板複製画で再現した。今月3日から常設展示されている。実物を所蔵していたドイツの博物館が提供した1930年代のものとみられる写真を基に制作し、当時の額縁も再現した。同じ作品を2点つくり、この博物館に1点を寄贈するという。【大坂和也】

 作品は縦48センチ、横41.8センチの油絵で、複製画はゴッホの「ヒマワリ」全7点をそろえたスペースに展示。南仏アルルの強い日差しを感じさせる濃い影を地面に映しながら、画材道具を抱えたゴッホが麦畑の広がる道を歩く様子が描かれている。県内の友人と3人で訪れた奈良県平群町、主婦、立石貴美子さん(78)は「絵を描きに出かける様子に親しみが湧く。行方が分からないのは残念」と話していた。

 美術館によると、作品は1912年から、ドイツのカイザー・フリードリヒ美術館(現・マグデブルク文化歴史博物館)が所蔵。第二次世界大戦中に戦火を避けるため、他の作品と共に近郊の岩塩坑へ移されたが、その後は行方が分からなくなった。塩坑は封鎖されており、現在は捜索することができない。

 45年に戦火の犠牲になったと考えられているが、同じ場所に保管された資料がアメリカで発見された例もあることから、どこかで現存している可能性もある。マグデブルク文化歴史博物館のトビアス・ヴォン・エルスナー前副館長は「今回の再現で注目を浴びることで、作品発見につながる情報が得られるかもしれない」と期待を寄せているという。

 再現の計画が浮上したのは今年3月で、「ヒマワリ」7作品の陶板複製画を見たイギリスのゴッホ研究の第一人者、マーティン・ベイリー氏が提案した。同美術館が行方不明の作品を再現するのは、1945年の阪神大空襲で焼失した「ヒマワリ」に続き2例目。

最終更新:11/9(金) 11:00
毎日新聞

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