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鉄人という言葉が似合わない男の鉄人記録 G大阪MF遠藤が10日に通算600試合出場へ

11/9(金) 21:17配信

スポーツ報知

 G大阪の元日本代表MF遠藤保仁(38)が、10日の湘南戦(パナS)でフィールドプレーヤー初のJ1リーグ通算600試合出場を迎える。元日本代表GK楢崎正剛(42)=名古屋=が持つ歴代最多の631試合に次ぐ、大台への到達。そんな大記録達成を前に、9日の前日練習で調整後の本人は「至って普通です。あまり(記録は)気にしていないですし、連勝を伸ばせればいい」と普段通りのリラックスした表情を見せていた。

 日本代表でも歴代最多の152キャップ。通常、試合出場数の多い選手には鉄人という代名詞がつけられることが多いが、彼を鉄人と呼ぶ人は誰もいない。それはパスを主体に、自分がというよりは周りを動かすプレースタイルや、誰もが「マイペース」と口をそろえるのんびりとした性格が、鉄人という言葉にマッチしないというところもあるだろう。

 600という数字を積み上げてきた理由を、本人は「けがで離脱することが、ほとんどないのが大きいのかなと思います」と語る。確かに06、08年にウイルス性肝炎を患っての離脱はあったが、けがで長期離脱したことが一度もない。しかし本人は自身の体を「至って平均的」と表現する。確かに筋骨隆々といったタイプではなく、筋肉が特別柔らかいわけでもないと言う。失礼を承知で書くが、体脂肪率はサッカー選手の中ではやや高めのはずだ。大きなけががない理由を、本人は「そればっかりは解明できないですね」と話す始末。理由を探したいこちらとしては、訳が分からなくなる。

 その理由を知りたくて、本人を諦めてチームメートを取材した。G大阪でも日本代表でもともにプレーしてきた元日本代表MF今野にしつこく聞くと、悩み抜いた末に「やっぱり、ヤットさんはなんか最終的に自分を信じてますよね」と教えてくれた。「自分を信じていて、自分が良いと思ったらそれをやる。いろんな話は聞くと思うけど、自分が違うと思ったら絶対にやらない。そういう信念は強いと思う」。

 遠藤は最新のトレーニングやサプリメントにはさほど興味を示さない。トレーナーのマッサージもほとんど受けず「疲労回復にはジョグとストレッチが一番」。遠征先の部屋では10年以上も前からバックに忍ばせている野球の硬球で足裏を、ストレッチポールで筋肉をほぐす“アナログ派”だ。ルーチンは練習後にゆっくりと時間をかけるジョグと、ジムで行うストレッチと体幹トレーニング。決して派手ではないが、これと決めた道を淡々と進み続けるスタイルが、大きなけがから身を守っていると、こじつけることはできそうだ。

 さらに取材を進めると、G大阪のチームメートで遠藤と仲の良い21歳DF野田が「ヤットさんはけがに強いというより、けがをしても当たり前のように試合に出るところがすごいと思います」と教えてくれた。ある時期、遠藤は右足首を痛め、十分なキックができなかった。すると「じゃあ左足でやるわ」と言い放ち、そのまま左足を中心としたプレーで試合に出続けたという。本人も「(このけがで)よくやったな、という試合も100試合ぐらいはあると思います」と言うように、けがをしないのではなく、けがをしても休まない。チームに迷惑がかからないと判断すれば、けがをうまくごまかしながらでも簡単にはポジションを明け渡さない。そんな強さが、長くレギュラーの座を守り続ける理由のひとつだろう。

 近年は日本代表DF長友らの影響もあり、近年はトレーニングや食事にストイックに取り組む選手が増えた。しかし遠藤は「ストイックなタイプではないですよ。僕はそんなストイックにやったら、それで疲れちゃうかもしれない」と笑う。いつも自然体で、柔らかい雰囲気を醸し出している背番号7に、“鉄人”という言葉は似合わない。しかしその体には、誰よりも固くて太い“鉄の芯”が通っているはずだ。そうでなければ、フィールドプレーヤーとして前人未到の600試合出場を達成できる理由がわからない。(G大阪担当・金川 誉)

最終更新:11/13(火) 11:39
スポーツ報知

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