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ノーベル物理学賞技術が生み出した、地上最強レーザー「BELLA」を見てきました

11/9(金) 8:11配信

ギズモード・ジャパン

10月2日に発表された今年のノーベル物理学賞は、どうもただの「すごい技術」というだけではなさそうです。

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革新的なレーザー研究が、どこにでも見られる「ユビキタス」なツールとして世界に普及した、歴史的偉業が評価されたものです。受賞が発表されたと同時にさっそく米Gizmodoでも「Berkeley Lab Laser Accelerator(バークレー・ラボ・レーザー加速器)」、通称「BELLA」の訪問を計画しましたよ。ノーベル賞受賞で脚光を浴びた技術を採用した、今地球上でもっともパワフルなレーザーパルス加速器です。名前を聞いただけでワクワク気分が加速しちゃいますね。

ノーベル物理学賞を共同受賞したのは、以下の3人。

・アーサー・アシュキン氏(米ベル研究所)
・ジェラール・ムル氏(仏エコール・ポリテクニーク)
・ドナ・ストリックランド氏(カナダ・ウォータールー大学)

ドナ・ストリックランド氏は55年ぶり歴代受賞3人目の女性となります。

このBELLAは、 ストリックランド氏とムル氏によって開発された「チャープパルス増幅(Chirped Pulse Amplification)」というレーザー増幅技術を採用しています。これらの装置は卓上に載るほど小さいという意味である“テーブルトップ”粒子加速装置をさらにパワーアップするもので、原子を画像化する超顕微鏡などに応用できます。これは物理学に秘められた科学の可能性をさらに解き放つものでもあります。

「レーザーを組みたてた人の話やレーザーによって導き出される科学についての人の語りを聞くにつけ、レーザー技術というものは科学の分野に大きな改革をもたらすことができる素晴らしいものなのだな、といつも思っていたものです」とカナダ・ウォータールー大学のドナ・ストリックランド氏。米Gizmodoのインタビューに答えてくれました。

レーザーって?

電球はさまざまな波長をあらゆる方向へと送り出すものですが、レーザーは違います。(訳注 : レーザーとは Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字で、外部からエネルギーを吸収した原子・分子は低いエネルギー状態から高いエネルギー状態・励起状態に移ります。このときにエネルギー差に相当する光を放出します。人工的に誘導されて放射される光を誘導放出と言います)原子は電磁波と相互作用して誘導放出を起こし、光の最小単位である陽子(水素原子核)のビームを作り出します。

通常、原子は光子となって放射線を吸収します。これにより電子を高エネルギー状態にすることができ、原子を低いエネルギー状態に誘導することで、光子を放出させることができるのです。これを「誘導放出」と呼んでいます。ある媒質(編注:物理変化を伝える役割をするもの。たとえば、音の媒質は空気です)において十分な量の電子を励起状態にすると、新しい光子は電子を低いエネルギー状態にし、光子を吸収することなく放出します。ある波長、位相、方向が調整して与えられた光子は、同じ特性を持つ光子を放出するために励起状態の電子を誘導します。

最新のレーザーは結晶などの媒質にある、電子を励起するための投入エネルギー源から構成されます。結晶は合わせ鏡のような装置の間に置かれ、そのひとつは部分的にのみ光を反射します。光はその合わせ鏡を跳ね返り、誘導放出を続けます。これにより単一色のビームが鏡の一部を通って装置を励起するのです。

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