ここから本文です

まったなし。消費増税が延期できなかった安倍首相の背景

11/9(金) 9:00配信

THE PAGE

 安倍首相が消費税の10%増税を正式に表明しました。安倍氏はギリギリまで増税延期を探っていたとも言われますが、3選が決まってすぐというタイミングで増税の決断を行いました。背景にはどのような事情があるのでしょうか。

 これまで消費増税は景気対策からたびたび延期されてきましたが、2019年の10月に予定されている10%への増税についても、安倍政権は延期を決断するのではないかとの予想が一部から出されていました。

 しかし安倍首相は10月15日の臨時閣議において予定通り消費税を10%に引き上げると表明。景気が減速しないよう十分な対策を取るよう指示しました。3選が決まってすぐの増税表明に一部からは驚きの声が上がっています。景気減速懸念がある中、安倍政権が消費増税を素早く決断したことの背景には、社会保障改革が待ったなしという切実な事情があるようです。

 安倍氏は消費増税の表明に先立つ10月5日、自らが議長を務める「未来投資会議」において、生涯現役社会の実現に向けて、定年を65歳以上に引き上げる方針を打ち出しました。同時に社会保障制度を全世代型に改革するための工程表の作成も指示しています。定年の延長と社会保障制度の改革、そして消費増税はすべてセットになっていると考えた方がよいでしょう。

 現在、日本の公的年金は財政状況が年々厳しくなっており、高齢者が受け取る年金の額が、現役世代が支払う保険料の額を大きく上回る「赤字」が続いています。今の年金制度は税金による補填がなければ維持できませんから、財政当局は消費税の増税を強く望んでいます。

 安倍首相は3選を果たしましたが、ライバルだった石破茂元幹事長が意外に得票を伸ばすなど、政権基盤は以前ほど盤石ではありません。安倍氏個人の悲願である憲法改正を実現するためには、党内に敵を作ることは得策ではなく、反対の声が根強くあった増税延期というプランは選択できなかったものと思われます。

 しかしながら、消費増税を実施しただけでは、公的年金の問題は解決しないというのが専門家の一致した見方です。政府は公式には表明していませんが、定年の延長に合わせて、年金の支給開始年齢を現行の65歳から68歳に、さらには70歳に引き上げると予想されています。生涯労働できる環境整備を行うことは重要な施策ではありますが、生涯労働しないと生活できないというのが現実のようです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:11/9(金) 9:00
THE PAGE

あなたにおすすめの記事