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心の傷 いまだ癒えず 愛楽園入所者アンケート〈解説〉

11/10(土) 10:29配信

琉球新報

 国立療養所「沖縄愛楽園」の開園80年に合わせ、琉球新報社が実施した入所者アンケートで、ハンセン病に対する「差別が今もある」とした人は66・1%と過半数に達した。誤った国策によって生じたハンセン病に対する社会の偏見と差別の根深さを改めて示した。国は2001年の国賠訴訟で敗訴した。国が元患者の名誉回復を約束し、謝罪して約20年、その取り組みは弱い。入所者の平均年齢は84歳を超えた。尊厳回復に残された時間は少ない。今もなお沈黙せざるを得ない元患者の苦しみにもう一度、向き合うことが求められている。

 国は1907年、「ライ予防ニ関スル件」を公布し、31年に「癩(らい)予防法」を制定。強制隔離を進めた。ハンセン病を「国辱病」とし「浄化」の名の下に患者の人権と尊厳を奪った。強制隔離は「らい予防法」(53年施行)が96年に廃止されるまで続いた。

 愛楽園外で「生活できない」と答えた人は69・6%で、そのうち園内で暮らす方が「精神的に楽だ」とした人は84・6%に上った。園によると、園入所者の平均年齢は84・2歳。アンケート回答者の平均年齢は84・02歳で、入所歴の平均は56年。強制隔離の末、高齢化とともに入所者が園に頼らざるを得ない境遇に追い込まれたと言える。

 09年には元患者の名誉回復などを定めた「ハンセン病問題基本法」も施行されたが、アンケート結果は差別と偏見で深く傷つけられた元患者の心の傷が、いまだ癒えないことも示す。

 「家族への被害があった」との回答は62・5%だった。現在、元患者や家族が国に謝罪と損害賠償を求めた「家族訴訟」が熊本地裁で審理中で、県内在住の244人も原告に加わる。国は家族に対する影響を否定し争っているが、今回のアンケート結果に見られるように、当事者の声を受け止める必要がある。

 ハンセン病は薬で完治する感染症だ。一般的に知られる感染症の一つ、インフルエンザに比べて感染力、発病力は極めて弱い。当事者意識を持ち、ハンセン病とその歴史への正しい理解が社会に求められている。 (佐野真慈)

琉球新報社

最終更新:11/11(日) 9:33
琉球新報

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