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古川龍生の版画71作品 12年ぶりに栃木県立美術館で企画展

11/11(日) 7:55配信

産経新聞

 小山市出身の版画家、古川龍生(りゅうせい)(1893~1968年)の作品を展示する企画展が宇都宮市桜の県立美術館で開かれている。12月24日まで。同館の石田友里研究員(27)は「自然に優しい、穏やかなまなざしが感じられる作品は繊細で、美しい色合いは水彩画のよう」と解説する。

 没後50年を記念した企画展で、同館所蔵の作品71点と画集、スケッチ帳などの資料が並ぶ。本格的な展示は遺族から作品を寄贈された直後の平成18年以来。

 生涯で約400点の作品を制作したとみられるが、版画でありながら2、3枚ずつしか刷られていない。石田さんは「父親は画家になることに反対だった」という。洋画ではなく、日本画なら認め、「絵を売らない」という条件も付けられた。龍生は結局、作品を売って生計を立てることなく、孤高の版画家として生涯を送った。

 病気で旧制宇都宮中学校(現県立宇都宮高校)を中退。神奈川・逗子での療養生活の間に版画と出合ったとみられ、文献資料では確認できないものの「初期の作風は(そのころ活躍していた)竹久夢二の影響も明らか」と石田さん。

 10代のころから独学で版画に取り組みながら、30歳過ぎてデビュー。終戦前後も中断期間がある。郷里に疎開後、農業協同組合設立に尽力するなど地元出身の名士として多忙な日々を送った。作品とほぼ同じ下書きもあり、丁寧な下書きをした上で木版を彫っていたことが分かる。一方、晩年は下書きをせず、直接木版を彫ったダイナミックな作風へと変化。同展ではさまざまな作風が見られる。

 企画展「工芸の教科書」を同時開催。月曜休館。

最終更新:11/11(日) 17:35
産経新聞

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