ここから本文です

<豊洲市場1カ月>客足遠のき、仕入れ代行が繁盛

11/10(土) 20:47配信

毎日新聞

 築地市場が移転した豊洲市場(東京都江東区)が開場して11日で1カ月。衛生・温度管理が徹底した新市場への期待もあり、取扱量は築地に比べて微増した。一方、築地から2.3キロ移動した影響で、「市場に足を運ぶ客が減った。電話でのやり取りだけでは信頼関係が崩れかねない」との声も。飲食店や小売店の仕入れを代行する業者には注文が殺到している。【市川明代、森健太郎】

【写真特集】豊洲へ引っ越し ターレが都内を大移動

 豊洲の10日までの青果取扱量は約2万3000トンで、築地時代の前年同期に比べ8%増。水産物も前年同期比4%増の約3万1000トンと堅調だ。

 壁がなかった築地と違い、空調も完備された豊洲は、産地から届く魚や青果を低温のまま出荷できる「コールドチェーン」に対応している。「鮮度が保てるようになりスーパーや外食チェーンの期待も大きい」と、青果卸会社「東京シティ青果」の岡田亨常務は話す。市場にはスーパーなどが店頭ですぐに販売できるよう商品の包装や小分けをする施設も備えられた。食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」にも対応しており、同社は取扱量を築地時代より3割増やす計画だ。

 豊洲には、仕入れ量が少なく、公共交通機関を乗り継いで来る飲食店主も多い。都心からは新交通ゆりかもめと路線バスだけ。銀座からは地下鉄やゆりかもめで約30分ほどはかかる。

 「来るのがおっくうだ」。銀座で和食店「旬菜青山」を営む青山公彦さん(50)はハマグリやノドグロで重くなった竹かごを肩にかけてため息をつく。「仕入れは週3回でいいかな、とも思う。でも魚は自分の目で見なきゃ」。不便さを理由に閉店を決めた高齢の同業者もいるという。

 すし種専門の仲卸「丸金水産」の金子行晴さん(76)は「魚を見ずに電話注文するようになった客もいる。店に来れば買うつもりのなかったものにも手を伸ばしてくれる。単価が大きいから、それがなくなると痛いね」とこぼす。高級鮮魚を扱う仲卸の社長(55)は「魚は相場の変動が激しくて、値段が1週間前と全く違うこともある。電話で値段を言うと『そんなに高いの』と言われちゃう。変にもうけていると不審がられたら困るね」。電話やファクスでの注文は送料がかかり、「買ってもらえる額が減る」との声もある。

 インターネット上で小規模の飲食店から注文を取り、仕入れを代行している「フーディソン」(中央区)は市場移転後、新しい客が以前の3倍近いペースで増えている。

 登録店舗は約1万軒。当日午前3時まで注文を受け、仕入れた鮮魚を配送業者を通じて小売店に届ける。手数料は1回500円。注文額が1万5000円を超えれば無料だ。サイト担当の伊藤貴彦さん(34)は「まとめて仕入れるからコストを抑えられる。『豊洲は不便だ』と感じている飲食店は多く、自分たちにとってはチャンスだ」と話している。

最終更新:11/11(日) 0:12
毎日新聞

あなたにおすすめの記事