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医療用麻薬で日本を壊さないために

11/10(土) 11:02配信

BuzzFeed Japan

医療用麻薬の威力
私は、複数の病院でがんの痛みに苦しむ患者を診察しています。医師としては偏っていると思うのですが、風邪の患者を診察するよりも、がんの痛みに苦しむ患者を日常的に診察しています。

そして、毎日のように医療用麻薬を処方しています。医療用麻薬はオピオイドとも言われ、モルヒネに代表される強力な痛み止めです。正しく使うことで、がんの痛みは相当抑えることができます。

医療用麻薬は、どのように患者を苦しみから救うか、まず知っていただこうと思います。
【寄稿:新城拓也・在宅緩和ケア医 / BuzzFeed Japan Medical】

医療用麻薬との出会い 痛み治療が普及していなかった頃

今では当たり前のように使っている医療用麻薬ですが、最初に私が治療をした患者の事は今でも鮮明に思い出すことができます。

その患者は肺がんが骨に転移し、相当な痛みで苦しんでいました。毎日「痛い、こんなに痛いのならいっそ殺してくれ!」と叫んでいたその声を今でも思い出します。

その頃は、痛みの治療に関する知識はまだあまり普及しておらず、治療を受け持っていた私は、痛いと言ったときに、それなりに効く痛み止めを注射するという、今では考えられないような幼稚な治療を繰り返していました。

そして「痛みが我慢できなくなったときだけ、1日に3回だけ注射をします。あとは我慢して下さい」と患者に説明していたのです。今思い出すと、とても申し訳ないことをしました。

しかし、何か方法があるはずと緩和ケアに関する一冊のテキストを購入し、その中に書いてある治療を見よう見まねで、その患者のために実践しました。

初めて、モルヒネの注射を少しずつ投与し、数時間もしないうちに痛みがほとんどなくなるという経験をしました。患者と私は大いに喜びました。わずかな時間とちょっとした治療で、これほどの威力があるのかと、その時から緩和ケアの力、そしてその面白さに引き込まれていきました。

痛みが強くなってからではなく、あらかじめ痛み止めを使うことで、痛みを患者に感じさせないようにすること、痛みは我慢せず痛み止めを使ってもまだ痛いときには痛み止めを追加してよい、が緩和ケアの基本でした。

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最終更新:11/10(土) 11:02
BuzzFeed Japan

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