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篠山住民投票11日告示 市名変更の舌戦一転、慎重に 法抵触の恐れ

11/11(日) 8:30配信

神戸新聞NEXT

 「丹波篠山市」への市名変更の賛否を問う兵庫県篠山市の住民投票が11日に告示、18日に投開票される。市民が「賛成」「反対」を呼び掛ける「投票運動」は本来、原則的に自由だが、出直し市長選が同日実施されることから、公職選挙法(公選法)に抵触する可能性が出ている。長年の市名問題を解決する住民投票だが、告示後は市民の訴えが低調になるかもしれない。

【写真】市名変更に賛成、反対の両グループが“最後の街頭行動”


 告示を2日後に控えた9日早朝、JR篠山口駅周辺では賛否双方の市民グループが通勤者らにそれぞれ投票を呼び掛けた。

 子育て世代の女性らでつくる「丹波篠山市を実現させる会」は「賛成」への投票を促すビラを配布。花本憩会長(58)は「会としての活動はこれが最後。市長選の応援と誤解されないよう、告示日以降は個人で呼び掛けます」と話す。

 その近くでは「The SASAYAMA~篠山に新しい風を」の久保佳代発起人(51)が市名維持を訴えるビラを配っていた。「告示後はSNS(会員制交流サイト)での情報提供に集中します」

 公選法は候補者間の公平性を保つため、ビラの枚数制限▽戸別訪問の禁止▽投開票日の街頭演説の禁止-など、「選挙運動」を細かく制限する。

 一方の住民投票は市条例に基づくため、「投票運動」の規制は緩やかだ。原則的にビラの枚数制限はなく、戸別訪問も自由。投票直前まで呼び掛けができる。

 大阪市で2015年、大都市地域特別区設置法に基づいて実施された「大阪都構想」を巡る住民投票では、投開票当日も街頭での呼び掛けが行われ、テレビCMが流れていた。

 だが、篠山市選挙管理委員会は組織での投票運動について「受け手が市長選の選挙運動と混同すれば公選法に抵触するかもしれない」と注意喚起する。

 例えば、民家を戸別訪問して「市名変更に賛成を」と呼び掛けた場合。住民投票の単独実施であれば問題がない行為だ。だが市長選で「変更実現」を主張する候補者がおり、受け手が「特定候補への応援だ」と感じた場合は公選法違反になり得るという。

 一方で「市名変更に反対を」と訴えるケースも、特定候補に投票しないよう依頼されたと受け手が感じれば、違反になり得る。

 市選管は「気になる場合は事前に問い合わせて」と呼び掛けるものの、異例の同日実施に「一概に『これが駄目』とは言えない」とこぼす。

 住民投票の実施が決まった後、市内では賛否を訴える複数の市民グループが結成され、議論は盛り上がるかに見えた。だが、公選法の縛りに配慮し、告示後は団体としての活動を控える場合が多そうだ。

 「市名を『丹波篠山市』にする市民の会」は公選法に抵触しないよう、戸別訪問マニュアルを作成。市内各地で賛成への投票を呼び掛けてきたが、7日限りで終了した。同会の田中義治さん(51)は「告示後に考えていた活動も前倒しした」と慎重な姿勢だ。

 反対派の「篠山市の市名を守る会」も告示前にビラの全戸郵送を済ませた。梶原周逸代表(83)は「純粋に市名変更の問題点を訴える内容だが、告示以降に届けば公選法に抵触するかもしれない」と気を使う。今後は「市民の決断を静かに見守る」としている。

 同市の市名問題は、賛成派、反対派それぞれが長年熱く主張や意見を交わしてきた。住民投票も、市民団体が1万人以上の署名を集めて実現させた。だがその熱意に反し、告示後は静かな戦いになりそうだ。(金 慶順、尾藤央一)

最終更新:11/11(日) 8:49
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