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1人前5000円超のウナギまで 干物は「ごちそう」に変わった

11/11(日) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 干物が改めて注目されている。便利な保存食、港町観光の手軽なお土産として重宝されていたが、最近はズバリ、「ごちそう」に変貌しつつあるのだ。

 たとえば、干物専門居酒屋「ひもの屋」は、首都圏に10軒の直営店を持つ。若い世代に日本の伝統文化である「干物」を伝え、おいしさを味わってもらうのがコンセプトだ。江戸時代の漁村をイメージした店内には大きな囲炉裏があり、懐かしさを演出している。炭火で焼かれたキンメダイやノドグロなど高級干物は日本各地の地酒とともに味わうことができる。ヘルシー志向の人にも好評で、“質素な保存食”のイメージはない。

 東京・日本橋のコレド室町2地下1階の「干物まる」は、静岡県沼津市の提携工場で製造した40種類余りの干物を売る専門店。焼きたての干物を定食やチョイ飲みのアテとして提供するイートインスペースもある。2011年に巣鴨で開業すると、コレド側から「かつての日本橋魚河岸でも干物を扱っていたので、ぜひ」と請われて出店したそうだ。

「これほどの種類の干物を店頭に並べる店はうち以外にない」と、アウトドア業界から転身したオーナー店長の関口尚久さんは胸を張る。

 同店の干物は、最新技術による品質の良さにも定評がある。時間がかかる天日干しではなく、あえて除湿乾燥を行うことで製造時間を短縮。さらに、すぐ冷凍することで、干物特有の生臭さを抑えることにも成功した。

 もうひとつは、ユニークな商品ラインアップ。伊勢エビやマグロといった珍しい魚介類の干物が店頭の冷凍ケースに並ぶ。最近の人気は、なんとウナギ。静岡産ウナギを海水と同じ濃度の塩水につけ、30分ほど除湿乾燥させるという。

 試しに食べてみると、脂たっぷりの身がジュワッ、皮がパリッで、独特の食感だ。焼いた後の味付けは一切なく、そのぶん、ウナギ本来の風味が楽しめる。ウナギ好きにはたまらないだろう。その定食は1人前税別5080円(1日1食限定)と超高級ながら、「リピーターが後を絶たない」のもうなずける。

「干物=和」というイメージを覆す商品も相次いでいる。

 たとえば、その名も「アタラシイヒモノ」は、食品プロデュース会社「ドットサイエンス」が神奈川県真鶴町の老舗干物店「魚伝」と共同開発。フレンチシェフの監修で、コンセプトは「アクアパッツァ用の干物」。代表の小澤亮さんが言う。

「もともと日本の漁業を盛り上げたいと思っていたのですが、干物の市場規模は10年で10%も縮小。製造パートナーの魚伝5代目の青木さんが渋谷ヒカリエに出店すると、若い女性から『干物売ってる! ウケる~』と言われたことなどがキッカケで、それなら、今のライフスタイルに溶け込む『かっこいい洋風干物』を作ってやろうじゃないか、と思うに至ったのです」

 手始めに「金目鯛」(ハーブ&ガーリック=2700円)を開発。今年9月に伊勢丹新宿店で期間限定販売すると好評で、年内にも新作を4種類追加する予定だという。現在は「金目鯛」のみオンラインショップで買える。

 今晩のおかずに干物はいかがか。

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