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推しがマイナーなオタク女の苦悩を漫画に 『しもべ先生の尊い生活』作者が語る「好きすぎてつらい」の感情

11/11(日) 11:30配信

ねとらぼ

 『げんしけん』『となりの801ちゃん』『ヲタクに恋は難しい』――“オタク女子”をフィーチャーしたマンガは、枚挙にいとまがありません。その中でもひときわ異彩を放つ作品が、先日刊行されました。それが『しもべ先生の尊い生活』(少年マガジンエッジ)。主人公である下辺紅子(しもべ・こうこ)は、至って真面目に働く美術教師。憂いを帯びた美女である下辺先生に、生徒たちは興味津々。寡黙に考え事をしている下辺先生を見ては「遠距離恋愛の彼氏がいるらしい」などとウワサしています。

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 しかし……下辺先生の実際の想い人は二次元の女性キャラ、ベアトリクス様。彼女をひたすら愛し、ふとしたことで萌えまくっているのが、下辺先生の素顔なのでした。そんな女オタクを描いた作者の我妻命(あがつま・みこと)さんにインタビュー。作品が生まれた経緯や、ご自身の「萌え」について伺いました。

「Twitterで書いてることを作品にしてよ」と言われ

――下辺先生面白かったです。オタクを題材にしたマンガのなかでも「女キャラをひたすら愛しぬくオタク女」かつ「マイナーゆえの苦悩と闘うオタク女」(※)を主人公にしているのが相当異例だと思うのですが、発想の経緯を教えてください。

※しもべ先生は女性キャラを推しているだけでなく、男女CP志向であるために、肩身が狭い思いをしているという設定

我妻命(以下、我妻):発想というか……2016年のコミティアの出張編集部に、全然別の読み切りのネームを持っていったんですね。魔法少女がひどい目にあうという内容でした。そこで隅谷さん(担当編集)が対応してくれたんですが、打ち合わせしていくうちに「我妻さんがTwitterとかで吐き出している萌えをそのまま作品にしましょうよ」と言われて。もともとシリアスなファンタジー寄りのネームを持っていったのに、いつのまにか「しもべ先生」が生まれていました。

――まさかの展開! ということは我妻さんご自身が「女キャラをひたすら愛しぬくオタク女」かつ「マイナーゆえの苦悩との闘うオタク女」だったんですね……。

我妻:「絶対やだ!」と思ったんですよ。ギャグも描いたことなかったし、自分の生の感情を描くなんてもってのほかだし。連載を始めてからも、しばらくずっと恥ずかしさのハードルを越えられなかった。

――隅谷さんとしては、どういう思いで提案したんでしょう?

担当編集・隅谷(すみや):最初にネームをいただいたときは「とても画力のある、絵の美しい方だな」と思いました。ストーリーに関しては、一緒に練っていく余地があるなと思って打ち合わせを重ねたのですが、我妻さん自身も「何が描きたいか」がまだ定まってないようでした。そんなときにTwitterを拝見したら、とにかくとてつもない情熱と言葉のセンスで「好き!」を叫んでるじゃないですか。これを是非作品に生かしたいと思ったんです。

――確かに最近のツイートでも「とむふぉーどで4DX」という、とにかくパッションの伝わってくる内容が書かれています。これは……?

我妻:あまりにも恥ずかしいのですが、恥をしのんで説明しますと、現在3次元で推している方の香水が「TOM FORD」のものだと判明しまして、同じ香りのものをお店に買いに行って、つけてみて、「推しが目の前にいる!」とものすごい幸せに包まれた日のツイートですね。

――解説ありがとうございます(笑)。我妻さんの言語センスと、1人妄想を深めていくストイックさが、下辺先生にも反映されていることが伝わってきました。第1話で新しい学校に赴任してきた下辺先生が、ずっと脳内でベアトリクス様の乳首のことを考えている……というネタも面白かったです。

隅谷:あれも我妻さんご自身の話ですよね。

――そうなんですか!?

我妻:そうです……。「キャラクターのどこが見たいか」ってオタクには人それぞれありますよね? 私、男性キャラの乳首に関しては気にならないんですけど、女性キャラだとずっと乳首のことを考えてしまって。

――わからなくはないです。

我妻:初めのネームでは小ネタとして描いていたんですが、隅谷さんから「これ面白いからこのネタをしっかり描こう」と言われ、第1話ができました。同人時代はずっとシリアスな話を描いたのもあり、「これ笑ってもらえるのかな」「読者の方に楽しんでいただけたらいいな」という点にすごく気を使いながら描きました。

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最終更新:11/11(日) 11:30
ねとらぼ

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