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国、「対話」も歩み寄らず 知事・防衛相会談 米軍と自衛隊 知事「ダブルの強化」

11/11(日) 11:39配信

琉球新報

 就任後初めて沖縄を訪れた岩屋毅防衛相は10日、県庁で玉城デニー知事と会談した。“沖縄方式”とされるフルオープン(全面公開)の会談で、玉城氏は改めて名護市辺野古への移設の断念を要求した。岩屋氏は南西諸島での「抑止力」の必要性を強調し、移設を進める従来の考えを鮮明にした。政府は玉城氏の対話の求めに応じて県との約1カ月の集中協議に入っているが、歩み寄る気配はない。

 今月8日から全国知事会出席などの公務のため上京していた玉城知事は、当初11日まで滞在し、そのまま訪米する予定だった。だが岩屋氏の沖縄入りが決まった関係で、9日に沖縄に戻り10日の会談に臨んだ。会談は県側から岩屋氏に大臣就任を祝う花束を渡す和やかな雰囲気で始まったが、話が本題の辺野古問題に及ぶと、双方の表情は険しさを増していった。

■「安保に理解」

 「沖縄県は日米安保体制の必要性は理解している」。玉城知事は冒頭でこう切り出し、続けて度重なる米軍の事件事故や、日米地位協定の改定などに言及した。うなずくように話に耳を傾けた岩屋氏だったが、次第に玉城知事が知事選で得られた民意を語り、政府の辺野古移設という「20年来の固定観念」にとらわれないよう求めると、厳しい表情を浮かべた。

 自民党国防族として長く安全保障などに関わってきた岩屋氏は、1996年の普天間飛行場返還合意から現在までの経緯について「この間の一部始終を拝見した。それだけに、何としても普天間の返還を成し遂げたい気持ちでいっぱいだ」と強調。「日本の防衛の最前線はこの南西地域にある」として、抑止力向上と沖縄の基地負担軽減を両立させる考えを示した。

 防衛省は現在、先島諸島での陸上自衛隊配備計画を進めている。だが県内には、「抑止力」の名の下に配備が進められ、米軍との共同使用などを通じて基地機能が強化されることへの懸念が強くある。玉城氏は「米軍の抑止力向上と自衛隊の装備強化が、沖縄県民にはダブルの強化構造に見える」とけん制した。

 岩屋氏は玉城知事との会談後、名護市へ移動し、今年2月の市長選で政権の支援を受けて当選した渡具知武豊名護市長と会談した。岩屋氏が「多大な尽力をいただいていることを厚くお礼申し上げます」と述べる場面もあり、知事会談とは翻って友好ムードが漂った。


■“地元の地元”

 辺野古移設に反対していた前名護市長の時代、歴代防衛相が沖縄入りする度に重視したのは、移設先周辺の名護市辺野古、久志、豊原の3区(久辺三区)との面談だった。県や名護市との対立が続く中、政府は頻繁に3区長と接触し、3区への直接補助金を創設するなど移設容認の態度を引き出す動きを見せてきたが、今回の岩屋氏の訪問で3区長との面談は設定されなかった。政府関係者は「3区の要望は今後、市を通して応じることができる」と話す。

 渡具知市長は岩屋氏との会談後、記者団に久辺三区の要望に関して「名護市で対応することではない」と語った。辺野古区では移設を受け入れる見返りとして国に個別補償を求めてきたが、防衛省は今年8月、これに応じない方針を伝えており、“地元の地元”では不信感も渦巻いている。(當山幸都、明真南斗、阪口彩子)

琉球新報社

最終更新:11/12(月) 7:33
琉球新報

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