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なぜ上映禁止に?映画に描かれたロシアの歴史

11/11(日) 7:13配信

dmenu映画

12月8日(土)公開の『マチルダ 禁断の恋』は、19世紀ロシアの皇帝ニコライ2世と、“伝説のプリマ”と呼ばれたバレリーナのマチルダ・クシェシンスカヤの恋愛を描いた作品です。映画ではロシア正教会により聖人に列されているニコライ2世の、恋とセックスの様子を描いているため、彼の名誉を傷つけるものとして、ロシアで公開禁止を求める運動が起きました。最終的に映画は公開され、同国で210万人を動員するヒット作となっています。

ロシア・旧ソ連を題材にした映画の中には、その内容が問題視されたことから、ロシアでの公開が禁止された作品もあります。今回はいくつかピックアップして紹介します。

権力闘争を描写するのは禁止?

まず紹介するのは、スターリン亡きあとの後継者争いにフォーカスした『スターリンの葬送狂騒曲』(2017年)。

史実ではスターリンが死去したのは1953年3月5日。同日付でマレンコフが閣僚会議議長(首相)の後任となりますが、実際には秘密警察を指揮したベリヤが実権を握ります。しかし、その後に閣僚会議幹部会の会議でベリヤが逮捕され、6月29日の党幹部会による特別布告でベリヤは失脚。マレンコフが9月7日に党中央委員会第一書記となり、スターリンの後継者となりました。

『スターリンの葬送狂騒曲』は、これらスターリンの死後の数カ月にフォーカスした作品になります。“実話に基づくブラック・コメディ”といううたい文句で日本でも公開されましたが、本国ではロシア文化省が「歴史映画としても芸術映画としても価値がない」として上映中止を命じました。

ロシア政治外交史が専門の慶應義塾大学 横手慎二教授によると、映画の解釈があまりに現実味を帯びていたため、体制エリートは自分たちの上司がモスクワっ子のお笑い対象となることを恐れたのではないかとのことでした。

作中ではスターリンの側近中の側近だった秘密警察警備隊長ベリヤに対し、後にソ連の指導者となる中央委員会第一書記のフルシチョフがクーデターを起こします。彼が権力闘争の末に指導者の立場を奪ったものとして、その顛末が描かれていることが、政治的に問題視されたのかもしれません。また、映画の原作が作家ファビアン・ニュリのグラフィックノベルであるため、その内容が史実と言い切れないことも、ロシア文化省の背中を後押ししたのでしょう。

さらに付け加えると、ソビエト軍最高司令官ジューコフが、男色を匂わせる描かれ方をされたことも問題だったのかもしれません。フルシチョフからクーデターの話を持ち掛けられたとき、ジューコフは喜びのあまりフルシチョフにキスしています。

ロシアでは2013年に「同性愛のプロパガンダ」禁止法が成立し、同性愛を許容するような情報を未成年者に広めると罰金が科せられます。軍の最高司令官がマッチョなゲイだというのは、プーチン政権にとって許しがたかったのかもしれません。

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最終更新:11/11(日) 7:13
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