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奈良は「うまいものなし」にあらず!日本清酒発祥の地へいざ!

11/11(日) 11:00配信

食べログマガジン

〈おいしい歴史を訪ねて〉

歴史があるところには、城跡や建造物や信仰への思いなど人が集まり生活した痕跡が数多くある。訪れた土地の、史跡・酒蔵・陶芸・食を通して、その土地の歴史を感じる。そんな歴史の偶然(必然?)から生まれた美味が交差する場所を、気鋭のフォトグラファー小平尚典が切り取り、届ける。モットーは、「歴史あるところに、おいしいものあり」。

第11回 「日本清酒発祥之地」奈良・正暦寺(しょうりゃくじ)へ

「奈良にうまいものなし」。奈良に13年も住んでいた作家・志賀直哉が随筆『奈良』でそう書いたとされるが、様々な解釈があり、実は奈良への愛情を込めた表現とも言われる。その真相はさておき、僕の経験値ではおいしいものはたくさんある。今回は日本酒発祥の地として有名な山辺の道の少し奥にある正暦寺(しょうりゃくじ)を訪ねた。


992年に一条天皇の命により創建。菩提仙川の渓流を挟んで立ち並び、勅願寺として繁栄していたが、平家の度重なる焼き討ちや江戸幕府の経済制圧などで窮地に追いやられた。今は、福寿院客殿など僅かな建物を残すのみとなったが、正暦寺は「悟りの山」として「菩提山寺」と呼ばれ、奈良から8kmのところにあるが訪れる人々を静かで伸びやかな宗教空間に包んでくれる。

正暦寺公式サイトによると、本来、寺院での酒造りは禁止されているが、神仏習合の形態をとる中で、鎮守や天部の仏へ献上するお酒として、自家製造されていたそう。荘園で造られた米から僧侶が醸造するお酒を「僧坊酒」と呼ぶそうで、当時の正暦寺では、仕込みを3回に分けて行う「三段仕込み」や腐敗を防ぐための火入れ作業行うなど、近代醸造法の基礎となる酒造技術が用いられていたとか。


そして、これらの酒造技術は室町時代を代表する革新的酒造法として、室町時代の古文書『御酒之日記』や江戸時代初期の『童蒙酒造記』にも記されていて、現代において行われている清酒製法の祖とされている。そのような歴史的背景から、正暦寺が日本清酒発祥の地であると言われているそうだ。

坂を上がっていくと入口手前に「日本清酒発祥之地」の碑が立っているのが見える。

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最終更新:11/11(日) 11:00
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