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九州の愛好家「ここがなくなると困る」 ドリフト走行会事故から1年、安全対策手探り 佐賀

11/11(日) 18:33配信

佐賀新聞

 佐賀市富士町の天山スキー場駐車場で開かれた車の「ドリフト」の走行会で、車が観客に突っ込み、5人が負傷した事故から12日で一年を迎える。ドリフトが迫力のあるモータースポーツとして人気を集める一方、安全対策については公的な基準がなく主催者任せになっているのが現状だ。私有地などでの走行会が「公道での危険走行抑止につながっている」との指摘もある中、県内の関係者も手探りで安全対策の模索を続けている。

 甲高いエンジン音が鳴り響き、タイヤを滑らせながら走る「ドリフト走行」でカーブを曲がっていく。同駐車場で、今年最終盤の走行会となった10日。車が走るコース外周には、事故当時はなかったコンクリート製の仕切りや水が入ったドラム缶、積まれたタイヤが並んでいた。

 事故は昨年11月12日に起きた。ドリフト走行中の車が制御不能になってコースを外れ、コース外側の花壇(高さ約30センチ)に衝突して観客に突っ込み、40代男性が意識不明の重体になるなど3人が負傷、運転していた20代男性と同乗者もけがを負った。

 佐賀北署は今年10月、主催者の男性と、スキー場の経営者ら2人の計3人を業務上過失傷害の疑いで、運転した男性を自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで佐賀地検に書類送検した。

 会場として駐車場を貸している天山スキー場は事故前、コース設定や安全対策は利用者側に任せていた。スキー場側は、レース経験を持つ利用者らとともに、今年3~4月にかけてドラム缶などを置き、外周と観客側に距離を取るコースを整えた。

 九州内でサーキット場が減る中、天山スキー場は九州各県から利用があるという。常連でコース整備にも携わった福岡市の男性(44)は「ここがなくなると九州のみんなが困る。ドリフトができる場所があることで、公道での危険走行の抑止にもつながっている」と話し、「走行の場」の必要性を訴える。

 2013年からドリフト競技を公認する日本自動車連盟(JAF)は、一定の安全対策を講じているコースを認定している。

 スキー駐車場を活用した「奥伊吹モーターパーク」(滋賀県米原市)はJAF認定を受けた一つ。段差がある地形を利用しコースの7~8メートル上から観戦できる環境がある。同じく認定を受けている栃木県那須塩原市の「ドライビングパレット那須」は、コース外周に高さ1メートルのガードレールを設置。そこから2~5メートルの間隔を空け、観客側と仕切るフェンスを設けている。いずれも利用者にヘルメットやシートベルト着用を徹底させている。

 ドライビングパレット那須の関係者は「安全第一でやっており、9年目にして事故は一度も起きていない。ただ、よそで事故があると、全てのドリフト走行が危険と思われてしまうのが怖い」と指摘。愛好者や施設関係者らの危機感の共有の必要性を示唆した。

最終更新:11/11(日) 20:39
佐賀新聞

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