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「自己責任が他人を切り捨てる言葉になっている」 今井紀明さんが危惧する日本社会の空気

11/14(水) 12:12配信

ハフポスト日本版

《「自己責任」はおかしな言葉として使われている。他人を否定して、切り捨てる言葉になっている。》――。

シリアで拘束されたジャーナリストの安田純平さんが2018年10月に解放されてから、インターネット上を中心に再燃した「自己責任論」。我々はどう向き合うべきなのか。イラク人質事件で拘束された経験がある今井紀明さんが、11月8日、インターネット番組「ハフトーク」に出演し、胸中を語った。

14年で、変わったもの、変わらないもの

2004年、イラク戦争終結後のイラクに向かった今井さんら3人が誘拐された事件は日本社会で「自己責任」バッシングが初めて可視化された事件だった。

そこから14年、日本社会は変わったのか。

筆者の感じた一つの大きな変化は、マスメディアのスタンスだ。2004年当時は、今井さんらを「自己責任」と批判した大手新聞社もあった。しかし、今回の安田さんの行動を「自己責任」だと断じたところは一社も無かった。保守系の産経新聞も今回は自己責任論を取らなかった。

ところがインターネットのコメント欄やSNSでは2004年と同じような「自己責任論」が広がる。

今井さんはこう語る。

《メディアも政府関係者も冷静だったと思います。僕らのときは誤った情報が正直あった。あの時、すごかったのが自作自演論です。

イラクから自衛隊を撤退させるために僕たちがわざと誘拐された、という説も飛び交いました。街中を歩くと殴られたり、罵声を浴びせられたり、逆に「頑張ったね」と言われたり......。戸惑って、対人恐怖症になるきっかけになりました。》

SNSもなかった時代、今井さんの家にはバッシングの手紙がたくさん届いた。実は、今井さんはこれらの手紙のなかで、住所がわかるものには返信していた。

《彼らのことを知りたかった。人間対人間ですし、対話できないわけではないと思った。誤った情報に基づく批判も多かったし、もっと知ってみたいと思ったんです。》

手紙の返事を書くだけではない。「会って話を聞きたい」と申し出て実際に会いに行った人もいた。

その一人が、工場勤めのとある男性だ。彼には今井さんとほぼ同じ年の不登校の娘がいた。

男性は、今井さんとの対話の中で、本当の怒りの矛先は、今井さん自身ではなく、「イラクから自衛隊を撤退せよ」と書いたメディアにあったのだと語った。

「多くの若者が、娘と同じようにニートだといわれているこの時代、何か目標に向かって行動している若者をこんなことで潰す社会があるというならば、日本社会は終わってしまうんじゃないかという危機感があるんです」と、男性は、逆に今井さんを励ましたのだという。

そして十数年後、この男性とのやりとりについて書かれたニュース記事を読んだ「不登校の娘」から連絡がきた。今井さんは彼女とも会って話をしている。「対話」の秘める可能性を感じさせる話だ。

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最終更新:11/14(水) 12:12
ハフポスト日本版

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