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新iPhoneも対応した「eSIM」とは何か メリットと課題を解説

11/15(木) 6:00配信

ITmedia Mobile

 eSIM搭載のスマートフォンやノートPCが市販されるようになり、今改めてeSIMについて注目が集まっています。筆者の所属するIIJでは、フルMVNO基盤を活用したサービス開発の一環としてeSIMの検証環境を作り、さまざまなデバイスでの実験をしています。eSIMはスマートフォンだけでなく、センサーなどの業務用機器やウェアラブルタイプの小型機器までさまざまな応用が考えられますが、今回はスマートフォンでの利用について考えてみます。

新iPhoneでeSIMを体験

「SIMが書き換えられる」ということ

 以前にもこの連載で取り上げたことがありますが、「eSIM」という単語には複数の意味があります。1つは、一般的なプラスチックカード型のSIMと異なる、スマートフォンなどの通信機器の中に埋め込まれ、交換できないSIM相当の部品のことです。もう1つは、SIMの中に保存されている情報を、ネットワーク経由などで書き換えられるというタイプのSIMのことです。今回は後者の「書き換え可能なSIM」について取り上げます。

 スマートフォンが利用している携帯電話網においてSIMの果たす役割は幾つかありますが、その中でも最も重要なものは、携帯電話網に接続する際の認証情報を提供することです。

 SIMカードの中には利用者を識別するための情報としてIMSIと呼ばれるIDが保存されています。このIMSIに対応する情報が、携帯電話網内のHSS/HLRと呼ばれる装置に保存されています。スマートフォンが携帯電話網に接続する際に、SIM内のIMSIが携帯電話網に送信され、それが交換機でHSS/HLRに保存された情報と照合され、有効なIDであることが確認されて初めて通信が許可されます。

 従来型のSIMでは、SIM内に保存されているIMSIは1つだけで、SIMの利用開始後に変化することはありませんでした。「書き換え可能な」SIMではIMSIなどの情報がSIMの利用開始後に書き換えられ、変化することがあります。

 IMSIの書き換えによってどのようなメリットがあるのでしょうか? 1つの例として、国をまたいだスマートフォンの利用が考えられます。ある国の携帯電話会社と契約して利用しているスマートフォンを異なる国に持ち出した場合、携帯電話会社同士の提携により、渡航先の携帯電話会社のネットワークを利用できる場合があります。このようなサービスを実現するために、ローミングという技術が使われることが一般的です。

 ローミングで携帯電話網に接続する際には、契約中の携帯電話会社が発行したIMSIが使われます。利用者側ではスマートフォンやSIMについて特別な準備をする必要がないので便利ではありますが、一般的にローミング接続料金は高額になります。

 IMSIの書き換えによって渡航先の携帯電話会社が発行したIMSIを使うことができれば、ローミングではなく現地の携帯電話会社の契約として通信を行うことになります。多くのケースでは、現地の契約として通信した方がローミングよりも割安に利用できると思われます。

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最終更新:11/15(木) 6:00
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