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長澤まさみに憧れ、福沢諭吉がバイブル 関西育ちのアフリカ少年が考える「日本人観」 僕ナニジン?

11/15(木) 14:01配信

withnews

 腕に輝く赤、緑、黄の「ラスタカラー」の腕輪。「自分を象徴する色でもある。僕は日本人でもあり、アフリカ人だから」と話すのは、国籍も生まれもカメルーンだけど、4歳で来日し、日本で育った星野ルネさん(34)です。今年8月に自身の半生を描いた「まんが アフリカ少年が日本で育った結果」(毎日新聞出版)で漫画家としてデビューしました。「バイブルは福沢諭吉」「憧れの女性と言われれば、長澤まさみが思い浮かぶ」と言うルネさん。漫画では既存の「日本人観」を超越する生き様を発信し続けています。(朝日新聞記者・松川希実)

【まんがで見る】アフリカ少年が日本で育った結果とは……

「何でもない日常」がウケた

 〈カメルーン人の母とカメルーンに研究に来た日本人男性が結婚したのをきっかけに、4歳を目前に母と来日。日本語も英語も分からないなか、友達とのコミュニケーション手段として絵を描き始めた〉

 育ったのは兵庫県姫路市です。地元のダイニングバーで働いていたとき、お客さんに今までの人生の話をしてたら、けっこう話題になったんです。「聞いてもらう価値があるものを持っているんだ」って自信にもなりました。

 最初にはまった「絵を描く」ってことに、結局たどりつきました。今年3月からSNSで漫画を公開し始めたら、1カ月後に書籍化の話がきました。

 周りにウケたのは、たとえば家族の会話です。僕の家は、父と母はフランス語。僕と(日本で生まれた)妹たちは関西弁で話す。母と僕はフランス語と関西弁の混合。東京出身の父とは標準語で話すという、「多言語家族」。そういう、僕にとっての日常が、面白かったみたいです。

 〈小学校1年のとき、カメルーンに帰省したときの思い出。日本でオムライスや海老フライになじんだアフリカ少年の前に、アルマジロのような見た目の「センザンコウ」が出てくる、「ギャップがハンパない」夕飯が描かれた〉

「欠けている」ことは強みだった

〈学生時代は周りと違う見た目に戸惑ったこともあったという〉

 日本の歴史漫画が好きだった。そこに出てくる侍や偉人は、みんななら、なんとなく「ご先祖さまだ」って思うじゃないですか。でも、僕は自分のご先祖さまだとは言えない。絶対に血はつながっていないし。周りとは見た目もルーツも違うから、孤独を感じたことはあります。

 だけどカメルーンでは、「日本人」って言われるんです。向こうの常識もわからないし、挙動や考え方も日本人っぽい。僕はどっちにいても「外国人」のカテゴリーに入っちゃう。

 みんなと違うから、「日本人として欠けている」と思っていたけど、自分の視野が広がる中で、日本人として足りない要素は、実はアフリカ人として補われていたことに気づきました。それが強みだった。

 たとえば、僕にはアフリカに親戚が200人超います。政府関係や貿易、森を守っている人もいる。日本人でありながら、日本とアフリカをつなげられる存在なんです。

 今はナニジンと言われても、気にしません。
 アメリカとか多民族の国をヒントにすれば、もし日本がいろんなルーツを持った人がそれなりにいる国になったら、僕は「アフリカ系日本人」と呼ばれるのが適切なんだろうな、とは思います。

 でも僕は僕。国籍はカメルーン、永住権は日本。カメルーンの要素と日本の要素を併せ持っていて、日本の歴史や文化の方がカメルーンのことより分かる一人の人間。好きなアイドルを想像したら、アフリカ人女性ではなく、長澤まさみが出てくる。

 幼稚園から一緒の幼なじみは「ルネのこと『外国人』だと思ったことない。日焼けしている日本人だとしか思ってなかった」って言います。

 浮世絵に描かれていた日本人の典型的な顔。今は日本でも、アフリカ系も東南アジア系の顔も増えていて、日本で育ち、日本食を食べ、これからも日本で生きていくという僕みたいな人が増えている。こんな人生があるのかと「日本人」の解釈の幅が広がれば、僕の漫画も有意義だと思う。

 〈マンガでは、日本の若者との会話するルネさんが、「印籠」について「わかりますか」と尋ねられる場面を描いた。すかさず「君はいくつ?」と尋ねるルネさん。「味噌汁もきっと君より飲んでるし、日本では君の大先輩だよ」と説明する〉

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最終更新:11/15(木) 14:04
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