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「半壊の壁」「境界線の明暗」の解決を 被災者生活再建支援法20年

2018/11/15(木) 16:15配信

THE PAGE

 全国47の都道府県の知事で組織する全国知事会(会長=上田清司・埼玉県知事)がこのほど、大規模な自然災害によって被害を受けた人々の生活再建を目的とする「被災者生活再建支援制度」の支援対象を、従来の「全壊・大規模半壊世帯」だけでなく「半壊世帯」にまで拡大するよう国に要請することを決めた。早ければ月内にも、全国知事会危機管理・防災特別委員長の鈴木英敬・三重県知事が内閣府(防災担当)に提言を提出する予定だという。

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 災害復興関連の法律に詳しい岡本正弁護士は「制度の隙間を埋めるために、県や市町村レベルで独自支援しているところが既にある。このこと自体が、現在の制度が不十分であることを示しており、今回の知事会の提言はきわめて高く評価できる」とする一方で、「建物の損壊具合だけで判断する現在の支援制度には限界がある。単なる支援金の拡充で終わらせるのではなく、一人一人の被災の実態に合った支援ができるような制度を作り上げるスタートにするべき」と話す。

 被災者生活再建支援法が施行されて20年。この間、支援金の増額や、使途を限定しない定額渡切方式への変更などの改正を経て、復興になくてはならない制度となった。しかし、東日本大震災や西日本豪雨など大きな自然災害に相次いで見舞われる中、制度の抱える問題点も浮かび上がってきており、大きな改善が必要になってきているといえそうだ。

支援から取り残される「半壊の壁」

 被災者生活再建支援制度は、1995年の阪神淡路大震災がきっかけでできた被災者生活再建支援法に基づいて、自然災害により住宅が全壊するなどした世帯に最大300万円が支払われるしくみ。1998年11月6日の法律施行から今月で20年。内閣府によると、この間に約26万5000世帯に4500億円を超える支援金が支給された(今年9月30日現在)。

 制度の支援対象となるのは、「生活基盤に著しい被害が生じた」とされる全壊、大規模半壊、解体、長期避難世帯だ。単なる半壊の場合は対象外となっている。このため、罹災証明書の被害判定で半壊と認定されると、その後に支援から取り残されるケースが出る。これが「半壊の壁」だ。

 しかし、今回の知事会の提言をまとめた危機管理・防災特別委員会は「半壊の場合でも約1000万円程度の損害が発生している」「都道府県独自の支援制度の支給実績を調べても、半壊の場合1世帯当たり200~300万円の修繕費などがかかっている」などと指摘。半壊であっても、「生活基盤に著しい被害」を受けている可能性が高いと結論づけた。同委員会は、半壊の場合の支給額は50万円程度が妥当だとしている。

 岡本弁護士は「半壊や、半壊より損壊の程度が低い一部損壊、または床下浸水などであっても、実際には住めない状況であることは多い。一部損壊を含めた修繕制度の大幅な拡充が必要だ。被災者の生活再建を中長期で考えると、後の仮設住宅、復興公営住宅などの建設費の抑制などにもつながると考えられる。決して単なるコスト増にはならないと思う」としている。

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最終更新:2018/11/15(木) 16:15
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