ここから本文です

「やめたいと思わなかったことがない」東京喰種・石田スイと盟友・高橋國光が語る創作と葛藤

11/16(金) 18:27配信

BuzzFeed Japan

累計発行部数3700万部超。連載開始から今年7月に完結を迎えるまで7年、重厚なストーリーに緻密な描写の作品を、凄まじいスピードで世に送り出してきた石田スイ。メディアに出ることはほとんどない謎多き漫画家が、影響を受けた存在がいる。アニメ『東京喰種:re』のEDテーマ『楽園の君』を担当するosterreichの高橋國光だ。石田は一時期、高橋の作る音楽だけを聴いていた時期もあるといい、「自分の言いたいことすべてを先に言っている存在」と激賞する。一方で、高橋も石田に影響を受けなかったわけはない。彼は石田から依頼を受けるまで「音楽をやめていた」からだ――。【BuzzFeed Japan / 嘉島唯】

『楽園の君』【動画】

今後、音楽はやらないだろうなと思っていた。なんで自分なんだろう……?

――福岡に住んでいるスイ先生と、関東在住の高橋さん。どうやって出会ったのでしょうか?

石田:3年前のTVアニメ『東京喰種√A』のOP『無能』を依頼したところがからはじまります。一応、各アニメのOP曲候補をたくさん提案してもらっていたんですけど、僕がそれをずっと突っぱねていたんです。

もともと國光くんが昔やっていたthe cabsというバンドが好きで、『東京喰種』の7巻あたりの話を描いているときは、the cabsの『2月の兵隊』だけを聴いていたので、気持ちが強かったんだと思います。

高橋:でもその時、the cabsはもう解散してたし僕は音楽活動をやってなかった。

石田:僕は國光くんが音楽活動を休止した後、彼のSoundCloudを監視してたので(笑)。

たまに新しい曲が上がっているのを見て生存確認できていたし、まだ音楽をやっていることを知っていたから「東京喰種の音楽も作ってくれるんじゃないの?」と思ってアニメサイドにも100回くらい言ったんですよ。

高橋國光くんに音楽を作って欲しいって。でも、全然決まらないから99回断られたのかなって思った。

高橋:そもそも話が来てなかったから! 当時在籍してた事務所の社長から急に「大変なことになってる」って言われて。前触れもなかった。

石田:あんなに言ってたのに一回も話がいってないってどういうこと(笑)。とはいえ、ありえない提案ですよね。國光くんのバンドは解散していて形がないし。

高橋:僕自身、今後音楽はやらないだろうなって思ってたし、やる気もなかった。

SoundCloudに音楽を上げることはあっても商品にするわけではなく、パーソナルな所に収めていくつもりでした。だから打診が来た時「何を言ってるんだろう? なんで俺なんだろう?」って……。

『東京喰種』、読んだことなかったし。

――怖くなかったですか?

高橋:めちゃくちゃ怖かったですよ。バンドが解散して3年経っているから、音楽作る能力がなくなっている気がしたので。音楽を作れなかったらどうしよう、と。しかも自分がやっていたよりももっと大きな規模での制作。普通に不安でしたね。

……一方で「音楽をやっていい」って言われたような気がしたんです。できるかわからないけど、ここでやらなかったら、多分一生音楽をやらないだろうなとは思いました。

『東京喰種√A』のOPになった『無能」は、スケジュールもギリギリだったので、とにかく必死に作り上げて、生きた心地はしませんでした。作品に引っ張られないように原作は全く読みませんでした。結果……音楽をやっていなかった3年の間に溜まった嫌なものが全部曲に出てしまった。

石田:僕は彼が作るものは基本的に全部好きなので、デモを聴いた時点で「いいじゃん」って思いました。嬉しかった。ただ、あの曲は……いびつすぎるよね(笑)。

高橋:今聴いても「いびつ」だと思う。

――『無能』の制作を通して、二人は交流するようになったのでしょうか?

石田:いえ……その時はデモを受け取っただけですね。リリースしてからSkypeで対談があって、その時が初めての会話だったかな。あとでTwitterのDMかメールか……に「この度は」みたいな感じの連絡が来て、個人的に話すようになりました。

数ヶ月は文章のやり取りしかしてなかったんですけれど、ふいにSkypeで通話するようになったんです。そうしたらいきなり「俺は明るい」って宣言された(笑)。

高橋:自分のイメージ的に「すごく気を遣われているのではないか?」って思ったんですよ。話しづらくなるから、僕なりにジョークをかましたつもりだった。

石田:勝手にめちゃくちゃ暗い人なんだと思っていたんです。僕も当時はそういう部分が強かったから、暗いモードで話そうとしてたら「俺は明るい」って言われてしまった(笑)。

高橋:よく喋るし、ジョークも言うよって。

石田:それから1~2ヶ月に1回くらいSkypeで話すようになったんです。1回に6時間くらい。

高橋:朝までとかね。彼は作業をしながら話すんですよ。だから長い時間話せる。

石田:話し相手がいると逆に捗るんです。

1/5ページ

最終更新:11/16(金) 18:27
BuzzFeed Japan

あなたにおすすめの記事