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人間の弱さと暴力性描く 村上虹郎主演映画「銃」17日公開

11/16(金) 17:56配信

カナロコ by 神奈川新聞

 芥川賞作家・中村文則のデビュー作「銃」が映画化され、17日に公開される。主人公の大学生・トオルを演じた俳優の村上虹郎は「現実にはありえない人物を演じてこそ、役者がいる意味がある」と怪演した役柄を見つめる。

 トオルは雨の夜、河原で思いがけず拳銃を拾う。警察には届け出ず、自宅アパートの部屋に隠し持ち、夜な夜な銃を手に取っては、一人眺めて過ごす。

 「トオルにとって銃は女性なんです。恋愛をしている感覚に近い」

 退屈な日々の繰り返しに突如として現れた銃。人を圧倒的な暴力で支配できる力を手に入れたトオルは、優越感に浸り、隣の部屋で子どもを虐待している母親を撃ち殺そうと計画を企てる-。

 両親に愛されなかったトラウマ(心的外傷)から逃れようと、本当は好きでもない女性と関係を持ち続けるなど、「女性との性的な関係に依存してしまう。トオルはとても弱い人間」と分析する。弱さゆえに、暴力にすがるしかない。痛々しい人間のさまを正面から演じた。

 ヒロインのヨシカワユウコ(広瀬アリス)、猫を銃で撃ったトオルの残虐性を見抜いた刑事(リリー・フランキー)が脇を固める。刑事は「次は人間を撃ちたいと思っているんでしょう?」とトオルに投げ掛ける-。

 監督・脚本は「百円の恋」「嘘八百」の武正晴。「トオルの心情が一個一個丁寧に描写されている語りの“強さ”が小説にはあった。武さんの演出も小説を読んだときと同じような“強さ”を感じた」と語る。

 父は俳優の村上淳、母は歌手のUA(ウーア)で、映画「2つ目の窓」(河瀬直美監督)で主演を務め、俳優デビューした。映画「武曲 MUKOKU」(熊切和嘉監督)で、日本アカデミー賞優秀助演男優賞に輝くなど、次代の日本映画界を担う存在だ。

 小学3年から中学2年まで、藤野町(現・相模原市緑区)で過ごした。「藤野は芸術にも力を入れていて特別なパワーがある町。そこで培ったものは大きいですし、自分の大部分はそこで育ったといっても過言ではないです」と懐かしむ。

 「コーヒーがおいしいと思うのに僕は時間がかかった。僕は(今は)お酒は飲まないけれど、これから日本酒もおいしく味わえるようになるかもしれない」。まだ見ぬ将来の自分の姿を楽しみに、成長を続ける。

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