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家族と暮らせない子はかわいそうですか? 施設で育ったお笑い芸人を主人公に映画を撮った理由

2018/11/17(土) 11:02配信

BuzzFeed Japan

そうした大人の言葉を信じて、母と暮らせる日をまだかまだかと待ち続けた。1週間~2週間くらいだと思っていた施設での生活は、気付けば1年以上になっていた。

3ヶ月に1度は母が面会に施設を訪れた。聞こうとすれば、いつ一緒に生活できるようになるのか聞くことはできただろう。でも、聞けなかった。頑張る母を追い詰めるような気がしたから。当時は会いに来てくれるだけで、嬉しかった。

その後、中学校へ上がると同時に母のもとに5人は引き取られた。生活保護を受けてなんとか生活していた時期もあった。決して裕福とは言い難い。でも、一生親と会えない友達や生まれたときから施設で育った友達に比べたら恵まれている、幸せだと思った。

ずっと気がかりだった児童養護施設のその後を映画に。

「施設で暮らしていたとき、一緒に住む子たちの受けてきた酷い虐待について聞く機会もありました。小学4年生なのに1年生くらいで成長が止まってしまっている子や、10歳になってもおねしょが治らない子がいたり」

「夜眠っていると、隣の部屋からゴンゴンと鈍い音が聞こえてくることがあって、覗いてみたらある子が無意識のうちに床に頭を打ちつけていたこともありました」

児童養護施設を出てからも、一緒に過ごした友人たちのことが心のどこかでひっかかっていた。

彼が施設にいた20年前は、中学校の卒業と同時に施設を卒業して住み込みで働き始める子どもが多くいた。仕事を失えば、住む場所も失う。リスクの高い選択だが、こうした選択をする人が一定数いたことはデータからも明らかだ。

全国児童養護施設協議会のデータによれば1998年当時の社会的養護のもとで育った子どもの高校進学率は78.6%、その他一般の中学卒業生の高校進学率は96.8%。そこには20%近くの開きが存在した。

「正直、その仕事をやめたらどうするの?って心配になりますよね。彼らのその後について何度か耳にしたことはありましたが、残念ながら良い噂を聞くことはありませんでした」

大人になったからといって、見て見ぬふりをして生きることはできなかったと西坂さんは語る。これまでにも3度、児童養護施設のその後を描いた映画を撮影しようと試みた。1度は脚本も仕上げ、お金も100万円貯め、あとは撮影するだけの状態になったこともあったが、頓挫してしまった。それでも、諦めることができなかった。

そんな紆余曲折を経て、ようやく撮影できたのが今回の20分間のパイロットムービーだ。

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最終更新:2018/11/17(土) 11:02
BuzzFeed Japan

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