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宮崎駿の“戦友”だった、ある女性の物語。彼女は「ジブリの色職人」と呼ばれた

2018/11/18(日) 12:14配信

BuzzFeed Japan

色が語る、ジブリ作品に登場するキャラの個性

かつてのアニメーションは、アニメーターが描いた絵(原画)を透明なシート(セル)に転写し、絵の具で色を塗り、それらをつなげて作っていた。簡単に言えば、パラパラ漫画の要領だ。

2時間の作品で、セル画枚数は約12万枚。そのすべてにスタッフたちは、手作業で、絵の具で色をつけた。

セル画に塗る全ての色を決める責任者。それが保田さんが担った「色彩設計」だった。

アニメーションに臨場感をもたせるためには、色の役割が欠かせない。通常のテレビアニメでは、約130~160色ほどだという。

ジブリ作品では、これを優に超えた。「となりのトトロ」(1988年)は308色、「魔女の宅急便」(1989年)は436色、ジブリの長編としては最後のセル画作品となった「もののけ姫」(1997年)は580色だった。

宮崎監督や高畑監督は、登場人物とその日常を丁寧かつ緻密に描くことで、実写とは違ったリアリティを表現しようとした。その分、求められる色彩も幅広くなった。

その思いに応えようと、保田さんやスタッフは血の滲むような努力をし続けた。理想の色がないときは、絵の具会社と協力して新しい色さえ生み出した。

「作品のもつ雰囲気や質感によって微妙に色を使い分けようとすると、既製のセル用絵の具では表現しきれない。保田さんは作品ごとに、絵の具を自分で混ぜて何十色と新しい色を作ってきた」
(毎日新聞 2002年8月22日朝刊)

こうした積み重ねが、「ジブリの色」を生み出した。

感情や時間の経過を「色」で表現

セル画に塗る色選びは、光の部分と影になる部分の2色1組で決める。

ときにはキャラクターに強い光をあてたり、影を一段と暗くすることでキャラクターの心情などを表現する。

さらに色彩を使い分けることで、時間の経過を表現することもできる。

展覧会のポスターでも紹介されている、「となりのトトロ」のネコバスを描いた3枚のセル画を見てみよう。

1枚目では、作品に登場する「ネコバス」の基本となる色が指定されている。明るい部分は陽の光が当たっている部分。暗い部分は影になっている部分だ。

2枚目は、夕方を走るネコバスだ。日が沈み始め、空が茜色に染まり始めると、ネコバスの車内に照明が灯り、車体は暗く見え始める。それらを色の変化で表現している。

3枚目は夜を走るネコバスだ。周囲が暗くなり、車内の灯りが浮かび上がる。暗い中で街灯に照らされたネコバスの車体は緑がかった色になり、影も茶系のグリーンに近づく。

このように、ネコバスの車体の色彩で、時刻の変化を巧みに表している。

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最終更新:2018/11/19(月) 11:27
BuzzFeed Japan

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