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アイドルがファンを“大きなステージに連れて行く”確率は? ロックフェスとの比較も

11/19(月) 11:00配信

エキサイトミュージック

音楽にまつわるアレコレを数字で見ていく本連載、第4回は「アイドル」をテーマに取り上げる。

アイドル戦国時代を経て、まだまだ勢いの衰えない界隈だが、その中でも日本最大規模を誇るアイドルイベントがある。アイドル三大夏フェスのひとつ、東京・お台場で行われる「TOKYO IDOL FESTIVAL」(通称TIF)である。

例年、大きく盛り上がるこちらのイベントだが、実は「フジロックを意識して作った」と言われており、その目的は「参加者がさまざまなアイドルを知れること」であるという。

そう聞くと、私がついつい考えてしまうのはアレである。そう、アイドル・ロック・ポップスなど、ジャンルを問わず、大型フェスの出演者がステージで必ず誓う言葉、ずばり

「次は皆をもっと大きいステージに連れてくからね!」

発言である。

何かと目標として掲げられがちなこちらの「大きいステージに連れてく」問題だが、実際に「連れていける」のはどれくらいの確率なのだろうか?

というわけで今回は、題して「アイドルが『次は皆をもっと大きいステージに連れてく』確率はどのくらい?」問題を検証したい(過去記事:「ロックバンドが『次はもっと大きいステージに連れてく』確率はどのくらい?」/https://www.excite.co.jp/news/article/E1534149247366/の続編である)。

では今回は、先に結果を見てみよう。せっかくなので、最大級のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」と、同じく国内最大規模のロックフェス「ROCK IN JAPAN FES」での「大きいステージに連れてく」率を比べてみた結果がこれだ。

セカンドステージに連れて行く割合が、TIFが25%に対してロッキンが12%。メインステージはTIFが12%に対して、ロッキンが5%となっている。ロックフェスに比べると、アイドルフェスの方が、なんと2倍以上も「もっと大きいステージ」への出演率が高くなっているのだ。

もちろん、アイドルフェスとロックフェスでは、そもそもとしてフェスの規模・ステージサイズ・出演の仕組みなどが大きく異なってしまうため、単純な比較はできないものの、元々がロックファンの私としては、アイドルって本当に夢があるなと思わされる数字である…(その分、好きなロックバンドがメインステージに立った時のエモさはひとしおでもあるが)。

では次に、TIFのステージごとの詳細を見ていきたい…のは山々なのだが、その前にTIFの仕組みについておさらいしよう。アイドルファンの皆さんには釈迦に説法で申し訳ないので、極力簡潔にまとめるつもりだ。

まず、主な概要は以下である。

・例年8月上旬に2-3日間にわたって開催される
・初回を除き、東京・お台場で開催される
・近年の参加者数は1日あたり約2-3万人(※フジロックのおよそ3分の2)

今回はそのうち、2011-2018年の出演者を対象に調べていく。ただし、都市型屋外フェスの特徴なのか、TIFは毎年ステージサイズとステージ数が大きく変わる。

小さなステージはもちろん、年によってはセカンドステージすら設置されていないこともあり、ひとくちにTIFといっても年によってかなり実態が異なるため、なかなか調査しにくいのが実情だ。

また、TIFには完全有料のステージと、無料で楽しめるフリーエリア付きのステージが存在する。それぞれ完全有料のメインステージはHOT STAGE、フリーエリア付きのメインステージはSMILE GARDENと呼ばれている。

フリーエリア付きステージの方が出演時間が短く、より多くのアイドルが出演できるため、出演自体のハードルはやや低いと思われる。だが、一方でフリーエリア付のSMILE GARDENは「アイドルの聖地」とも呼ばれており、このステージでトリを務めることを目標としているアイドルも多い。つまりTIFは、フジロックのようなロックフェスと違って「大きいステージ=出演しにくい=皆の目標」という明確な図式がないのが実情なのだ。

今回は800-1000人の中規模ステージ「DOLL FACTORY」出演アイドルを対象として、彼女らが「どれくらいの確率で、その後大きいステージに出演したのか」を見ていこうと思う。あわせて、あくまで「成長」に焦点を当てているので、初登場でメインステージ・セカンドステージに出演した超大型新人アイドルは、今回は調査対象外とした(※なお、DOLL FACTORYを選んだ理由は2011年以降安定して設置されており、TIF参加者にとってお馴染みのステージであること、さらにメインステージ出演争奪戦なども行われる比較的ルーキー色の強いステージだからである)。

また、「出演」の定義を「グループでのワンマンライブ」として、スペシャルコラボや個人での出演、トークショー等は除いている。

ここらへんも「同じアイドルが違うステージで1日に何回も出る」「ただし出演メンバーは異なる」などという運営者の苦労を労わずにはいられない非常に複雑なタイムテーブルが組まれており、私としてもロックフェスと比べてデータが複雑すぎて、分析のしにくさが尋常ではなかった。正直、途中で何度か投げ出してふて寝したりもしたが、無事に分析できたのでぜひ最後までお付き合いを願いたい。

では、かなり説明が長くなったが、今回の記事の趣旨をまとめると

DOLL FACTORY(800-1000人)に出演後、翌年以降にメインステージ(1000人~)でワンマンライブが出来るようになったアイドルがどれくらいいるのか? というものだ。

それでは、そろそろ詳細を見ていこう。まずは、フリーエリア付ステージ編だ。

先ほど触れたようにSMILE GARDEN(2500-3000人)は「アイドルの聖地」としても知られており、多くのアイドルの目標とされるまさに「夢のステージ」に他ならない。

また、FESTIVAL STAGE(1000-1500人)はお台場・ガンダム像の真横という立地にあるステージであり、TIF参加者以外にもライブを見てもらえるという意味で、非常に重要なステージである。

では、DOLL FACTORYに出演したアイドルが、フリーエリア付きの「もっと大きいステージ」に出演できる割合はどれぐらいなのか? いよいよ結果を見てみよう。

結果は、セカンドステージ・FESTIVAL STAGEが29%、メインステージ・SMILE GARDENが31%である。

予想より、確率が「高い」と感じた方も多いのではないだろうか?(私自身も計算しながら、かなりほっとした数字だった)。およそ3分の1のアイドルが「皆をもっと大きい(無料ありの)ステージに連れてく」と考えると、ファンとしてはかなり希望のある数字だろう。

また、セカンドステージのFESTIVAL STAGEの方が出演率が低いのは、SMILY GARDENが毎年設置されているのに対し、FESTIVAL STAGEは年によっては設置されていないからだと思われる。いずれにせよ、フリーエリア付のステージは比較的アイドルにとって手の届きやすい「より大きなステージ」であると言えそうだ。

では、続いて有料ステージについて見ていこう。

800-1000人規模のDOLL FACTORYに比べ、次に大きい有料ステージであるHEAT GARAGEもしくはSHIP STAGEは、2500-3000人の規模。ほぼ3倍の大きさとなる。

さらに、最も大きい正真正銘の「メインステージ」であるHOT STAGEは、年によっては4000人規模にまで拡大している。観客全員が無料ではなく、お金を払って観に来てくれているファンだと考えると、文字通りDOLL FACTORYに比べて「ケタ違いの人気」が必要とされるステージだ。

では、DOLL FACTORYに出演したアイドルが、完全有料の「もっと大きいステージ」に出演できる割合はどれぐらいになるのだろうか?

結果は、セカンドステージであるHEAT GARAGEとSHIP STAGEが25%、メインステージであるHOT STAGEが12%となった。さきほどのフリーエリア付きステージに比べて、ガクッと数字が落ちてしまう。特に、HOT STAGEの出演率は10組に1組ほどだ。「TIFのメインステージに立つ」ということが、アイドルにとってどれほど大きな意味を持つのかよく伝わってくる数字である。

また、せっかくなので「かつてDOLL FACTORYに出演、その後人気が出てメインのHOT STAGEまで昇りつめた」アイドル・全24組のリストも出してみた。

<リスト(五十音順)>
Cheeky Parad、Doll☆Elements、Dorothy Little Happy、FES☆TIVE、G☆Girls、GANG PARADE、hy4_4yh、i☆Ris、palet、pre-dia、Sora tob sakana、Task have Fun、アイドルカレッジ、アイドルネッサンス、アップアップガールズ(仮)、しず風&絆~KIZUNA~、バンドじゃないもん!、フィロソフィーのダンス、まなみのりさ、わーすた、愛乙女☆DOLL、大阪☆春夏秋冬、東京パフォーマンスドール、虹のコンキスタドール

いかがだろうか? どれも戦国時代の最中、着実に人気を伸ばしてきた珠玉のようなアイドル達である。個人的には彼女たちの努力はもちろん、もし来年以降、推しがこのリストに仲間入りしてメインステージに立ったときは、ぜひ心の底から祝ってあげて欲しいと思う。来年のメインステージはどうなるのか、今から楽しみである。

■まいしろ
社会の荒波から逃げ回ってる意識低めのエンタメ系マーケターです。音楽の分析記事・エンタメ業界のことをよく書きます。

maishilo

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