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アングル:急騰するパラジウム、16年ぶりの「金と等価」に接近

11/19(月) 16:32配信

ロイター

[ロンドン 16日 ロイター] - 自動車の排ガス低減装置などに使われるパラジウムは、他の貴金属に比べて買い材料が豊富で過去最高値を更新し、16年ぶりの金との等価まであと一歩に迫っている。

パラジウム相場は、供給のひっ迫などを追い風に8月の安値から40%上昇。16日に1オンス=1185.40ドルの史上最高値を付けて、1オンス=1220ドル近辺で推移する金価格との差はわずか35ドルに縮まった。

三菱のアナリスト、ジョナサン・バトラー氏は「この数年続く供給不足が頂点に達した」と指摘。目先の心理的な上値抵抗線である1200ドルを超え、1300ドルまで上昇する可能性があるとみている。

シティバンクのアナリストチームによると、パラジウムの現物市場は過去約20年で最も需給がタイトな状況となっている。

自動車用触媒メーカーのジョンソン・マッセイは、パラジウムは今年23万9000オンスの供給不足に陥ると予想。調査会社GFMSは2020年まで毎年100万オンス強の供給不足が発生するとみている。年間市場規模は1000万オンス。

パラジウムは主にプラチナやニッケルなどの副産物として生産され、しかも最大の生産国である南アフリカが不採算のプラチナ鉱山の閉鎖を進めているため、増産で供給不足を解消するのは難しい。

一方、パラジウムが値上がり傾向にあるとはいえ、需要の8割を占める自動車産業は世界最大市場である中国での販売がこの数カ月低迷し、米国でも販売が横ばいとなっていることから、慎重さが必要と警鐘を鳴らすアナリストもいる。

ジュリアス・ベアのアナリスト、カーステン・メンケ氏は「中国では循環的な動きは非常に弱いままだ」と分析。自動車販売は11月初旬も減少傾向が続き、2015年末と同様に減税が取り沙汰されており、ショールームに興味を示さない消費者が増えているようだと説明した。

米中貿易摩擦により世界の経済成長が腰折れし、自動車販売が落ち込む恐れもある。

ただシティバンクによると、自動車市場でパラジウムがより安価なプラチナに取って代わられるリスクはまだ顕在化していない。こうした動きが進むためにはパラジウムとプラチナの価格差がもっと開き、世界の成長が持続して価格の高止まりが続くという確信が強まる必要がある。シティバンクはパラジウムが来年第2・四半期に1200ドルに達すると予想している。

パラジウム相場の押し上げ要因となっているのが、ディーゼル車の排ガス不正を受けた欧州自動車メーカーのガソリンエンジン車への切り替えの動き。ガソリンエンジンはパラジウムの使用量が多い。排ガス規制の強化も触媒用の貴金属の需要を押し上げそうだ。

これに追い打ちとなるのがパラジウム在庫の減少だ。ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)の指定倉庫の在庫は4万6965オンスと、2003年以来の低水準に接近している。

相場は期近物が期先物を上回るバックワーデーション(逆ざや)状態にあり、供給不足が読み取れる。

三菱のバトラー氏によると、産業用の需要は引き続き強い。

一方、パラジウムの買い持ちを8月に年初時点から大きく圧縮した投機筋は、その後もそれほど買い持ちを積み上げていない。彼らが今後、強気ポジションを膨らませれば、パラジウムは2011年以来の超的な上昇トレンドに存在する抵抗線を突破する力になるだろう。

シティバンクは、NYMEXの買い持ちが過去10年平均まで戻れば、パラジウム価格はさらに20─40%上がると見込んでいる。

最終更新:12/14(金) 18:39
ロイター

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