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<北朝鮮三池淵建設>正恩氏の無理な指示に恐怖の幹部 工期遅れて自腹で職工雇う 医大生まで強制配置決める

11/19(月) 5:10配信

アジアプレス・ネットワーク

◆工事遅れで慌てて熟練工を募集

去る10月30日、労働新聞は金正恩氏は北部両江道(リャンガンド)で建設中の三池淵(サムジヨン)観光特区の建設現場を視察したと報じた。今年に入って三回目の熱の入れようである。三池淵建設は、金正恩氏直々の指揮の下で行われている最優先国家プロジェクトの一つ。工事を担う「2.16突撃隊」という建設組織には、全国から労働者や学生が動員されて6カ月交代で突貫工事を続けてきた。しかし完工が度々延期され、地元の幹部たちは金正恩氏の叱責を受けていた。

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10月末の正恩氏の視察を前にして、党と行政の幹部たちは相当強いプレッシャーを感じていたようだ。零下30度にも冷え込む厳冬期に入る前に建設工事を進捗させるため、住民に無理な労力動員、資金供出を続けてきたが、住宅建て替え工事の期限である党創建記念日の10月10日までに終えることができなかったのだ。両江道に住む取材協力者は11月中旬、次のように伝えてきた。

「資金と資材の不足で完成のめどが立たず10月末に完工期日が延期されました。そのためでしょう、外壁と内装の仕上げのために、10平方メートル当たり1米ドルを支払うという条件で当局が職工を連れてきたのです。度々の工事の遅れで処罰を恐れた幹部たちが、急きょ金を払って工事を急がせたというわけです」

同じ両江道の恵山(ヘサン)市でも同様の事態が起こっている。渭淵(ウィヨン)地区の住宅建て替え工事が、やはり期日の10月10日までに終わらず、慌てて熟練工を日当30中国元(約500円)で募集し、連日仕上げ工事に当たらせているという。

「『高給』にひかれて他地域から熟練工が大勢集まっています。当局は、労力動員された『突撃隊員』たちが工事の遅れを取り戻すために自発的に金を出し合っていると説明していますが、そんなことはありない。金正恩から批判されるのが恐ろしくて、幹部たちが身銭を切ったり、また組織の金を投入しているのです」

北朝鮮では金正恩氏の指示は絶対だ。金正恩氏が10月末に現地を視察した後、両江道の住民向け電気は、三池淵工事に振り向けられてしまった。複数の協力者によると、11月16日時点で、住民世帯のほぼ全域で絶電状態が続いている。振り向けられた電気は、電熱コイルでセメントを乾かすために使われているという。


◆医大生を観光特区に集団配置させる
金正恩氏が世界一級の大観光地区にすることを目論む三池淵郡は、白頭山の麓にある山林地区だ。あらゆる労働力がまったく足りないため、恵山医科大学の卒業予定者たちが、大挙して「集団進出」させられることが決まったと、別取材協力者が11月中旬、次のように伝えてきた。進出というのは強制配置のことだ。

「両江道の党が直接乗り出して医大生の強制配置を一方的に決めたため、学生と親から強い不満が出ています。なんとか三池淵配置を避けようと、病気を名目にして子供を大学中退させる家もあったが、相当に厳格な決定だそうで、逃れられるのは数人程度に留まるでしょう」

北朝鮮は、たった一人の指導者に全国民、全組織が絶対忠誠、絶対服従を求められる「唯一領導体系」を国是としている。高級幹部たちが、指示された課題を執行できずに責任を問われて左遷されたり、地位剥奪、追放されたりということがしばしば起こっている。(カン・ジウォン)

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