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家族の健康にもつながる? 子どものがん教育

2018/11/21(水) 10:20配信

ベネッセ 教育情報サイト

日本人の2人に1人が生涯のうちにかかると言われる、がん。身近な病気であるがんに対する正しい知識を持てるように、学校で「がん教育」が始まりました。昨年度は約半数の学校が、がん教育を実施しています。子どもだけでなく、家族や地域への啓発効果があると言われているだけに、講師となる人材の確保や経費、時間などの課題をクリアすることが求められています。

「国民病」への無関心に警鐘

がんは日本人の死亡原因として最も多く、もはや「国民病」。ですが、がんについて健康な時から学ぼうという意識は低く、▽自分に合った治療法や療養生活の選択がうまくいかない▽マイナスイメージが強くがん検診の受診が進まない▽がん患者への偏見や差別を生む恐れがある……など関心の低さと弊害が指摘されてきました。
 そこで政府は、2012年に策定した「がん対策推進基本計画」において、子どもに対するがん教育を推進することとし、文科省はモデル事業を実施してきました。中学校・高校の新学習指導要領にもがんを取り上げることを明記し、授業で活用できる教材映像やスライドを作成するなど、がん教育実施の環境を整えてきました。

「治らない」イメージに変化

ここ数年の取り組みの実施状況を見るため、文科省は今年、がん教育の実施状況等を把握する調査を初めて行いました。調査対象は全国の国公私立の小学校から高校、特別支援学校など約3万7,000校で、2017年度にがん教育を実施した学校の割合は56.8%でした。(小学校52.1%、中学校64.8%、高校58.0%)。実施方法は「体育・保健体育の授業」が最も多く92.9%でした。
 がん教育を実施するに当たっては専門的な知識を持つ専門医など外部講師の活用が期待されますが、実際に活用した学校の割合は12.6%と低水準にとどまりました。活用の課題としては、「講師との打ち合わせを事前に行わないと、講師の話す内容と学校の要望にギャップが生じる」(34.1%)、「指導時間の確保が難しい」(30.3%)、「講師を探すのが難しい」(23.3%)、「謝金等の経費が確保できない」(18.7%)などが挙がっています。

 一方、外部講師を活用した場合は「健康と命の大切さについて主体的に考えることができた」(76.9%)、「がんに関する知識・理解が深まった」(68.3%)というがん教育の狙いに当てはまる回答も多く、「その他」の回答として「保護者や地域にも公開するなど広い啓発につながった」などが挙がっています。
 がんの啓発団体も、外部講師の養成や派遣に力を入れています。日本対がん協会が行っている出張授業のアンケートでは、授業前には「がんになったら治らない」と答えていた子どもたちが約60%でしたが、授業後は約20%に減ったという結果も出ています。
乳がん啓発団体の乳房健康研究会では、学校向けのがん教育ができるがん経験者を「ピンクリボンアドバイザー」に認定し、1,500校での展開を目指すプロジェクトを立ち上げています。

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