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国際派大作請負人・佐藤純彌監督の「6割の美学」

2018/11/24(土) 7:02配信

dmenu映画

映画監督・佐藤純彌。たとえその名を知らなくても、彼が監督した映画のタイトルを1本も知らない日本人は極めて少数ではないかと思われる。

『新幹線大爆破』(1975年)、『人間の証明』(1977年)、『野性の証明』(1978年)、『未完の対局』(1982年)、『敦煌』(1988年)、『男たちの大和/YAMATO』(2005年)などなど、どれもその時折々の日本映画界の超大作であり、大ヒットしたものも数多い。

そんな佐藤監督の半世紀以上の長きにわたる映画人生を本人自らの口で語った『キネマ旬報』誌の人気インタビュー連載を書籍化した『映画監督・佐藤純彌 映画(シネマ)よ憤怒(ふんど)の河を渉れ』が11月23日にDU BOOKSより刊行された(本体価格2800円+税/聞き手・野村正昭&増當竜也)。

また刊行に合わせて特集上映やイベント、作品のソフト化なども一斉になされる。

今なぜ佐藤純彌なのか? 少しばかり紐解いてみたい。

世界中をまたにかけた国際派大作の達人!

佐藤純彌監督作品の中でもっとも人気が高いのは『新幹線大爆破』であろう。走行する新幹線の速度が時速80キロ以下になると爆発する爆弾を仕掛けられた新幹線をめぐり、犯人グループと警察の攻防を描いたパニック映画超大作。これは日本よりもフランスで大ヒットし、後にアメリカ映画『スピード』(1994年)の元ネタにもなったほどの、いわゆる日本映画離れした面白さなのだ。

実は佐藤監督、『荒野の渡世人』(1968年)のオーストラリア・ロケをはじめ、『旅に出た極道』(1969年)の香港、『ゴルゴ13』(1973年)のイラン、『人間の証明』『野性の証明』のアメリカ、『蘇れ魔女』(1980年)『おろしや国酔夢譚』(1992年)のロシア、『未完の対局』(戦後初の日中合作映画!)『空海』(1984年)『敦煌』『北京原人Who are you?』(1997年)の中国、そして『植村直己物語』(1986年)の北極その他(植村氏が実際に冒険した足跡をたどりながらの長期極地ロケ!)など、およそ半世紀にわたって世界中をまたにかけた映画撮影を敢行してきた国際派監督であり、だからこそ日本映画離れしたタッチを具現化させることも可能だったのかもしれない。

こうした姿勢が映画に反映されているのだろう、1976年に発表した『君よ憤怒(ふんど)の河を渉れ』は日本では荒唐無稽なアクション大作といった扱いだが、中国では何と10億人が観たというウルトラ大ヒットを記録し、今年ジョン・ウー監督によるリメイク『マンハント』が作られたほどだ。

無実の罪で追われながらも真相を突き止めようとする検事の姿が、文化大革命が終わったばかりの中国の国民にとっては他人事ではなく、主演の高倉健や中野良子は日中の架け橋たる存在として、今も語り草になって久しいのだ。

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最終更新:2018/11/24(土) 7:02
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