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地雷処理兵が作業中の事故で両手と両目失う 中国・雲南、ベトナム国境

2018/11/24(土) 11:00配信

東方新報

【東方新報】中国・ベトナム国境の老山(Laoshan)の西、雲南省(Yunnan)文山州(Wenshan)麻栗坡県(Malipo)は10月11日、良く晴れて空気は爽やかだった。夏の高温期や雨の降り続ける季節に比べ、この時期は中国陸軍の雲南掃雷大隊第四隊(掃雷四隊)にとって、爆発物の除去作業をするには適した時期だ。

【関連写真】地雷処理に当たる兵士

  地雷探知機が「ピーピーピー」と音を発した。直径約30センチメートルの大木の下に、爆発物処理兵の艾岩(Ai Yan)さん(26)と上司の杜富国(Du Fuguo)さん(27)は、67式手榴弾1個を発見した。火薬を増量した危険物で、本体部分は地表に表れていたが、大木にさえぎられ、しかも木の底部には地雷が重ねられている恐れがあった。

  分隊長の指令に基づき、これまで同様、杜さんはそばにいる艾さんに対し「お前は下がれ、俺がやる、思い切り離れていろ!」と命令した。

 艾さんが大木から2メートルほど離れると、杜さんはうずくまって作業を始めた。その時、「ドーン!」とごう音が起こり、火炎と黒煙が立ち上った。艾さんは、耳が聞こえなくなった。仲間の兵士らが何かを叫びながら駆け寄って来るのが見えた。

 艾さんは「頭の中が真っ白になり、体はただただ震えていた」という。上司の杜さんは「肉の盾」のように、体は左後方に傾き、焼け焦げた砂だけが艾さんの顔を打った。爆発の衝撃波と大部分の破片は杜さんの体が受けとめたのだ。

 艾さんはかすり傷だけで済んだが、艾さんの代わりに大部分の爆発の衝撃と爆弾の破片を受けた杜さんは、両目と両足を失った。

  1か月が過ぎた今、社会は杜さんの身に起きた事故を知ったが、人民解放軍第926医院で治療を続けている本人は、自分の両目が摘出されたことをまだ知らない。

 杜さんは現在、自分の両手を失った現実に向き合っている。ベッドの上で、両目を閉じている。たまに、一言か二言、冗談も言う。家族や同僚の兵士、医療関係者は、治療に影響が出ないように、けがの実情を伝えられずにいるのだ。

 ■「地雷エリアの働き者」

 掃雷四隊の班長は、「爆発物除去の作業を行う際には、すべての隊員の中で、杜さんは最も多くの機器を持つ隊員だった。ツールボックスを持つのは杜さん1人だけだった」という。

 好き嫌いなく、辛い仕事も喜んで引き受ける杜さん。掃雷四隊の隊員は、杜さんに「雷場小モーター(訳:地雷エリアの働き者)」というあだ名をつけた。

 事故後、掃雷四隊は杜さんを担架で山麓まで降ろした。部隊に残された画像を見ると、救急車まで運ぶ途中、兵士たちは後に続き、絶えず「頑張れ!頑張れ!」と励ましの声をかけていた。

 ■妻は懇願 「誰か良い眼科医を知りませんか?」

 事故発生後、杜さんは車で約1時間の猛ドウ郷の衛生院に運ばれ手当てを受けた後、さらに2時間車で移動した麻栗坡県の人民医院に移送された。翌12日午前4時、妻の王静(Wang Jing)さん(25)ら家族が雲南省開遠市に到着した時、杜さんは解放軍第926医院に転送されたところだった。

「あなた、みんな来たわよ。気持ちをしっかりと持ってね、みんな待ってるから」と王さんがベッド上の杜さんに言うと、大きな響くような声で「OK」と答えたという。

 2人は恋愛結婚してまだ1年、子どもはまだいない。

 王さんにとって、夫の駐屯地の近くに来るのは3回目だ。普段は、夫婦は遠く離れた場所で別々に暮らしており、毎晩、ネット画像で無事を伝え合ってきた。2人の間で一番多く交わされる話題は、連続勤務8年となった夫が今年、3級士官へと昇進することだった。

 一見冷静を保っているように見える王さんは、夫が事故後に担架で運ばれる画像を見て、声を上げて激しく泣きだした。

「誰か良い眼科医を知りませんか? もしまだ可能性があるなら」とまた涙をぬぐい、「この人はこの仕事(爆発物除去)を愛しすぎていたのね」と言った。(c)東方新報/AFPBB News

※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。

最終更新:2018/11/24(土) 12:15
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