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貴景勝、元貴乃花親方に電話で初優勝報告…部屋消滅、激動の1年乗り越え「戦いはまだ続く」

11/26(月) 6:06配信

スポーツ報知

◆大相撲九州場所 千秋楽 ○貴景勝(はたき込み)錦木●(25日・福岡国際センター)

【写真】貴景勝の母が「ありえない美人」と話題沸騰

 22歳の小結・貴景勝(千賀ノ浦)が初賜杯を抱いた。千秋楽で前頭3枚目・錦木(伊勢ノ海)から13個目の白星を挙げ、2敗で並ぶ大関・高安(田子ノ浦)が結びで敗れたため史上9例目の小結Vが決定。前師匠の元貴乃花親方(元横綱)の偉業に続いた。22歳3か月での優勝は年6場所制定着(58年)以降の初土俵で年少6位。消滅した旧貴乃花部屋の力士としては初Vで、激動の1年を乗り越えた。殊勲、敢闘賞も獲得。初場所(来年1月13日初日・両国国技館)の活躍次第では大関取りの機運も高まる。

 貴景勝はこみ上げる感情を必死に抑えようとしたが、言葉を絞り出す唇が細かく震えた。優勝が決まった瞬間は、支度部屋で兄弟子の貴ノ岩と抱き合った。「うれしいです。弱い自分が出てきた。その中で自分と向き合うことが何よりだと思った」。不動の心を貫いてきた22歳が、言葉に詰まりながら短くつないだ。

 初優勝のかかる大一番。緊張で足が震えた。無類の強さを見せていた立ち合いで出遅れ、土俵際は左はずではたき込んだ。3横綱が不在場所の表彰式で賜杯を抱き「(優勝)できたのかぁと思った」。22歳3か月。58年の年6場所制以降では年少6位の記録で飾った。

 激動の1年だった。昨年10月、兄弟子の貴ノ岩が元日馬富士関から暴行を受けた問題で旧貴乃花部屋は混乱した。今年10月には師匠の元貴乃花親方が相撲協会を退職。部屋は消滅し、千賀ノ浦部屋へ移籍した。連日部屋に報道陣が詰め掛けたが「自分のやれることをやろうと思った。何より結果を出さなくてはいけない」と集中した。前師匠へ電話で優勝を報告した。

 小学4年の夏休みに参加した旧貴乃花部屋の相撲教室。ぶつかり稽古の順番で、部屋の弟子にぶつかった。「もう一回やってみて」と貴乃花親方から言われ、再度弟子にぶつかると、今度は親方が土俵に上がって胸を出した。10番ほど当たると次は「四股を踏んでみて」。ピンと伸びた足で力強く100回踏んだ。帰り際、一緒に来ていた父・佐藤一哉さん(57)に親方は声をかけた。「あの子は絶対強くなりますよ」。父は貴信という名前に、尊敬する平成の大横綱の名前を入れた。12年の時を経て、前師匠の言葉が現実になった。

 現在は東大に在籍する同級生もいるほどの学力を誇る私立の小学校に通っていた。勉強に集中する友人が多数を占める中で、6年時の卒業文集で「将来、横綱になる」と書いた。幕内で優勝するという夢の一つはかなえたが、まだ夢の続きがある。

 来場所の新関脇は確実。秋場所から9勝、13勝と星を重ね、来場所で11勝すれば「三役で直近3場所33勝以上」という大関取りの目安は満たす。阿武松(おうのまつ)審判部長(元関脇・益荒雄)も「内容が良ければ盛り上がってくる」と含みを持たせた。「戦いはまだ続く。来場所(成績を)残せなかったらダメ。しっかり自分の相撲を取り切って、やっていきたい」。真摯(しんし)な気持ちで相撲道を突き進む。(大谷 翔太)

最終更新:11/26(月) 8:46
スポーツ報知

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