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<アスベスト規制>これで大丈夫? 規制の内容知らぬ環境省委員 資格制度なく素人でも調査可 被害者団体が抜本改正訴え

11/26(月) 13:19配信

アジアプレス・ネットワーク

環境省におけるアスベスト規制の強化に向けた検討が本格化している。11月下旬には1回目のヒアリングで5団体が意見を述べた。被害者団体の訴えとは(井部正之/アジアプレス)

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◆規制すら知らない委員も

「アスベスト規制の抜本的な強化が必要です」──。

環境省が11月21日に開催した、大気汚染防止法(大防法)のアスベスト規制強化を検討する石綿飛散防止小委員会(委員長:大塚直・早稲田大学大学院法務研究科教授)で被害者団体らが訴えた。

アスベスト規制を若干強化した2013年6月の大防法改正(2014年6月施行)で、5年後の見直しが定められており、同省は10月からようやく法改正の検討を始めた。

ところが、10月18日の1回目会合で示した資料では、先行する厚生労働省に追随するだけの内容が多かった。罰則が適用困難なうえに軽すぎるとの問題についてはきちんと資料にも記載されておらず、環境省に踏み込むつもりがないことがうかがえる。しかもアスベスト規制の内容や実態を知らない委員が少なくない。過去の検討資料すら読んでいないとみられる委員までいた。これでは抜本改正にはほど遠い。

2回目の会合となる11月21日、業界団体などのヒアリングがおこなわれた。

被害者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の平田忠男会長(75歳)は「今日は『家族の会』会長として、また私自身胸膜プラーク患者として、さらに弟を41歳で悪性胸膜中皮腫によって亡くした家族・遺族として、思うところの一端を述べさせていただきます」と話し始めた。

2002年5月アスベスト被害者・遺族が初めて環境省や厚労省、日本石綿協会(当時)にアスベストの使用禁止などを求めたが、厚労省と石綿協会が「これからもアスベストを使用し続ける」と回答したことに平田会長は触れ、こう指摘した。

「石綿協会は『アスベストは管理して使えば大丈夫である』とする『管理使用』によって安全に使うことができると主張し、政府もそれを受け入れていた」

その2年後の2004年10月、国は建材への1%超のアスベスト使用を原則禁止した。翌2005年6月には兵庫県尼崎市のクボタ旧工場の周辺住民に中皮腫被害が判明した。

「当初クボタ周辺の被害は5人でした。半年後85人と報道されました。現在では339人に上っています。世界最大級の周辺住民の被害が発生しており、これはまさに公害です」と平田会長は言い、こう続けた。

「クボタのようなアスベスト工場はもうありませんが、アスベストの除去や建物の解体の現場ではアスベストの飛散や漏えいは続いており、大きな問題となっています。これらが『小さなクボタの工場』となって被害が発生するおそれは十分にあります」

◆素人が調査・分析・除去可能

尼崎市では解体現場3300か所に立ち入りし、1割超の380か所でアスベスト含有建材の調査での見落としを見つけているという。市が見つけなければ、アスベストを飛散させる事態になっていたはずだ。

こうした状況も踏まえ、平田会長はこう規制強化を求めた。

「アスベストの調査や分析、管理、除去はたいへん難しいですが、適切な資格制度やライセンスがありません。だれでもできてしまう状況です。現在使用されている建物のアスベスト除去を監視する気中濃度測定の義務さえありません。きちんと除去されたかどうか確認することもされていません。罰則も最大50万円の罰金では軽すぎます。抜本的な規制強化が必要です」

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