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サムスン子会社で粉飾 李副会長に波及か

11/26(月) 16:03配信

ニュースソクラ

経営権継承に疑義、李副会長の支配権が揺らぐのか

 11月14日、韓国の金融当局(証券先物委員会)は粉飾決算の疑いが持たれているサムスン・グループの医療品委託製造会社、サムスン・バイオロジックスに対し、「故意による粉飾会計」という最終結論を下した。代表取締役の解任勧告や80億ウォン(約8億円)の課徴金を命じ、「会計処理基準違反」で検察へ告発した。

 サムスン・バイオロジックスは、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の経営権継承の過程にも深く関係している。金融当局の今回の判断は、李副会長とサムスン電子の将来に少なからぬ影響を及ぼすものと見られる。

 2010年、サムスン・グループは半導体以後の主力の新事業としてバイオ産業などの5大分野を選定し、2011年にサムスン・バイオロジックスを設立、本格的にバイオ分野に進出した。

 2012年にはサムスン・バイオロジックスが米国のバイオジェンと合弁で医薬品研究開発びサムスン・バイオエピスを設立、サムスン・グループのバイオ事業はこの2社を中心に展開されてきた。

 2015年12月、設立直後から4年連続で赤字が続いたサムスン・バイオロジックスは1兆9000億ウォン台の純利益という驚くべき実績を記録した。サムスン・バイオエピスを子会社から関係会社に転換することで、同社の持分価値を帳簿価額(2900億ウォン)から市場価額(4兆8000億ウォン)に再評価して会計帳簿に反映した結果だ。

 その結果、サムスン・バイオロジックスは、未来価値に対する高い評価を受け、16年11月に上場を果たした。時価総額は27兆ウォンまで成長し、バイオを代表する銘柄となった。

 韓国金融当局は、サムスン・バイオロジックスがサムスン・バイオエピスを子会社から関係会社へ転換して大規模な純利益を計上したことを、「故意による粉飾」と判断した。子会社を用いて意図的に会社価値を脹らましたということだ。

 これに対し、サムスン・バイオロジックスは「バイオジェン(合併会社)のコールオプション行使の可能性が大きくなって会計処理基準を変更したもので、国際会計基準に準じるもの」と主張し、行政訴訟で対抗する考えを明らかにしている。

 サムスン・バイオロジックスの粉飾会計問題は2017年2月、「参与連帯」などの市民団体が疑惑を提起して始まった。

 「参与連帯」は「2015年のサムスン物産と第一毛織の合併当時、第一毛織の子会社だったサムスン・バイオロジックスの価値を膨らませた結果、李在鎔副会長が利益を得た」とし、サムスン・バイオロジックスを粉飾会計の疑いで検察に告発した。

 第一毛織とサムスン物産は15年の当時、1対0.35の割合で合併した。すなわち、第一毛織の価値がサムスン物産の約3倍に算定されたのだ。李副会長はサムスン物産の株は保有していなかったが、第一毛織の保有株が多かったので、この合併で統合サムスン物産の株式の16.5%を持つ筆頭株主となった。

 統合サムスン物産とサムスン生命はサムスン電子の2大株主だ。李副会長はサムスン電子の持ち株は0.57%に過ぎないが、自分が筆頭株主になっている統合サムスン物産と、統合サムスン物産が筆頭株主になっているサムスン生命を通してサムスン電子に対する支配力を拡大した。

 「参与連帯」などはこの合併過程で「李在鎔副会長のサムスン電子の経営権継承のため、サムスン・バイオロジックスの価値の水増しがあった」と主張してきた。

 今後、サムスン・バイオロジックスの粉飾会計事件はソウル中央地検の特捜2部に割り当てられ、検察の捜査を受けることになる。しかも、特捜2部を受け持っているハン・ドンフン検事は、『朴槿恵(パク・グネ) 国政ろう断事件』を担当した朴英洙(パク・ヨンス)特別検事チーム(特検)の中心人物だった。

 当時特検は、李副会長が承継作業のため朴大統領の側近に賄賂を提供し、その見返りとしてサムスン・バイオロジックスの上場を果たしたと控訴状に明示した。しかし、李副会長の1審と2審、朴元大統領の1審と2審で、いずれもサムスン・バイオロジックスに対する特検側の主張は受け入れられなかった。

 だが、今回の事件を担当する特捜2部が、「サムスン・バイオロジックスが上場要件を満たすために粉飾会計を行った」という結果に至ると、事業継承に不正があったことになり、李副会長の最高裁結審に大きな影響を与えかねない。

 サムスン物産と第一毛織の合併過程が改めて検察捜査に委ねられる可能性もある。合併当時、第一毛織の価値が相対的に高く評価された理由の一つが、第一毛織がサムスン・バイオロジックスの筆頭株主だったことだ。

 サムスン・バイオロジックスが2兆ウォンに近い利益を出す優良会社と評価されて、親会社の第一毛織の価値も跳ね上がった。サムスン・バイオロジックスの会計処理の変更が「粉飾会計」だとなると、当時の第一毛織の価値も不正に膨らましたことになる。検察がサムスン・バイオロジックスの粉飾会計の背景にまで捜査範囲を拡大すれば、波紋が広がる恐れがある。

 金融当局がサムスン物産を「特別監理」とする可能性もある。すでに朴用鎮(パク・ヨンジン)などの共に民主党の議員らは「サムスン物産に対しても監理すべきだ」と主張している。

 民事訴訟にも影響を及ぼしうる。すでに、旧サムスン物産の株主らが合併無効訴訟を提起している。 もし、合併無効の判決が下れば、サムスングループは莫大な費用を払わされるだけではなく、経営体制にも深刻な打撃を受けることになる。

 サムスン電子と李在鎔副会長は、再び瀬戸際に立たされている。

金 敬哲 (ジャーナリスト 在ソウル)

最終更新:11/26(月) 16:03
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