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犬など動物用の義肢装具の若き先駆者 全国から注文、1万匹支える

11/28(水) 13:10配信

sippo

 不自由な脚を補助する義足(義肢)や、体の負担を軽くする装具……。東京都町田市の島田旭緒(あきお)さん(38)は、動物の義肢装具づくりの先駆者だ。全国の動物病院などから寄せられる依頼は年間約3千件。対象となる動物は犬が多い。「動物向けの義肢装具の可能性を突き詰めたい」と話す。

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 東京都武蔵村山市の「りんく動物病院」のロビーで、15歳のミニチュアダックスフントの「竜」がペタペタとゆっくり走っていた。両前脚に、島田さんが作った赤い装具。飼い主の橋本りえさんは「支えがないとうまく歩けない。装具は欠かせません」。

 竜は5年前から、両前脚に関節リウマチを患い、脚を引きずるような歩き方になった。放置すれば骨が変形する恐れもあったが、装具で固定したところ、歩けるようになった。島田さんは「動物が楽になり、飼い主さんも喜んでくれるとやりがいを感じる」と話す。

 18年前、専門学校に通っていた頃、動物向けの義肢装具の研究論文が見当たらないことに気付いた。「ないものを作ってみたい」

 卒業後、人間用の義肢装具製作会社に勤務する傍ら、神奈川県内の動物病院に通った。骨折した犬の治療では、獣医師が手作りをした布製コルセットで背骨を固定していた。「需要がある」。そう思い、胸の腰椎(ようつい)を長期固定できる動物用コルセットを開発。特許を取り、2008年に「東洋装具医療器具製作所」を開業した。

 義足や装具は全てオーダーメイド。犬の装具の場合、まず石膏(せっこう)で脚の型をとり、装具の元となるパーツの型紙を作成。通気性のいいメッシュ生地をミシンで縫い合わせて作る。装具だけでなく、義足も100足ほど作った。納品後も、可能な限り飼い主の元へ通い、病気の進行に合わせて改良をほどこす。

 3年前に、日本獣医麻酔外科学会で初めて動物の義肢装具がテーマとなり、講演した。その影響で一気に口コミで広まり、関東のすべての獣医学部や全国1200以上の動物病院から依頼が届くようになり、これまで1万匹以上の生活を改善してきた。

 近年、犬や猫の平均寿命が延び、高齢化が進んだことで、義肢装具の必要性は一層高まっているという。

 「動物は話せないから、答えはない。症状に合わせて作らないといけない」。これからは、3Dプリンターを使った義肢装具作りにも挑戦するつもりという。

sippo(朝日新聞社)

最終更新:11/28(水) 13:10
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