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<北朝鮮内部>伝染病で死者発生 北部で腸チフス拡大か 当局の無策で被害拡大の兆し

11/29(木) 5:10配信

アジアプレス・ネットワーク

◆川の水、露天食堂など不衛生な飲食が原因

北部の咸鏡北道会寧(フェリョン)市で伝染病の腸チフスが急速に広がり死者も発生していると、11月28日、現地に住むアジアプレスの取材協力者が伝えてきた。治療薬の供給や防疫措置がほとんどなされず、沈静化する兆しが見えないという。(カン・ジゥォン)

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「11月初めからインフルエンザのような病気が発生していたが、一週間前にそれが腸チフスだと判明した。今、急に拡がっている。現在、●●洞だけで2人が死亡した。40歳の男性と55歳の女性だ」
現地を訪れた取材協力者は、このように実態を伝える。
※腸チフスはチフス菌が腸内に入って起こす急性伝染病で、発熱、下痢、出血などの症状が出る。

伝染病の発生にもかかわらず、当局はまともに防疫措置を取るつもりがないようだ。取材協力者は「昨年も腸チフスが流行ったのに、診療所には特別な予防薬や対策もない。当局は家々を回って『水は沸かして飲みましょう』という紙を貼って歩くだけで何もしない。病院に行っても血液検査を受けるようにと言われるだけで、薬の処方もしてくれず意味がない」と、無策の当局に不満を吐露した。

協力者によると、腸チフス流行の原因は、ろ過消毒が適切に行われてない水道や川の水を、家庭で沸かさずに利用しているためだという。また、露天の食堂には不衛生な水や食事を出す店が多く、食中毒や伝染病の原因になっている。

アジアプレスでは、昨年10月にも両江道での腸チフスの流行で死者が発生していたことを伝えている。また、会寧市では2015年9月に水道水から発がん性物質が検出されるなど、上水道の水質悪化が問題になっていることを報じている。

腸チフスというのは典型的な「後進国型」の伝染病だ。国民の健康と福祉のために清潔な飲料水を供給するのは国家の務めであるが、毎年のように各地でこの病気が発生しているのは、金正恩政権の怠慢と無関心の現れだと言えよう。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮内に搬入して連絡を取り合っている。

←クリックで拡大 村の共同井戸で水を汲んで家路につく女性。燃料代費節約のため沸かさずに飲む人が多い。2015年1月北朝鮮中部地方で撮影「ミンドゥルレ」(アジアプレス)

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