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トランプとの会談でプーチンのクリミア支配は一層強固に

11/29(木) 19:10配信

FNN PRIME

煮え切らないトランプ大統領

ロシア連邦保安局(FSB)の艦船がウクライナ海軍の3隻に砲撃し拿捕した事件で、国際社会がロシア非難の声を上げる中、トランプ大統領の態度が煮え切らない。「そんなことが起きたのは気に入らない。欧州諸国が対応に当たっている。直ぐに問題は取り除かれるだろう」という人任せなコメントで逃げを打っている。11月30日に始まるアルゼンチンでのG20首脳会議で「プーチン大統領と会談するのはやめる」という可能性を口にしてはみたものの、結局、首脳会談を行うことを国務省が発表した。

(画像)ロシア本土とクリミアを直接つなぐ20kmの橋

どうやら7月にヘルシンキで行われ同盟国を唖然とさせた首脳会談の再現になりそうな気配だ。プーチン大統領が再びマウンティングして力関係を改めて示してみせるって訳だ。ヘルシンキではロシア疑惑の不問だったが、今度はクリミアと事件があったアゾフ海へのロシアの支配はトランプ大統領もひっくり返せないと見せつけることになりそうだ。
もしかしたら、最初からそのつもりで米露会談1週間前のタイミングで事件を起こしたのかもしれない。

事件が起きたのは黒海の北東端に位置するアゾフ海の入り口だ。
アゾフ海は世界で一番浅い海といわれ、平均の水深は13mという。面積は九州の大きさをわずかに上回り、東にロシア、西にウクライナ、そして南西にクリミア半島が位置する。黒海からの唯一の入り口がケルチ海峡で、2014年のクリミア併合の後、ロシア本土と直接つながる橋を海峡に架ける突貫工事が行われ、今年5月に全長20kmの鉄道道路併用橋が完工した。
そして、ロシアによるケルチ海峡とアゾフ海への支配圧力が格段に強まった。

「アゾフ海は第二の南シナ海になった」

ウクライナとロシアは2003年12月の二国間合意で、双方の船舶にケルチ海峡とアゾフ海の自由航行を認め、アゾフ海を共同管理することを約した。その合意のロシア側の署名者はプーチン大統領で、合意文書は国連に寄託されている。

しかし、完工した橋の桁下高はかなり低く、航行する船舶が制約を受けることになった。さらに橋の安全管理を言い訳にしたロシアによる一方的な航行規制も行われ、自由航行とは程遠い状況になっているようだ。これでは、マリウポリなどウクライナの港湾都市にとってはたまったものではない。経済活動がじり貧になっていくのは目に見えている。

実際、砲撃・拿捕事件の経緯を調べてみると、もちろん双方の主張は対立しているが、ウクライナ海軍の3隻が事前通告の上で海峡に向かっていたところ、ロシアは海峡は一時閉鎖されていると警告。なおもウクライナ側が航行を続けたところ、FSBの艦船がウクライナ海軍のタグボートに体当たりするなど実力で航行を阻止、砲撃も行うに至った。更にロシア側は、対地攻撃機や戦闘ヘリに現場海域を飛行させるなど、圧倒的な軍事力を見せつけた。事件直後にロシア側は、橋の下に貨物船を横向きに停泊させ海峡の航行を完全にブロックした。
ロシア側は「領海侵犯があった」と主張しているが、世界のほとんどの国はクリミア併合を認めていないし、2003年の自由航行と共同管理の合意は破棄されていない現実を完全に無視している。

正に、ケルチ海峡とアゾフ海の「実力による一方的な現状変更」の試みと言える。
だからだろう、「アゾフ海は第二の南シナ海になった」という指摘もみられる。

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最終更新:11/30(金) 9:43
FNN PRIME

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