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ヘロイン依存症の人に政府がヘロインを配るスイス 日本とはまったく違う薬物対策の発想

12/3(月) 12:00配信

GLOBE+

「薬物問題は犯罪行為ではなく、健康や公衆衛生の問題」ととらえるのが、スイスだ。政府が患者にヘロインを処方したり、依存者が麻薬を安全に使える「注射室」が設けられたりしている。現場から浮かんだのは、問題を抱えた人を再び社会に迎え入れようという「包摂性」の考え方だ。(丹内敦子)

「これは純度100%。路上で売っているのは10%ほどだ」 

首都ベルンにある、ヘロイン依存者を支援するNGO「KODA-1」。共同ディレクターのフィリップ・ステットラ(46)は、小瓶に入った粉末状ヘロインをかざしてそう言った。医療用純度100%のヘロイン(ジアモルヒネ)は1グラム約20スイスフラン(約2300円)だが、路上では純度10%程度で50スイスフランするという。 

スイスには、医師の管理下でヘロインを処方する治療(SIH)がある。ここでは、スイス政府の委託を受け、登録した約160人の依存者にヘロインを処方。大半は1日2回、ここで自ら注射する。年中無休で、近くの大学病院の精神科医3人が交代で診察や処方を担当する。週末は看護師が医師と連絡を取りながら処方、監督する態勢をとる。各部屋は厳重に施錠。患者は入室時、指紋認証を求められることもある。 

利用者は平均44歳、7割弱が男性だ。平均17年間継続してヘロインを使用し、多くが薬物の問題とメンタルの問題を抱えているという。ステットラは「私たちの目標はまず、彼らが生き延びること。毎日ここに来て薬をもらって使い、帰って寝る。それを繰り返せば、誰かを困らせたり、罪を犯したりしない。本当の社会への再包摂ではないが、外に放っておくよりはいい」と話す。 

スイスでは一部の大麻を除き、麻薬などの所持や使用は法律上は禁止だが、「薬物問題は一義的に犯罪行為ではなく、健康問題、公衆衛生問題ととらえる」(連邦内務省公衆衛生局)。SIHは治療という位置づけで例外的に認めている。 

スイスはSIHを1994年に試験導入、98年に本採用。ヘロインは依存性が強く、薬を手に入れるために盗みや売春などの罪を犯しやすい。ならば健康保険を適用し、医師の管理下で処方・摂取させた方が本人や地域への害が少なくなる。政府がヘロインの供給の一部を管理することで、犯罪組織への打撃にもなるという考えからだ。

人口約850万のスイスで現在、約1700人がSIHを受ける。18歳以上で、2年以上継続してヘロインを使用、メタドン維持療法などの治療で効果が得られなかった重篤な依存者であることなどが条件だ。 

連邦内務省公衆衛生局でSIHを担当する医師カトリーヌ・リテ(53)は「SIHでは、患者は心理療法、心理社会学療法など全体的なケアを受けなければならない。私たち医師は患者に寄り添い、時期ごとに必要なものを的確に提供しなければならない」と話す。

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最終更新:12/3(月) 12:29
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