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2018年を振り返って 与信ニュースのキーワードは…(上)

12/4(火) 17:00配信

東京商工リサーチ

 2018年も残すところあと僅か。シェアハウス問題に端を発したスルガ銀行の不適切融資や日産自動車のカルロス・ゴーン会長(当時)の逮捕など、大きな経済ニュースが目立った1年を振り返った。

自然災害と海外市況の混迷

 2018年の企業倒産は低水準で推移し、4年連続で8000件台にとどまる見通しとなった。これは1985年から1990年までの6年連続前年割れを抜き、過去最長の10年連続の記録をさらに更新することになる。
 世界の景気は米国を中心に拡大が続いた。国内ではグローバル企業が利益を大幅に改善し、上場企業の収益は過去最高となった。2012年12月に始まった今回の景気拡大は、2018年12月で73カ月を迎える。これは戦後最長の2002年1月から2008年2月までの73カ月に並ぶ。ただ、実質所得の伸び悩みもあって実感の乏しい「景気拡大」になろうとしている。
 年後半に入ると米中の貿易摩擦、中国景気の減速、混迷する中東情勢で原油価格の高値など、不透明さが増した。国内では7~9月に西日本豪雨や北海道胆振東部地震など、大きな自然災害に見舞われた。この影響で個人消費が落ち込み、原材料費や人件費の上昇もあって7~9月期のGDP(速報値)は年換算▲1.2%と2期ぶりのマイナス成長になった。

増加が続く「人手不足」関連倒産

 厚生労働省が10月30日発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0.01ポイント高い1.64倍だった。1974年1月以来、44年8カ月ぶりの高水準で中小企業を中心に人手不足が深刻度を増した。
 2018年1-10月の「人手不足」関連倒産は324件(前年同期比20.4%増)と、増勢が続く。調査を開始した2013年以降で最多の2015年(340件)の件数を上回る勢いだ。
 内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が237件(前年同期比13.9%増)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が46件(同48.3%増)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が22件(同29.4%増)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が19件(同46.1%増)。
 「後継者難」型が7割(構成比73.1%)を占め、事業承継の問題も浮き彫りにしている。また、「求人難」型の増加も目立った。産業別では、最多がサービス業他の90件(前年同期比42.8%増)、次いで建設業の64件(同1.5%減)と、労働集約型の産業が突出している。
 業績改善が進んだ企業と遅れている企業の二極化が拡大している。小・零細企業は省力化投資の資金余裕もなく格差がさらに拡大する悪循環に陥っている。
 政府は深刻な人手不足から外国人労働者の受け入れ策に乗り出し、 新たな在留資格を創設した「出入国管理法改正案」を国会に提出した。ただ、法案が成立しても新制度導入は早くて来年4月以降で、当面の間は人手不足の解消は難しく、「人手不足」関連倒産はしばらく増勢をたどる可能性が高い。

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