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このドラレコで安全運転を 高齢者に貸し出し 映像分析し助言へ

12/5(水) 23:50配信

毎日新聞

 高齢ドライバーの事故が相次ぐ中、高齢者にドライブレコーダーを貸し出して映像を分析し、安全運転を教える取り組みが全国で広がっている。大阪府警は今年4月以降、70~90代の計27人を指導。民間の病院でも、レコーダーの映像や認知機能検査を基に、高齢者らに助言する専門外来の開設が相次いでいる。

 「車線を越えているのが分かりますか」。11月中旬、大阪市東住吉区の森本一雄さん(90)は、自らが運転したレコーダーの映像を警察署で見ながら、警察官の指導を受けた。車は片側2車線の右側を走っていたが、やがてラインをまたいで左側へ。森本さんは「こんなに寄っていたとは」と驚いた。

 道路交通法では75歳以上が運転免許を更新する際、判断力の低下などがないかを調べる認知機能検査を義務付けている。昨年3月の法改正では信号無視などの違反をした場合にも検査が義務付けられた。

 府警は今年4月から、検査対象にならない軽微な事故を起こした高齢者らにドライブレコーダーを貸し出して指導している。福井、山口、山形などの県警も同様の取り組みをしているという。

 不動産会社を経営する森本さんは物件の下見で車を使うこともあるといい、「長く仕事が続けられるよう、十分に注意して運転したい」と話した。

 医療機関でも対策が進む。大分市の井野辺病院は昨年4月、「高齢者自動車運転外来」を開設した。明らかな認知症ではないが、運転に不安のある高齢者を対象に認知機能などの検査を実施し、レコーダーも貸与。作業療法士が映像を分析して本人と面談し、注意点や安全な走行ルートなどを助言する。

 加藤貴志・リハビリテーション部副部長は「自分の運転をレコーダーの映像で客観的に見てもらうことで、悪い癖を自覚しやすくなる。不安な場合は運転免許を返納する選択肢も含めて、家族と話し合うきっかけにしてほしい」と話す。

 高知市の愛宕病院も高齢者向けの「自動車運転外来」を昨年10月に開設。検査で認知症の恐れを指摘された人も来院し、リハビリに取り組む人もいるという。【宮川佐知子】

 ◇免許の自主返納件数、過去最多の25万3937件

 運転免許を自ら返納する高齢者が増えている。警察庁によると、75歳以上の自主返納件数は昨年、過去最多の25万3937件に上り、10年前の約27倍だった。

 大阪市鶴見区の橋本英一さん(80)は今年7月、物損事故をきっかけに返納。当初は更新期限の秋まで運転を続けるつもりだったが、事故翌日、次男の一夫さん(50)に促されて返納した。

 橋本さんは清涼飲料の卸売業を営み、配達などで車を使ってきた。役員を務める商店街の行事でも、物資を車で運搬するなどした。橋本さんは「地域の人に頼りにされるのが、うれしかった。今は少し寂しいが、事故の心配がなくなり気が楽になった」と話す。【宮川佐知子】

最終更新:12/5(水) 23:50
毎日新聞

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