ここから本文です

「地震に強い西武線沿線」 後藤西武HD社長に聞く

12/5(水) 12:30配信

ニュースソクラ

【ニュースソクラ編集長インタビュー】西武ホールディングス 後藤高志社長に経営を聞く(中)

 ――池袋がホームズの調査で2年連続で住みたいまちナンバーワンになるなど、西武鉄道沿線の良さが見直されているように見えますが。

 他の鉄道に比べて、再開発の余地がまだまだあるのです。たとえば、所沢駅東口では、ことし3月に駅ビル商業施設のグランエミオ所沢が開業しましたが、来春には駅の線路上に第二期分がオープンします。さらに2020年代半ばには西口の再開発も出来上がります。駅周辺は魅力ある街に変わるでしょう。

 池袋には、来年3月には西武線の線路の上にダイヤゲート池袋が完成します。線路上に100メートル級のオフィス・商業ビルが建つのは日本で初めてです。これは敷地が旧西武鉄道本社があったところで、西武ホールディングス本社が所沢から移り、プリンスホテル本社や西武プロパティーズ本社も入居します。西武鉄道には引き続き本社は所沢を守ってもらい、西武ホールディングスの新池袋本社との連携もこれまで以上に留意して深めていきます。沿線にはまだまだ潜在力があるのですよ。

 ――列車が飛び出すビルと話題のビルですね。池袋線の飯能駅近くにはムーミンパークも11月に一部開業しましたね。

 開業から2日で累計1万人を超える来場者があったそうです。まだ無料部分の一部開園ですから、来年3月のムーミンバレーパークの開園後の本格稼働が楽しみです。ムーミンの作者の母国のフィンランド以外でムーミン村ができるのは世界で初めてです。年間100万人の来場を期待しているということですが、もっと人気がでるのではないかと思っています。

 沿線の目玉施設としては、メットライフドームの周りも180億円をかけてボールパークとして来場者に野球観戦だけでない楽しみを提供できるようにしたいと思います。バックネット裏には球界最大のVIPラウンジを作る一方、屋内キッズパークも整備します。練習場も整えて、さらにライオンズが選手育成で強いチームになれるような仕掛けてもあります。

 ――観光地という点では、秩父や川越への顧客呼び込みにも力を入れているようにみえますが。

 秩父は山手線から一番近い国立公園なのですよ。秩父、川越の観光地としての潜在力はまだまだと感じていますから、西武秩父駅もきれいに整備し、「祭の湯」という駅前温泉を開業しましたが、年間100万人が来場するヒットになっています。

 ――西武線沿線は地盤が固いとの報道がありましたが。

 東日本大震災のときも被害がほとんどないなど、地盤の固さには体感があったのですが、地盤ネットという調査会社が、沿線の地盤の固さを調査して西武池袋線と新宿線は地盤の固さが他の鉄道路線よりも優れていると評価してくださいました。池袋線は高い評価をいただいた駅が多く、石神井公園駅は最も地盤が固いという評価を受けた駅の一つです。地震に強いというのはうれしい評価ですよね。

 ――このインタビューが掲載される11月28日は「いい地盤の日」に設定され、西武鉄道が表彰されるのですか。

 ええ、地盤安心住宅整備支援機構が第一回の「いい地盤の日アワード」に西武鉄道を選んで、表彰してくれます。「いい地盤を走り、誘致を行っている」というのが理由だそうです。

 ――西武鉄道が沿線価値の向上に力を入れるというのは、後藤さんが来るまではあまりなかった発想ではないですか。

 私自身、60年以上西武線の沿線に住んでいるのですが、駅や鉄道に投資があまりされていない印象はありました。それで、就任直後から駅の改善事業には手をつけて、下井草、野方の駅で線路をまたぐ自由通路を作り、自転車も通行できるようにしました。

 鉄道投資の延長で、踏切問題をなくす立体化にも取り組んできました。池袋線は高架化工事が終わったところです。新宿線は中井ー野方間の地下化工事を進めています。東村山駅などの高架化工事も進行中です。

 駅員の制服もそれまでのライトブルーからネイビーブルーに全面更新しました。鉄道に強い関心を持っていることを社員にわかってもらいたくて実施したのですが、制服効果は社員のモティベーション(意欲)にプラスに働いたと思っています。いまでも私は鉄道会社の制服の中では一番カッコいいと思っているぐらいなのですが。

 ――新型特急がちょっと話題ですが。

 宣伝臭くなりますが、25年ぶりの新型特急「ラビュー」もネット上でたくさん書き込みが起こっていて、手ごたえを感じています。建築のノーベル賞とも呼ばれるブリツカー賞の建築家、妹島和世氏にデザインを依頼したもので、広い窓が特徴です。女性専用のトイレを設けるなど随所にお客さまへの気配りがある車両に仕上がったと思っています。

 一般車両への投資も力を入れていますよ。2006年に30000系の車両の開発を始めたのですが、プロジェクトチームには女性社員も加わってもらって、女性に目の向いた車両作りに取り組んでもらいました。後続の40000系では、キッズデザイン大賞とグッドデザイン賞のダブル受賞にも恵まれています。 

 いずれも、社員のやる気に火が付いたことがよい結果を生んでいると思っています。

 西武鉄道は年間乗車客が6億人にも上ります。これはとてつもない財産で、強みですが、同時にそれにお返しをしていくことが大切だと思っています。

■聞き手 土屋直也(つちや・なおや) ニュースソクラ編集長
日本経済新聞社でロンドンとニューヨークの特派員を経験。NY時代には2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった1991年の損失補てん問題で「損失補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年、日本経済新聞社を退職、ニュースソクラを創設。

最終更新:12/5(水) 12:30
ニュースソクラ

あなたにおすすめの記事

Yahoo!ニュースからのお知らせ