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運転手が突然意識失う…バスで相次ぐ「健康起因事故」防げるのか 「万が一」にどう対応

12/5(水) 16:10配信

乗りものニュース

事業者間でも意識が高まる「健康起因事故」

 2018年11月15日(木)、三重県の紀勢道を走っていた観光バスの運転手が突然意識を失い、それに気づいた乗客らがハンドルを握り、バスを側壁にぶつけて停めるという事故が発生しました。

【画像】将来はさらに進化「ドライバー異常時対応システム」

 同様の事例は、紀勢道における事故の2週間前には千葉県、10月には神奈川県、6月には富山県と、相次いで発生しています。バスなどの道路運送事業者は、運転手が疾病などで運転を継続できなくなった事象について国に報告する規則がありますが、国土交通省自動車局安全政策課によると報告件数は増加傾向にあり、2016年には300件を突破。うち3割で物損事故や人身事故につながっているといいます。

 国土交通省の資料によると、このような「健康起因事故」を起こした運転手約1000人の疾病別内訳では、くも膜下出血などの脳疾患が16%、心筋梗塞や心不全などの心臓疾患が14%、さらに消化器系疾患6%、血管疾患4%、呼吸器系疾患5%と続きます。このため、同省では運転手の健康管理マニュアルや、脳血管疾患の対策ガイドライン、突然の意識障害の原因となる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策マニュアルなどを策定し、「健康起因事故」の防止に向けて事業者や運転手が知っておくべき内容や、取り組むべき対策を示してきたそうです。

 なお安全政策課の担当者によると、「事故を起こすのは必ずしも高齢ドライバーだけではありません」といいます。

「起こってしまった事故」の被害を抑えるハード対策も

「健康起因事故」は、ひとたび起これば大きな被害につながりかねません。国土交通省では、起こった事故を拡大させないためのハード対策として、緊急時に車両を自動で停止させる「ドライバー異常時対応システム」のガイドラインも策定してきました。

 そのシステムが、2018年夏に発売された日野の大型観光バス「セレガ」の新型、およびその兄弟車であるいすゞ「ガーラ」の新型で初めて採用されています。運転席と、運転手の顔が見える最前列客席の上方に「非常ブレーキ」スイッチが搭載されており、これが押されると、車内外で警告灯やハザードランプ、クラクションなどが作動したのち、自動で停止するというものです。

 はとバスでは9月に、このシステムを備えた「ガーラ」の新型を5台導入。ツアーの出発前に、そのようなシステムがある旨を車内アナウンスで説明しているといいます。未搭載の車両においても、緊急時マニュアルを用意し、バスガイドにもサイドブレーキを引いて車両を停止させるよう教育しているとのこと。

 また、近年は乗用車でも、センサーで障害物を検知して自動的にブレーキをかける衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる「自動ブレーキ」)が普及していますが、車両総重量12t以上の観光バスにおいては、2014年から段階的に、新車への装着が義務化されています。

 バス事業者のコンサルタントである高速バスマ―ケティング研究所代表の成定竜一さんによると、日本のバスでは2010(平成22)年に初めて衝突被害軽減ブレーキが搭載され、2018年現在で観光バス車両への普及率は6割程度ではないかといいます。「バスの更新基準は12~13年ですので、『ドライバー異常時対応システム』も、あと10年もすればかなりの車両に普及するでしょう」とのことです。

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