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番匠谷紗衣、聴いてもらう事で見つけた価値 「科捜研の女」主題歌で注目の19歳シンガー:インタビュー

12/5(水) 17:30配信

MusicVoice

 19歳のシンガーソングライター・番匠谷紗衣(ばんじょうや・さえ)が、12月5日発売のシングル「ここにある光」でメジャーデビューした。同作は、テレビ朝日系ドラマ 木曜ミステリー「科捜研の女」主題歌。カップリングには、中学時代から大好きで聴いていたという尾崎豊さんの「Forget-me-not」カバーなどが収録されている。今回はそんな彼女にインタビューをおこなった。【取材・撮影=木村陽仁】

 『科捜研の女』で主演を務める沢口靖子は同曲が主題歌に起用された際に、「イントロのメロディがやさしく甘く切ないですね。何度も歌を聴いていたら涙が出てきました」とコメントした。

 19歳の番匠谷紗衣。その歌声は、柔らかみを持ちながらも力強さがある。昨年11月に大阪から上京。この間にミニアルバム『未完全でも』をリリースした。東京での葛藤や、亡き友人への後悔、それでも前へと進む、そうした10代を生きる彼女のありのままの姿が同作から滲み出ている。

 曲を聴いてもらうことで生きる価値を見出したという彼女はなぜ歌うことに目覚めたのか。歌と出会い、大阪での活動を経て、上京。そうして迎えたメジャーデビュー。彼女の想い、そして軌跡を辿る。

<INDEX>
○自分の心と向き合った『未完全でも』、転機となった作品
○「ミュージシャン・番匠谷紗衣」が誕生するまで、今と繋がる感情
○「ここにある光」に込めたもの、そして尾崎豊さんへの想い

自分の心と向き合った『未完全でも』、転機となった作品

――上京して良かったことと悪かったことは?

 良かったことしかないかもしれないです。出会う人が「プロだな」と思う人ばかりで。それはどのジャンルでもそうで、物事に対しての考え方に自信があって向かっている人ばかりだと感じて。だから、プロに対する概念が変わったというところが良かったです。逆にいやだなと思うことは、自分の話をちゃんと聞いてくれる人とそうでない人が分かるようになってきてところ。私は、人との関わりをもっと大事にしたいと思うから、そういうのが分かるようになったのは成長でもあるけど、「大人になってしまったな」みたいなものでもあります。

――『未完全でも』を聴くと、東京での葛藤が出ているようにも感じましたが、その辺はいかがですか?

 曲に出てしまっている(笑)。「寂しいな」と普通に思ったりするんですよ。その寂しさに埋もれていってしまうなと。それまでは、自分だったら何でもできる気がしていたのに、その自信が全てなくなって。そんなときに書いた曲ばかりです。でも、東京での生活にも少しは慣れてきて、今は寂しい気持ちはなくなりましたよ。

――今作の『ここにある光』は、そのミニアルバム『未完全でも』と繋がっていると思ったのですが。

 はい! 繋がっています。

――やはり。それなら『ここにある光』の話を聞く前に、もう少し『未完全でも』について教えて下さい。『未完全でも』はどういう思いで作りましたか?

 先ほどの話にもありましたが、自信がなくなって立ち止まった時期があって、「自分に何ができるだろう」と自信がなくなってしまって。そのなかで、「やるしかない!」という前向きな気持ちを、綺麗に作るのではなく、自分の内面を隠さないでむき出しに書こうと。10代最後のミニアルバムだし、自分が今立ち止まっているんだということを記録として残したくてそのまま書こうと思ったんです。でも最終的には、私自身にとっても、聴いてもらった人にも「もうちょっと頑張ろう」と思ってもらえるようなアルバムにしたいと思って作りました。

――収録曲のなかでも「紫空」と「大人になっても」は、気持ちの部分がダイレクトに表れているなと思いました。この2曲に込めた想いは?

 このミニアルバムに向けて凄くたくさん曲を作っていて。それでも自分で納得がいく曲が書けなくて朝方までファミレスで書いていたんです。その時期はいつも空が紫色に見えていて。朝方まで曲を書いて、夕方に空を見るみたいな日々が続いていたから、「紫の空を見ていた時期は一生忘れへんやろうな」という言葉が浮かんでいて、それをそのまま書いたのが「紫空」です。

 こんなに自分の気持ちを素直に書くということは今までなかったので、出すまで「これ大丈夫なのかな」という不安な気持があったんですけど、この曲が一番、聴いてくださった方も「素直に入ってきた」と言っていただけるので、書けて良かったなと思います。書いたときは「こういう曲を書こう」とかそういうのではなくて、今感じていることをそのまま書いたという感じでした。

――「紫空」という表現が良いですよね。季節感を感じますよね。赤い夕焼けでしたらだいたいが秋ですし、紫はなんとなく、湿った感じの初夏を連想させます。『未完全でも』で最初に出来た曲は?

 「大人になっても」です。この曲は18歳くらいに書いた曲です。

――「大人になっても」は更に感情が剥き出しというか、「大人になること」へのある種の嫌な思いが出ているのかなとも思いました。

 そう言われて、そうだったのかもしれないと、今初めて気付きました。この曲を書いたのは、友達が亡くなってしまったことがきっかけでした。私は人間関係が得意ではないから、今までちゃんと人と接してこられなかったというか、何となくしか関わってこられなかったんだな…とそのときに思って、凄く後悔が押し寄せてきました。もっとちゃんと話したり、もっと心に残るような思い出をたくさん作っておけば良かったと後悔して…。

 亡くなったから曲を書こう、ではなくて、一生懸命もっと生きなければな、と。それから長い時間考えました。その一つの答えとして、もっと自分は色んなことを心に残しながら生きていかなければいけないと思って。その答えを自分なりに出したときに書いた曲なのです。大人になって、どんどん上手く生きられるようになっていくのだろうけど、そうじゃなくて、今、傷付きながらでもちゃんと一つひとつに向き合って生きていきたい、という気持ちを思い出せるようにこの曲に残したという感じです。

――感情むき出しの曲を書いた、との話ですが、曲調や表現方法はそれまでは全く違っていた?


 私自身が、自分の中にある、グチャグチャした部分があるということに気付いていなかったというか。そこまで自分と会話できていなかったと思うんです。だけど、これをきかっけに、ただ過ぎていくのを待っているだけではなく、自分とちゃんと会話して、今本当に自分がどう思っているのかというのを考えるようになりました。昔は、ただ閃(ひらめ)いた言葉を使って楽しく曲を作っていたんですけど、それだと届くところまでいかないかもしれないと。一つの課題として、「今までの自分ではいけない」という思いがありました。自分の曲に自信がなくて。それはやっぱり閃きで作っているからだと思っていて。

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最終更新:12/5(水) 17:30
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