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投資家はまだ米国と中国の関係の根本を理解できていない

2018/12/5(水) 12:30配信

TechCrunch Japan

先週末、ドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席は、米国の対中関税の緊張緩和のようなものに合意した。アジアの株式市場は好意的に受け止め株価は上昇したが、その理由が私には解せない。加えて、Bloombergのスパイ報道の復活とベルリン空港についても取り上げる。

関税の猶予で中国の株式市場は上昇ーしかしなぜ?

トランプと習は関税の引き上げ実施を90日間延ばすことに合意し、また中国は米国の商品(特に農産物)の輸入を増やすことを提案し、2カ国の政権は長期的な合意に向けて地道に進めようとしている。

アジアにおいては、株価が回復した。中国と米国の貿易戦争が次第に激しくなるにつれ、中国の株式市場はここ数カ月間、低迷していた。一例として、Tencentの価値は1月のピーク時の3分の1を失った。また、香港市場でのZTEの価値は、今年初めの半分になっている。こうした企業の株式を考えたとき、関税の引き上げ猶予がしばしの休憩になるというのは、極めて道理にかなう。

しかし実際のところは、それほどでもない。ここに課題を挙げよう:一体何が変わったのか。私の意見では、マーケットは中国の経済だけでなく、米国のリーダーシップについてもかなり判断も誤っている。

Tencentのような中国株式は、関税のために値を下げたのではなく、中国における新たなビデオゲームのリリースを制限するという政府当局の規則によって下がったのだ。ビデオゲームはTencentのあらゆる売上の根幹であり、この業界における新規制はTencentの株式を関税戦争よりも壊滅させた。

中国政府が、派手に宣伝したソーシャルクレジットシステムやVPN制限、クラウドインフラ政策などを通じて国中の社会とテクノロジーへのコントロールの強化を続けるだろうというのは明白だ。そうしたコントロールは主に社会や経済の状態を一定に保つためだが、米国のインターネット企業が中国マーケットに入ってくるのを阻止するという大きな利点もある。

こうしたコントロールがなくなるということがどうしてあるだろうか。ホワイトハウスは夕食会についての声明文で、「トランプ大統領と習主席は、強制的な技術移転、知的財産の保護、非関税障壁、サイバー攻撃、サイバーによる盗み、サービス、農業に関する構造改革についてただちに交渉を開始することで合意した」と発表した(太字強調は筆者によるもの)。彼らは確かにこうした問題について話し合うだろうと思うが、何かが変わるかといえば、私はかなり懐疑的だ。

一方、ZTEの株価は今日、香港市場で10%近く上昇した。しかし実のところZTEにとって関税が重しとなっていたのではない。ZTEは、米国そして国際諜報同盟の国々から、ZTEの製品は中国政府のスパイ活動の最前線ではないかという疑いの眼差しがかなり向けられている。ZTEは、米国の輸出制限(主に産業スパイ活動への報復として)で今年潰れそうになった。ZTEとHuaweiは最近オーストラリアのようなマーケットから、そして今週末にニュージーランドからの締め出しに直面している。

こうした禁止令がなくなるということがどうしてあるだろうか。米国国家安全保障局はHuaweiとZTEが米国内で機器を展開することを認めないだろう。これまでと同様だ。かなり率直にいうと、中国の非関税障壁を取り払うためにHuaweiの米国展開を認めるという選択肢であれば、米国の交渉担当者は協議の場から立ち去るだろう思う。

ゆえに、マーケットは基本を誤判断している。21世紀で最も重要な経済関係について詳しくなったという点では良かったのかもしれないが。

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最終更新:2018/12/5(水) 12:30
TechCrunch Japan

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