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『ヒプマイ』一二三みたいなホストっているの? 新宿歌舞伎町の一流ホストクラブを直撃!──シャンパンタワーの真髄からホストの生態まで徹底調査。一晩の売上総額2億円ってほんと?

12/5(水) 11:30配信

電ファミニコゲーマー

 現在、日本一有名なホストといえば……。
 誰がなんと言おうと『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』(以下、『ヒプノシスマイク』)に登場する伊弉冉一二三(いざなみひふみ)! 彼をおいて他にいないでしょう。

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 『ヒプノシスマイク』は、音楽CDを軸に展開をするラップバトルコンテンツ。その人気はすさまじく、2019年にはアイディアファクトリー(オトメイト)よりリズムゲームアプリの配信が予定されています。
 池袋の“乙女ロード”を歩いていると、通りすぎる女性たちの会話から『ヒプノシスマイク』の名をいたるところで耳にします。

 そんな『ヒプノシスマイク』には医師や警官、小説家にファッションデザイナーなど、バラエティに富んだ職業に就いているキャラクターが登場しているのですが、なかでも気になるのが、生活もその仕事のスタイルも謎に包まれている“ホスト”ではないでしょうか。ファンたちの間では「ホストの世界ってどんな感じなのかな?」と話題になることもしばしば。

 とはいえ、“ホスト インタビュー”とネットで検索をしても、ヒットするのは「ホスト流、女性を落とすテクニック」「ホストと金」などばかり……。違う! 知りたいのは、男女の恋愛やお金のことではない!
 伊弉冉一二三が仕事にしている「ホスト」業界とはどんなもので、シャンパンタワーとは彼らにとって何なのか……そして、オンとオフで人格は違うのか。  さらに、ホストたちは何を食べ、どこで買い物し、プライベートはどんなことをしているのか。会社員とホストの同居は可能なのか……。そう、一二三がいるならどんな生活をしているのかが知りたいのです!

 血眼になって検索を続けていると「ホスト用語」がまとめられている『AIR GROUP MAGAZINE』にたどりつき、このサイトを運営するのが新宿歌舞伎町を中心に全国展開をする大手ホストグループAIR GROUPであることが分かりました。

 大手ホストクラブなら、きっとホスト業界を知らない、他ジャンルの人間にも対応してくれるはず! と思い、「2次元キャラクター・伊弉冉一二三の生活が知りたいので、一流ホストにインタビューをさせてください。……なお、イケメンで優しくて知的な王子様系のホストが希望です」と、欲望むき出し状態で、すぐさま取材を依頼。
 すると……快く許可をしていただきました! 

 ということで、今回は、AIR GROUPの「ALL BLACK」代表取締役である霧夜さんに、ベールに包まれたホスト業界のあれこれをお伺いしてきました。

 「ひと晩の売上が総額2億円ってホント?」「オンとオフ、ホストとしてのスイッチが入る瞬間は存在するのか」そんな知られざるホストの生態はもちろん、一二三の歌にまつわるシャンパンコールやシャンパンタワー、さらには、バースデーイベントについてもを赤裸々に語っていただきました。

 記事後半には、筆者自信がホストクラブの「初回」を体験。その様子をつぶさにお伝えいたします。

取材、文/ミゲル
取材、構成/かなぺん
店内撮影/田中一矢

■29歳のホストは年齢的にも“最高”の時期

──アニメやゲームの世界は、霧夜さんのような一流ホストには馴染みが薄いと思うのですが……。

霧夜:
 そんなことないですよ、僕もゲームをプレイしますし、ホストはどんなお客様とも話せるようにするのが仕事なので、スマホのアプリゲームなどもチェックしています。それに、僕のお客様にも2次元が好きな方がいらっしゃいますよ。

──そうなんですね、少し安心しました。今、女性たちの間で『ヒプノシスマイク』というラップ音楽CDが流行していて、そこに伊弉冉一二三という男性キャラクターがいるんです。彼の職業がホストでして……。そんな一二三が身を置く“ホスト”という職業についていろいろ知りたく思い、お伺いしました。

霧夜:
 『ヒプノシスマイク』の名前は聞いたことがありますよ。なんでも、シャンパンコールにちなんだ曲があるとか。

──えっ!? ご存知なんですか?

霧夜:
 はい。AIR GROUPは大型グループなので、事務所を中心に情報を共有しています。“いま2次元が好きな女性たちの間で、ホストキャラが人気だからチェックしといてね”という情報が数ヵ月前に届きました。

 それが動機で、実際にホストクラブにいらっしゃった女性もいるとか。

──恥ずかしいやらなんやら(笑)。ところで“事務所”というのはどういったものなのでしょうか? お店とは違う? ホストの世界について無知なもので……。

霧夜:
 AIR GROUPは、本店といわれる「CLUB AIR」を中心に全国で15店舗のホストクラブをプロデュースしていて、僕が代表を務めている「ALL BLACK」もそのうちの1店舗です。それだけの数のホストクラブがあると、ホームページの更新、写真撮影、イベント提案、名刺の発注、広告制作、メディア出演の管理など、事務処理が膨大になるので、事務所はそれらをまとめてくれている存在です。

──なんというか“会社”ですね。

霧夜:
 そうですね。総務、広報、宣伝がひとつになった存在と考えてください。僕たち代表は、事務所のスタッフと今後の店舗展開についてミーティングなどを行ったりもするんですよ。

 もちろん、全てのホストクラブに事務所があるわけではないので、大型店舗特有のものだと思いますけれど。

──正直、ホストクラブのイメージは漫画『夜王』(集英社)や『ご指名です!』(集英社)から受けたものが多く、2018年現在のホスト事情が分からないのですよ。

霧夜:
 『夜王』ですか……。それはまた、ずいぶん前のイメージですね。

──えっ! 『夜王』の連載終了は2010年ですよ?

霧夜:
 そもそも『夜王』自体が掲載より少し前のホスト業界を描いていると感じますが、それを抜きにしても8年前ですから……。ファッションに流行があるように、ホスト業界も8年経てばかなり変化します。
 今はあの頃とはちょっと、いや、かなり違うと思いますよ。

──そうなんですね……現実とのギャップに衝撃を受けそうです。
 あっ、これは偶然なのですが『ご指名です!』に登場する主人公ホストの名前も“霧夜”なんですよ。その霧夜は作中でピアノを披露するのですが、ホストの方はそういう一芸はあるものなのでしょうか?

霧夜:
 ピアノですか……。僕は上手いとは言えませんが、少し嗜みがあります。

──すごい……。なんだか試すような質問を初っ端からしてしまいスミマセンでした。ピアノも弾けるとか、ホストの方って少女漫画や乙女ゲームに登場する男の子そのものなんですね。

霧夜:
 ありがとうございます。

── さて、前置きはこのくらいにするとして、今日はホストにまつわるいろんなことを教えてください。
 いきなりで申し訳ないのですが、一二三は29歳なんです。正直なところ、ホストとして30歳手前という年齢はいかがでしょうか?

霧夜:
 あっ、一二三さんは僕より年上の方なんですね。

──えっ!? 霧夜さんはお店の代表ですよね。それでいて、一二三より年下となると……、一二三は……。

霧夜:
 いやいや、ホストで29歳というのは“とても脂がのったいい時期”なんです。10年ほど前は、25歳で「旬が過ぎた」と言われていたのですが、最近は成熟して落ち着いたホストを指名されるお客様が増えてきているんです。昔に比べるとホストが現役として働ける寿命も伸びていて、AIR GROUPには30歳前後のホストが多く在籍しています。

 ところで、その一二三さんが生きてらっしゃるのは“現代”なんですかね? ほら、2次元の方々は世界が違うこともあると思うので……。

── 武力による戦争が根絶された“H歴”という時代の方です。

霧夜:
 なるほど! 今の時代で20代後半から30代前半のホストは、十分にプレイヤーとして輝いているので、過去じゃないなら、きっと一二三さんもホストとしていい感じの年齢なのではないでしょうか。それに、その年齢なら幹部ホストかもしれませんし! ホストクラブには、まずエグゼクティブプロデューサーや代表がいて、さらに幹部とよばれる役職付きのホストが存在しています。

──役職? ホストクラブには“代表とNO.1プレイヤーがいる”という大雑把な知識しかなく……。そんなにたくさん役職があるんですね。

霧夜:
 そうですね。店によって多少の違いはありますが、エグゼクティブプロデューサーと代表取締役を筆頭として、取締役 → 総支配人  → 支配人 → 主任 → 副主任という並びになります。いわゆるこれが“幹部”と呼ばれるものになり、ひとつのラインが引かれるところですね。

──総支配人?

霧夜:
 総支配人は“部長”みたいなポジションです。
 そして、中堅と呼ばれる役職として幹部 → 幹部補佐 → ホスト長 → キャプテン、最後に役職がまだない若手や新人のホストとなります。

──となると、若手や新人が“ホストの下積み”イメージにある掃除をするんですね。

霧夜:
 あっ、いえ。AIR GROUPは掃除やおしぼり洗浄はすべて業者にお任せしているので、掃除の文化はありません。もちろん、開店準備はありますが、あくまでテーブルセットですね。

──えっ!? 掃除をしない!?

霧夜:
 少し前までは、売上の少ないホストがオープン前と後に掃除をして帰る……というのが通例でした。僕も新人のころは、掃除やおしぼりの準備などをしていた時代がありますよ(笑)。そう考えると、昔のほうが厳しかったかもしれませんね。

──ホスト業界は体育会系で若手の頃は大変というイメージがあったのですが。

霧夜:
 以前は“名札”という文化があり、売上が10万円に届かないホストは“お客様に名前を覚えていただくように”と、胸に名札を付けていたんです。ただ、逆にいえば、名札を付けていると“まだまだ駆け出しです”という証拠にもなっていました。
 まだAIR GROUPに入る前で別のお店にいた頃ですが、新人だった僕も「私の席では“名札”をヘルプにつけないで」とお客様から、お酒をかけられたことがありましたよ。当時は「なんでだよ!」って感じでしたけど、今となってはいい思い出です。

──明確な上下関係を示すものだったんですね。

霧夜:
 「役職があると指名がもらえる」ということもあるので、新人のころは役職をとにかく目指すものなんです。

──その“名札”がなくなった今も、やはり新人には厳しい世界なのでしょうか?

霧夜:
 指名を頂いてナンバーに入ることは、今も昔も厳しさは変わらないと思います。ただ、最近のお客様は総じて、新人のホストがヘルプについても「楽しいなら新人でもいいよ」という方がほとんどなので、精神的に安心して接客に取り組めるような気がします。

──客側の女性も時代とともに変化しているんですね。

霧夜:
 お客様の幅が広がったというのが理由にあるのかなと思います。以前は、それこそ『夜王』に登場するような、“ザ・ホスト”が大好きな女性が多かったようにも感じますが、今はホスト側の服装もカジュアルになったためか、さまざまな年齢層や職種の方が遊びに来てくださいます。

──カジュアル? 今日の霧夜さんはスーツ姿でキメキメですが……。

霧夜:
 今日は“取材をしていただける”とのことだったので、「ホストらしさ」をイメージしてスーツにしました。いつもはもっとカジュアルですね。お店のコンセプトにもよりますが、最近は特别なイベントや撮影のときにしかスーツを着なくなってきました。

──たしかに、いただいた名刺の写真がとてもポップでかわいくて……若手俳優みたいです。

霧夜:
 名刺の写真はグラビア撮影のものなので、さすがにカジュアルすぎますけどね(笑)。「ALL BLACK」の場合は“アイドルに会いに来た”という感じで来店されるお客様も多いんです。

──言われてみれば、歌舞伎町に入ってから見たホストクラブの看板も「ザ・ホスト」というものではなく、かわいい系が多かったように感じます。

霧夜:
 ちなみに、看板にも記載されているんですけど「ALL BLACK」には“職業、イケメン”というキャッチフレーズが存在します。もちろん、「ALL BLACK」はイケメンが勢揃いですよ。

──ものすごいパワーワードですね! 「イケメンを自称する」って、かなり自信がないとできないことだと思うので……。さすがです。

■ドンペリでシャンパンコールはもう古い!? ひと晩の売上が2億円!?

──踏み込んだ質問をさせていただくのですが、お客様の醍醐味って、やっぱり高いお酒……つまり“ドンペリ(ドン・ペリニヨン)”の注文などなんですよね?  

霧夜:
 ドンペリ……ですか。今はほとんど注文が入りませんね。僕は5年くらい前から「ALL BLACK」で働いていますが、その当時もドンペリはメジャーではありませんでしたよ。

──“ドンペリ”がメジャーじゃない!? それは……、まったく知りませんでした。なんだか、とても衝撃的です。では、今はシャンパンというと、どんな銘柄が好まれているんでしょう?

霧夜:
 今はシャンパンでいえば、“アルマンド(アルマン ド ブリニャック)”です。アルマンドにもランクがたくさんありますが、一番高い銘柄でいうと、“シルバー(アルマン ド シルバー)”です。大阪のキャバクラから流行し始めたなんて話も聞きますよ。

──メニューを見ても0(ゼロ)がたくさんでよく……。1,000,000……。アルマンドのシルバーの値段は100万円!? ひぇぇ~。……注文が入ることってあるんですか?

霧夜:
 はい。たくさん注文をいただいていますよ。

──なんというか言葉がうまく見つからないです。あの……もっとお高いお酒がメニューに書かれているのですが……。

霧夜:
 クリスタルのことですね。クリスタルは、「リシャール」や「ルイ13世」などの高級ブランデーのことで、フランスのバカラ社のクリスタルボトルにお酒が入っているので“クリスタル”と呼ばれています。

──お酒を入れるボトルが“バカラ”……。ブランデーも一番お高いものですと、また0がたくさんで……“ルイ13世 マグナム”が10,000,000……1千万円……!?

霧夜:
 はい。「ルイ13世 マグナム」はホストクラブでもめったに注文されることがなく、オーダーが入ると辺りが騒然とするほどの逸品です。
 「ヘネシー リシャール」は、以前は200万円くらいだったのですが、今は300万円を越えました。最高級のブランデーはどんどん入手困難になっていくので、希少価値が上がっていくんです。

──なんだか金額の桁がすご過ぎて、頭のなかの電卓が狂ってきました。

霧夜:
 もちろん、ホストだからといって誰でも高級なシャンパンやブランデーをお客様から頂けるわけではありません。だからこそ、高級なお酒を振る舞っていただけてこそ「ホストとして成功している」証となり、みんなそれを目標にして頑張っています。

──あ! メニューのなかにシャンパンタワーの文字が!! じつは『ヒプノシスマイク』が「カラオケの鉄人」とコラボしたときに曲をイメージしたコラボドリンクが発売されたんですけど、一二三のドリンクはシャンパンタワーだったんですよ! 

霧夜:
 それはすごい。さぞ、一二三さんも喜ばれたことでしょうね。……ということは、ファンの方の中にはシャンパンタワーの経験者がいらっしゃるんですね。

 ──そうなんです! とはいえ、あの日から現実のホストクラブでのシャンパンタワーってどんなもんだろうか……と妄想する日々が続いているんです。
 メニューには「値段:Ask」と書かれてあるのですが、おいくらぐらいからできるものなのでしょうか?

霧夜:
 シャンパンタワーは100万円からですね。注文いただくシャンパンの本数によって、シャンパンタワーの高さやデザインが変わります。最近は凝った装飾のシャンパンタワーも多く、担当のホストとお客様が相談して決めていくんですよ。

──疑問なんですけれど、シャンパンタワーは即日OKなのでしょうか?

霧夜:
 基本的には予約制です。

──なるほど! タワーの予約が入った日は、ホストの皆さんで積み上げて作るのですか?

霧夜:
 いえ、シャンパンタワー設置の専門業者に発注することになります。注文はやはり、イベントのときが多いですね。

──専門業者まであるんですね! 驚きました。ところで、「イベント」という単語がでてきましたが、どんなイベントがあるんですか?

霧夜:
 季節物のイベントだとクリスマス、バレンタイン、ハロウィン。ほかにはホストの役職が上がったときに行なわれる昇格祭、店舗の周年イベントなどがあります。

霧夜:
 いろんなイベントがありますが、ホスト個人としては「バースデーイベント」がアツいですね。

──「聖誕祭」というやつですね! ちなみに、一二三の誕生日は6月22日なんです!

霧夜:
 ファンがとても多い一二三さんですから、きっと盛大なバースデーイベントになりそうですね。

──来年のバースデーが今から楽しみです! ところで、バースデーイベントでは何をするんですか? 一二三をお祝いするためにも知っておきたいんです。

霧夜:
 ホストにとって大切なイベントなので、ひと月以上前から準備を始めます。まずは、宣伝用と当日お店に張り出すための「バーステーポスター」の準備です。

──まさかバースデーのために撮影するんですか?

霧夜:
 はい。これまでに撮影した写真を使うこともありますが、ほとんどのホストは、コンセプトを決めた上で写真を撮り下ろし、ポスターのデザインを発注します。
 AIR GROUPの場合だと、グループ専用の撮影スタジオがあり社内デザイナーもいるので事務所スタッフが作ってくれるんですよ。

 ほかにも、僕はPVを作りました。PVを作るホストはあまりいませんけれど、僕は作りました(笑)。PVはSNSにアップしています。

──えっ、それはどこで流すのでしょうか?

霧夜:
 作った動画はバースデー当日にお披露目して、その後は僕のお客様がシャンパンを入れてくださったときに店内のモニターで流します。
 あとは「オリシャン」……つまりオリジナルシャンパンの準備ですね。

──すごい……顔が印刷されているだけでも驚きですが、ボトルがピカピカに光ってる!

霧夜:
 これは昇格祭を行ったホストのオリシャンですね。以前は、スワロフスキーでデコレーションしたものや彫刻加工されたタイプが多かったのですが、今は光るタイプが流行っていて、最近のオリシャンはかわいい系のデザインが多いですね。
 そしてバースデー当日に、シャンパンタワーをしてくださるお客様とデザインの打ち合わせをします。事前準備はだいたいこんな感じかな。

──事前ですでにそんなに大がかりだと、当日はどうなっちゃうんですか?

霧夜:
 今年の僕の場合、3月18日と25日の日曜日2回にわたって催したのですが、本当に「ホストをやっていてよかったな」と思えるぐらい盛り上がりました。
 1週目18日のタワーは、ゴールドに輝く金のシャンパングラスを複雑に組み立てていただきました。名付けて「ドバイタワー サグラダ・ファミリアVer.」です。

──……わぁ。シャンパングラスにゴールドがあることを初めて知ったのですが、そんな驚きをかき消すほどの圧巻っぷり。

霧夜:
 2週目の25日は、「不思議の国のトランプタワー」でした。バースデーはホストにとっても一大イベントなので、仲間たちもお祝いしてくれます。最後は胴上げをしてもらいました。

──となると、バースデーの当日は指名だらけ?

霧夜:
 そうですね。僕の場合は自分の本指名のお客さん以外の方からも、シャンパンを入れて祝っていただくことも多くあります。
 ヘルプの席でも気を抜かずに普段からお客様と向き合っていれば、自然と皆さんが祝ってくださるんです。もちろん、飲んで飲んでベロベロですけれど(笑)、それ以上に感謝の気持ちに包まれますね。

──ホスト業界のバースデーは“ものすごい”というイメージでしたが、想像以上でした。

霧夜:
 いやいや、まだまだ盛り上がるイベントはありますよ。AIR GROUPはお話をした通り系列店舗がたくさんあるので、その全店舗を代表するトッププレイヤーたちが一堂に会して、ひと晩の売上を店舗ごとや、個人で競う「Dream Night」というイベントがあります。去年は12月16日に開催されました。

──まさに、ホストクラブ版の“ディビジョン・バトル”!  それはお客様も燃えますね。

霧夜:
 同じグループとはいえ他店舗とは良きライバル関係ですからね。トッププレイヤーだけの個人ランキングがあるため、それはもう熾烈なバトルです。

──わかります。やはり推しにはテッペンをとってほしい! とはいえ、トップホストの集まりともなると、売上がすごそうですね。

霧夜:
 ひと晩で総売上が2億円でしたね。

──億!!?? 

霧夜:
 はい、2億円です。

──えっと……。いろいろ突っ込みたいところではありますが、シャンパンタワーはどうされるんですか? たくさん注文が入りそうなイメージがあります。

霧夜:
 時間が限られているので、前半と後半で2回までと決められているので、オークション制です。

──オークション!? 値段を想像してもしきれません……。

霧夜:
 「Dream Night」のときは、営業終了までずっとシャンパンコールが鳴り響いているんですよ。

── 一二三の歌は「シャンパンゴールド」といってテーマがシャンパンコールなんですよ。どのくらいのお値段のシャンパンを注文したらシャンパンコールをしてもらえますか?

霧夜:
 お店によってさまざまだとは思いますけど、「ALL BLACK」の場合は、5万円以上のシャンパンからコールをさせていただいています。テーブル会計だと合計10万円ぐらいからといった感じですね。

──2億円という金額の後だからかもしれませんが、意外とお手軽なんだな……と。

霧夜:
 じつはシャンパンのお値段によってコールの種類があるんです。店舗によって異なりますが、「ALL BLACK」では10万円ぐらいまでで“通常のコール”、20万以上で“歌コール”というちょっと長いコールになります。
 100万円を超えると“オールコール”と呼ばれるものになり、ホスト全員がお客様のもとに集うので盛大なシャンパンコールになりますよ。

──「シャンパンコール」といってもいろいろあるんですね。

霧夜:
 そうですね。そうそう、タワーといえば「シャンパンタワー」のイメージが強いかもしれませんが、最近は気軽にできる「コカボムタワー」が流行っています。

──コールやタワーに種類がいくつかあったことが驚きですが、そこにもブームがあり時代とともに変化しているんですね。

■「社食」があるってどういうこと? 最近のホストクラブ事情に迫る

──ホスト業界についてお伺いしてきたのですが、つづいて霧夜さんのパーソナルな部分も教えていただければ。2016年11月27日に出演された「スクール革命」(日本テレビ)によるとホストになったきっかけは“女性不信”だったとか……。

霧夜:
 ……すごいところから情報を引っ張ってきますね。2年前に放送された番組じゃないですか(笑)。

──霧夜さんのインスタグラムに書いてありました。なんだか、一二三と似てるなーって(笑)。霧夜さんは、ずっとホストひと筋だったのでしょうか?

霧夜:
 (笑)。僕はもともと19歳くらいのときに、大学へ通いながら別系列の店舗でバイトとしてホストをしていました。そのころは、自分に自信がなくて、女性不信。自信をつけようと武者修行のためにホストになりました。
 当時はお客様の女性を前にしたときに、全くしゃべれていなかったのですが……なんだか、とてもチヤホヤされて、入店3カ月ぐらいでナンバー1になれたんですよ(笑)。

 とはいえ、学生だったので学業を優先して半年ほどでホストを辞め、大学卒業後は企業に就職したんです。

── ちなみに、お勤め先は……。

霧夜:
 秘密です。まぁ、みなさんもご存知の会社ですよ。会社員の頃は、自分が大きなプロジェクトに携わっている実感はあったんですけど、もっと個人で億単位を稼いでみたいという感情が強くなり、僕には歌舞伎町が向いている! とホストに戻ってきました。

── 有名な企業を辞めてホストの道を選ばれていたとは。ちなみに「ALL BLACK」にはどういう流れで入店されたのですか?

霧夜:
 他系列の店舗で働いていたときに「AIR GROUPで働いてみなよ」とお客様にアドバイスを頂いたことがきっかけですね。でも、実際に体験入店をしてみると「この店、イケメンが多すぎてヤバい」と感じてしまい(笑)、そのときは別のお店に入店しちゃいました。

──確かにAIR GROUPの系列店舗は、どのサイトを見てもイケメンばかりでした……。

霧夜:
 当時はホストひと筋と決意していなかったのですが、大学を卒業し、会社員を辞め……すべてを捨ててホストになったのに「最大級の店でトップを目指さないでいいのかな? 将来、自分の生き方を振り返ったときに恥ずかしく感じるかもしれない」と思うようになったんです。
 そんなとき、現・エグゼクティブプロデューサーの桐生レイラさんに「ALL BLACKにおいでよ」と声をかけていただいたので入店しました。

──なるほど。そして、今や代表に……。ホストといえば「売上ナンバー1」の座を目指すというイメージですが、代表ともなればその争いは関係なくなり、みんなを見守る立場になるんでしょうか?

霧夜:
 基本的には、ナンバー争いから外れて“殿堂入り”することが多いんですけど、僕は、みんなに自分の背中を見せることで共に成長できるかなと考えているので、売上の競争に入ってます。今はホスト本来の仕事と代表の業務をこなしている感じですね。

──「代表の業務」と言われても、イメージが湧かず……。

霧夜:
 店舗関係では、売上の管理はもちろん、幹部同士で店の方針について会議をしています。従業員のホストひとりひとりも気にかけていますね。
 その他に、グループ店の各代表や経営陣とのミーティング、各種撮影、そして挨拶回りなどがありますね。

──撮影って、そこに挙がるほど頻度が高いんですか?

霧夜:
 AIR GROUPはメディア露出頻度が高くそれに伴い、TV、雑誌を中心にいろいろな撮影があります。またグループのPRとして『ABC』という専門誌が年に2回ほど無料配布されているので、その誌面づくりの撮影があります。だから、撮影回数は年間を通して多いんです。

──雑誌の分厚さが1cm以上ありますけどフリーペーパーとは豪勢ですね。それにしても、なんだか大忙しじゃないですか?  代表ともなるとお休みを取ることが難しそうです。

霧夜:
 時間を作ろうと思えば、海外に行く余裕も持てますよ。今年は、プライベートと社員旅行を合わせて5回ほど行きました。

──社員旅行!? 

霧夜:
 恒例行事として店舗ごとにあるんです。行き先はリゾート地が多く、今年4月の社員旅行はハワイで、ハワイ島のキラウエア火山やオアフ島まで足を伸ばしました。

──これがホスト流の「旅先での思い出写真」なんですね。クオリティーが想像を越えています。

霧夜:
 あとはグループ内の幹部だけでいく「幹部旅行」があり、今年は2月にロサンゼルスとラスベガスに行きましたが、カジノで200万円ほど募金しちゃいました。

──つまり、負けたと。

霧夜:
 そういうことですね。プライベート旅行だとイタリアやフランスも訪れましたよ。

──疑問なんですけど、海外旅行によく行くということは……もしかして英語が喋れたりするんですか?

霧夜:
 流暢に喋れるわけではありませんが、海外旅行で困らない程度には話せます。

──すごい……なんか、愚問ですみませんでした。ところで、ホストクラブといえば、同じ店舗同士でも派閥があり、「隣のヤツは敵だぜ」とギスギスした血みどろ関係なのかと思っていましたが、話を聞いてると楽しそうですね。

霧夜:
 “血みどろ”……ドラマと漫画の影響がすごいですね(笑)。もちろん、みんなライバルで僕も負けたくないですけど、ホストはチーム力が大切なんですよ。月の指名が150本を超えると、毎日7~8件ほど指名をいただくことになります。そのときは、ヘルプをしてくれる仲間たちが助けてくれるんです。個人プレイでどうにかしようとするホストはトップになれません!

──“トップになる”という言葉が出てきたのでお伺いしたいのですが、指名をもらえるようになるまではとても大変だと思うんですよ。トップを目指す新人たちはどのような暮らしぶりなんでしょうか? 

霧夜:
 そうですね。新人のホストたちは寮に入り、共同生活をしています。食事は自炊をすることもありますが、従業員だけが利用できる「かぶきっちん」という食堂にお世話になります。

──ホストクラブに社員食堂があるんですか? 

霧夜:
 厨房があり専用のシェフが作ってくれる料理が絶品なんですよ。なんと、1食300円から用意されています! 安くて量も多いので僕もALL BLACKに入店したころはカレーライスばかり食べてました。

──良心的なお値段ですね。……今の時代、ホストクラブに社員食堂って“あたりまえ”なんですか?

霧夜:
 いえいえ、とても珍しいですよ。「かぶきっちん」は社員食堂のほか、お客様のフードを調理してくれています。温かい料理がホストクラブで食べられるのはシェフたちのおかげなんです。

──ローストビーフ、ビーフシチューハンバーグ、海鮮丼にマルゲリータ、たこ焼きに唐揚げ。飲食店なみのラインナップですね。これが「おもてなしの精神」なのか……。

霧夜:
 ほかには、系列店にヘアサロンがあるので、出勤前はそこでヘアセットしてもらえます。普通の男の子が一人前のホストになるには“身なり”が大きなポイントとなります。
 だから、髪型のことはヘアメイクの方に、服装や写真の撮られかたはスタジオの方に相談することで洗練され、“トップホスト”への道が切り開けていくんです。ホストは、自分磨きを極めることも仕事ですから。

──そのサポート力が「イケメン力」に繋がっているわけなんですね。ところで、霧夜さんも髪型がバッチリきまっていますね。月にどのくらいヘアサロンに通って、おいくらほど髪に使っているんですか?

霧夜:
 出勤する日は毎日ヘアセットをしてもらいますし、美容室には1~2週間の頻度で通ってメンテナンス。カラーを明るくすると手入れが大変なんですよ。……月に20万円ぐらいは髪の毛に使ってるかも。

──20万円……。もう言葉になりません。

■オフからオンへ! ホストモードになるための5つのルール

──先ほども少し言いましたが、オフの一二三は極度の女性恐怖症なんです。ところが、スーツを着るとそれが一変、一流ホストへと変貌するんですよ。霧夜さんにも、ホストモードに入る“気持ちの切り替え方法”はありますか?

霧夜:
 もちろんあります。身なりを整えて、髪をセット。鏡をみて「俺は今日もカッコイイな!」と気合いを入れるんです。
 僕の中には5つのルールがあり、「今日は元気が出ないな……」という日はそのルールを思い返し、仕事に向けて調子を整えるんです。

 まずは「自分が世界で一番カッコイイと思うこと」。これはとても大切にしていています。自分が自分の魅力を感じないままお客様に対するのは失礼ですからね。
 2つめに「必ず前に出る、選択肢を与えられたときに、攻めの姿勢でいること」。ホストは肉食的な気持ちがないと上にいけない世界なので、ここぞという場面においては、誰よりも早く前に出る!
 3つめが「酒!女!金!」。これはアウトローというか、ヤンチャな気持ちを忘れないということですね。

──歌舞伎町のなかでも負けずにアウトローでいるというのは、わかりやすいですね。

霧夜:
 細かい失敗でクヨクヨせず、気持ちを大きく持つことを心がけています。
 4つめは「すれ違いで振り返らない」。

──どういうことですか?

霧夜:
 恋愛でも「追いかけるか、追いかけられるか」というような駆け引きがありますよね。街で素敵な女性とすれ違っても“振り返られる側”でいる、という気持ちを持てということです。つねに「どんなに勝気で強気な女性でも、僕のことを好きにさせる!」という気概を持って挑んでいます。

 最後は「つねに戦う心意気を忘れない、戦場に挑む気持ちを持つ」ということですね。僕がホストモードにはいるスイッチはこの5つです。
 以前は、出勤前にテキーラなどの強いお酒を飲んで「今日はもう逃げられないぞ!」と気持ちを奮い立たせることもしていました。どちからというと、僕は自分を追い込んでいくタイプですね。

──インタビュー前にSNSを拝見したのですが、霧夜さんの内面はそこではやはり分からなかったので……。ですがこうして話を伺っていると、ホストとして歌舞伎町で生き抜くためには、やはり信条があるのだなと感じました。

■ホストの生態を調査! 生活リズムやショッピングの場所を解明

── 一二三は会社員の幼馴染と同居しているのですが、彼らの生活リズムが合っているのか、とても不思議なんです。参考までに、霧夜さんの生活リズムを教えてもらえますか。

霧夜:
 僕はホストの中では早起きで12時ごろに起床します。というのも、昼には経営陣とのミーテイングや撮影など代表としての仕事が入ることが多いので。昼間に時間があるときは、ジムで体を鍛えたり、仲間とフットサルをします。

 出勤時間は、開店作業がある新人のホストは18時ごろ。僕はお客様と同伴することが多いので20時ぐらい。そこから24時までが営業時間です。

──24時? ホストといえば「朝までパーティーナイト」じゃないんですか?

霧夜:
 そういうイメージが強いと思うんですけど朝まで営業ができたのは、ひと昔前なんです。今は風営法で営業時間が定められていて、深夜は営業してはいけないんですよ。そのため「1部営業、2部営業」というシステムになっており、夕方~24時までの営業スタイルが1部営業、日の出~お昼ごろまでが2部営業なんです。なので、「ALL BLACK」は1部営業のお店ということになります。

──知りませんでした。

霧夜: 
 一二三さんが過ごしている“H歴”の法律や条例は違うかもしれませんが、2018年の現在はこんな感じですね。
 24時頃まで営業したあとは、1時間ほどミーティングがあることもあります。その後、お客様とアフターでバーに行ったりします。帰宅するのは朝の6時ごろかな。

──うーん。そう考えると、ホストと企業務めの社会人との同居は難しいんですかね。どう思います?

霧夜:
 そうですね。一二三さんの帰宅時間が同居人の起床時間と考えると朝の挨拶ぐらいはできるかもしれませんね。まぁ、アフターがなければ早い時は25時ぐらいには帰宅するので。その日なら同居人もまだ起きているんじゃないでしょうか?

──なるほど。……というか、真剣に考えていただきありがとうございます。

──あらためてタイムスケジュールをみるとパワフルで驚くばかりです。みなさんの出勤形態はどうなっているのでしょう。

霧夜:
 バイトのホストはシフト制ですが、基本的には自由出勤です。とはいえ、ほぼ全員が週6で働いています。ナンバーを目指すためには、休んでいられません。

──向上心、闘争心がすごいんですね。となると、年末年始も働かれるのですか? これまでの話の流れだと「年越しイベント」がありそうです。

霧夜:
「ALL BLACK」は年末年始はお休みです。カウントダウン営業をしたいホストは、本店の「CLUB AIR」に集合して接客します。
 ちなみに、僕はお休みしました(笑)。

──では、お休みの日は何をされているのでしょうか?

霧夜:
 少し前まではインドア派だったのでゲームで遊んだりもしましたが、車を購入してからはアウトドアが楽しくなり、フットサル、ゴルフや登山といった感じですね。

──アクティブなんですね! ちなみに車は何を購入されたんですか?

霧夜:
 ポルシェのボクスターです。

──黄色だ~!!!!!!!! うぉぉ~興奮します!

霧夜:
 見学に行ったときにパッと目に留まって「黄色のスポーツカーなんて、今しか乗れない!」と思い、運命的かはわかりませんが、最終的に購入してしまいました。
 じつは、ボクスターを購入する前まではペーパードライバーだったんですよ(笑)。イエローの車体が引き立つ、黒一色のシンプルな内装が気に入っています。

──先ほどから、ガンガンと質問をしていて申し訳ないのですが、車の話がでたので購入するものについても教えてください。ちなみに、今日のスーツはどこのブランドでおいくらぐらい?

霧夜:
 これはイヴ・サン=ローランのスーツで、50万円くらいだったかな。

──50万円……! つづいて、アクセサリーもお願いします。

霧夜:
 左手はすべてSJXというブランドで総額80~90万円くらいです。右手の指輪はエルメスで28万円くらいでした。フランスに行ったときにエルメスの本店で購入しました。
 この時計はシャネルの“J12”で280万円くらいだったと思います。この“J12”というレーベルはとても有名で、安いものでは50~60万円から、上は300万円くらいまであるんです。そのなかでもこれは、月の満ち欠けがモチーフに入れ込まれているちょっと変わったデザインで、お気に入りなんです。

──ホストのアクセサリーといえば、“ジャスティン デイビス”や“クロムハーツ”らしいと聞いたのですが……。

霧夜:
 それは5年以上も前の話です(笑)。ホストによって好みはバラバラだとは思いますが、最近はカルティエ、ティファニーやハリー・ウィンストンをよく見かけます。

──なるほど。服装がカジュアルになったのに合わせ、シンプルなアイテムが好まれるようになったと。

霧夜:
 確かに、そうかもしれません。最近ではゴツゴツしたアクセサリーを付けているホストはあまり見かけませんね。

──みなさんどこでショッピングされるんですか?

霧夜:
 伊勢丹の新宿店メンズ館で買い物をするホストが多いんじゃないかと思います。男性物のハイブランドが全部そろっていますし、ショッピング後に出勤もしやすくて便利です。

──とはいえ、なかなか若手のホストが高級なブランド品を身に着けるのは難しいと思うのですが……。

霧夜:
 先輩が後輩に服をプレゼントすることもありますよ! 僕も昔、レイラさんからいただいきました。
 「ALL BLACK」は先輩と後輩がとても仲がよく、家族みたいな関係です。僕にとってレイラさんは、先輩であり、良き兄のような存在で、入店したばかりのころは、レイラさんの家に泊まらせてもらい、レイラさんの手料理をごちそうになりました。
 ほかにも、遊びや買い物に連れて行ってもらうなど、本当にずっと一緒にいさせていただきました。僕はレイラさんの背中を見て、今の自分があると思っています。

──レイラさんが霧夜さんに伝えたホスト精神を、霧夜さんが次の世代に繋げていくんですね。

霧夜:
 そうですね。歌舞伎町はホストにとっての戦場ですから。一二三さんに負けていない「ALL BLACK」のホストたちを堪能してください。 (了)



■ホストクラブを初体験! ドキドキが止まらない?

 ここまでのインタビューで、“ホストの実態”がわかったような気もしますが……、やはり実際に体験しないとその真髄を理解することはできません。
 そこで生まれてこのかたウン十年間……オタクとしてオタクらしく生き抜いてきた筆者が、ホストクラブに体当たりすることにしました!

 イケメンといえば2次元。アイドルの握手会にすら参加しことがないため、正直3次元のイケメンとの接し方は全くわかりません。女性を接客するプロフェッショナルたちを前に緊張でいっぱいですが、“ホストクラブの初回”を体験し、その様子をレポートさせていただきます。

 もちろん、お伺いした店舗は、霧夜さんが代表を務める「ALL BLACK」です。

■「姫」そのひと言が“別世界”への扉を開く

 「ALL BLACK」は、ホストクラブが軒を連ねる歌舞伎町の一等地に存在しており、21時になると周辺にはホストクラブを目指す女性の姿が多く見られました。いざ建物に近づくと、大きな看板がお出迎えしてくれます。

 ビルの2階にある店舗を目指し階段を上がると、“BLACK”の名前が表すようにラグジュアリー感漂う、黒の世界が広がっています。
 壁にはモダンなイラストとともに店名が刻まれているだけでなく、先月の売上ランキングの映像が映し出されていました。「漫画の世界だとランキング表って写真なのに、今の時代は動画なんだな?」そんなことを考えながらいざ……店内へ。

 高鳴る鼓動を前に深呼吸しいざ扉を開けると、目の前に飛び込んできたのは、眩しすぎる未知の世界。R&Bが流れ、シャンデリアや壁面のライティングがきらめく中、ハイブランドを感じさせる装飾が散りばめられた店内の様子にすでに圧倒され、思わずたじろいでしまいます。この時点で緊張感と混乱で、胸がはち切れんばかりです。

 「ようこそ『ALL BLACK』へ!」

 ホール全体に響き渡るかのような、男性のハイトーンボイスで我に返ったものの、心臓が激しく脈打ちます。なんと伝えたらいいものか分からず、しどろもどろになりつつも震え声で「初回……です」とひと言。慣れない空間を前に、声がうまくでませんでした。

 「初めての方ですね。身分証を確認させていただきます」

 そう言いながらカウンターから現れた男性は、細身の黒スーツを華麗に着こなし爽やかな笑顔。「いきなりホストが登場?」と思いましたが、彼は内勤の男性でした。

 そういえば、インタビューで霧夜さんが「ALL BLACKはイケメンが勢揃いですよ」と言っていましたが、受付からその真髄を味わうことになるとは……。「この調子だと、ホストが現れたらどうなってしまうんだろ」そんなことを考えながら、身分証明書を渡しました。

 「姫はこちらへどうぞ」

 その言葉に耳を疑いました。「姫?……姫! ひめぇ?!!!」激しい動揺が体中を駆け抜け、冷や汗が流れてしまいます。
 “女の子はいくつになってもお姫様”ともいわれますが、お姫様呼びは2次元にだけ存在するもの。しかし、3次元で、しかもこの歳になって呼んでもらたことにびっくり!

 驚きのあまり固まっていると、内勤の方が客席へと案内してくれました。その道中は、歩いているホストたちが筆者のためにモーゼの海割れのごとく通路を譲ってくれます。「これは、姫だ……」と感嘆。そして、ここが東京の新宿でありながらも、別世界であることを深く噛み締めたのです。

 そうして席に案内されたものの……「どこに座ればいいんだろう」問題が勃発。奥のソファーだろうと見当はつきますが、どのポジションに自分が座るべきか、こんなに悩む日が来るとは思いもよりませんでした。
 モタモタとしていると、「どうぞ、姫」とホストの方がそれとなく奥の席に案内してくれました。

 席に腰をかけると、ソファーの気持ちのよい弾力に驚くばかり! 高級感漂う毛並みを撫でながらも緊張のあまり深く腰掛けることもできず、ただ所在に戸惑ってしまいます。
 心を落ち着かせていると、おしぼりが手渡され、まだまだ若手と思われるイケメンホストが初回の説明をしてくれました。「……へぇ。ちゃんと説明してくれるんだ」なんだか意外です。

 お行儀がよくないと分かりつつも、ぐるりと店内を見渡すと、思っていたイメージとのギャップに驚きました。ホストクラブの店内といえば、隣の席が見えないほど薄暗い印象でしたが、思いのほか照明は明るく、私服のイケメンたちがひしめいていることもあってか、爽やかさすら感じられるではありませんか。

 お客様は、20代中頃~30代後半と思われる方が多く、これまた思い描いていた“ホストクラブに通う女性”のイメージとは異なりました。
 ホストクラブといえば『夜王』というイメージの筆者なので、お客様はもっとラグジュアリーなドレスで来店しているものかと……。

 服装は皆さんさまざまで、仕事帰りを感じさせるオフィスカジュアルな方や彼氏とデート風の装いの女性が多かったです。「カジュアルな格好でも大丈夫」と言われたもののパンツにTシャツなんて、なかば場違いかと思い挙動不審に陥っていましたが……、少し安心した瞬間でした。

 ホストたちの服装も「スーツは特別な日にしか着ない」とインタビューで語っていたように、みんなカジュアル! なんだか、“イケメンばかりのハイクラスコンパで楽しく飲んでいる”といった雰囲気さえ感じてしまいました。

 イメージと現実の光景のギャップに、正気を保っていられなくなりそう……。混乱と緊張の渦に巻かれたまま時間が過ぎていきます。

 すると、所属ホストの一覧表“男本(おとこぼん)”を渡されました。

 「どうぞ、3人のホストを選んでください」

 イケメンとはゲーム内の妄想デートで接してきた筆者。好みのイケメンは公式サイトに書かれているキャラクター属性と声優名で選んでいました。しかし、ここは3次元。「どう選べと!?」と選ぶ基準が分からず興奮。

 ひとまず深呼吸し、インタビューをした霧夜さんは確定。そして、可愛さ溢れる縁賀渉(えんがわたる)さんと、色っぽい美形の美咲蓮(みさきれん)さんを選びました。

 初回のセットに含まれている焼酎の“鏡月”が1本とビールが2本。そして、割り物(緑茶や烏龍茶、オレンジジュースなどから選ぶ、焼酎を割るドリンク)が運ばれてきました。とりあえず、筆者は飲み慣れているビールをチョイス。当然ながら、ホストが注いでくれます。

■「一流」と呼ばれるホストは伊達じゃない! “夜オーラ”にノックアウト

 さて、いよいよここからが本番……! ホストの登場です。
 まずは霧夜さん! お話を伺っていたときは好青年という印象でした。きっと霧夜さんなら、先ほどのように気さくに話せるはず!

 しかし、それはどうやらオフに近い姿だったのか……、目の前に現れた“ホスト・霧夜”は「背後にミラーボールでも背負っているのか!?」と見まごうほどのオーラ満載。スーツの効果も相まってか、周囲を圧倒するほどの存在感。その場に現れただけで、瞬時に空気が変わりました。

 「ぜ、全然違う! これがホストのスイッチが入ってるってことか!?」と、筆者はただ魚のように口をパクパクさせることしかできませんでした。

「ホストといえば歌舞伎町」といわれるほど、歌舞伎町はホストクラブの激戦区。そのなかでも最大級の大手グループに在籍し、なおかつ代表を務めているのだから、歌舞伎町でも数少ない“トップ・ホスト”というわけです。
 「どんな接客してもらえるんだろ」と脳天気にワクワクしていたのですが……。

 「隣座っていい? ごめんね、俺、耳が遠いからさ、もっと近づくね」

 あれ? 気がつけば、目の前にいた霧夜さんが、隣に座っていました。魔法だ……。「隣に座っていい?」とこちらの意思確認をしながらも、「俺、耳が遠いからさ」(本当は遠くない)と、お客様に近づくまでがスマート! それも、膝がぶつかり合うほどの密接な距離です。近づかなければ話ができない理由があるから、密着しても仕方がない。そう思わせるスキル……まさに一流の技。

 霧夜さんが隣に座ると、どこからともなく「良い香り」が鼻先をかすめました。イケメンは香りまでイケメン。いろいろと話しかけてくれるのですが、顔をまともに正面から見られない。困った……。

 清く正しくオタクという人生を歩んできた筆者。モニター越しに言い寄られることはありましたが、吐息が感じられるほどの距離でイケメンがイケメンたるセリフを発する瞬間に立ち会ったことがありません。筆者の返事は、ほぼすべて声にならず「恐れ入ります……、恐れ入ります……」のみ。それでも霧夜さんはにっこりと微笑んでくれていました。

 「すごい、手がすべすべで気持ちがいいよね」

  と霧夜さんが言葉にした瞬間! 気がついたら膝の上で手が握られていました!!!!!

 インタビューのときは物腰が柔らかったのに、これがお聞きした「どんな女も振り向かせる」という攻めの姿勢!? もしかして、これが、ホストのスイッチオン状態なのか!? 思わず胸のなかで「こんなん惚れてまうやろっ! 」と叫んでしまいました。

 よく「男は単純な生き物だから」なんて言いいますが、女も十分に単純でした(笑)。少女漫画の男性のような言葉をなめらかに紡ぐイケメンが目の前に現れたら……。「惚れてしまう、惚れてしまう」まさに、口から心臓が飛び出そう! これがリアル世界のドキドキ。

 筆者は“世の女性ヒエラルキー”で自分がどのあたりのポジションにいるか分かっています。切ないながらもトップやその次点に君臨しているような美貌を持ち合わせていません。そして何より悲しいかな、オタクです。

 もちろん、お客様を楽しませるための褒め言葉というのは重々承知ですが、心のどこかで「えっ、ヤダ……ホント?」と思わせてくれる力が、霧夜さんにはあるのです。

 というか、初対面なのに触られても嫌ではない。これは不思議でなりません。もちろん、これにはイケメンだからという条件もあるのでしょうが、それ以前に、他人のテリトリーにグッと入り込むオーラ力のなせる技ないでしょうか。

 そんななかでも、ホストクラブという未知の世界で「何を話していいかわからない」という不安は拭えません。普段友だちと楽しく会話するときは、それこそ共通の趣味の話題が多いからです。
 「住む世界が違い過ぎて、霧夜さんと共通の話題なんてないよ……」と頭を抱えたのも一瞬。話題をつねに提供してくれるトーク力によって、ただただそれに応えているだけで楽しいという空間ができあがっていました。

 思わず心を開放して『ヒプノシスマイク』について筆者が熱く語ってしまうなんてこともありました。それでも霧夜さんとは『ヒプノシスマイク』で会話が続くのです。ホストってすごい!
 そんなこんなで霧夜さんとの時間はあっという間に終了。「攻めの姿勢」とインタビュー中で語られていた姿を十分に堪能して背中を見送ろうとしたそのとき……

「俺以外の男にハマったらダメだよ。ハマるのは俺だけにしてね」

 と去り際の一撃にノックアウト!「キザなセリフをキレイに言える人類が存在するのか。これこそ、まさに王子様……」と、ただただ呆然とし、自分の心臓の音を感じた瞬間でした。

■次世代のNO.1を狙うルーキー登場

 次はどんな人に接客してもらえるのかな……とワクワクしながらビールを飲んでいると、そこに現れたのは……笑顔がひたすらキュートな弟系の縁賀渉さん。

 霧夜さんの「逃げることも許さない!」といった攻めの印象とはまた異なり、渉さんとは友だちと楽しく飲むような感覚。

 「僕のこと、可愛がってね」

 人懐っこさを感じる言葉に胸キュン! 彼の笑顔に導かれ、思わず筆者もニッコリと微笑んでしまいました。「あぁ、愛らしい。ひたすら愛でていたい」……やっぱり、キュンキュン。
 そんな渉さんですが、どきどき見せるヤンチャな一面がありました。

 「今度、ふたりでご飯に行こうよ!」

 「えっ……イケメンとご飯!?!?」と積極的な言葉にびっくり。なんでも彼はNO.1を目指しているんだとか。一生懸命に自分の夢を語ってくれる姿に、思わず母性本能が揺さぶられ「あぁ、キュン……」。

 そんなとき、スッと渉さんの手が筆者のビールグラスに伸びました。「なんだろう……」と不思議におもっていると、グラスについた水滴をお絞りで拭いてくれたのです! でも、視線は筆者を見つめたまま。「渉さんのような、弟がほしいなぁ~」と胸キュンが止まりませんでした。

 笑顔で可愛い渉さんとの時間も終わり。

 「僕との約束を忘れないでね、絶対だよ」

 と、言いながらごちそうさまの挨拶。キュートに手を振りながら去っていくその姿はまさに、愛らしい天使そのものでした。

 ホストとはいえ、雰囲気も接客スタイルも十人十色。自分の好みの男性を選べるなんて「これ、まさに乙女ゲームじゃないですか!」。いわゆる、ルート選択です。それも……3次元の!「どうしよう……どうしよう……」と悩んでいると3人めのホストが目の前に現れました。

■美形ホストからの褒め殺し旋風

 「3人めだし、さすがに少しは緊張もほぐれてきたような気がする!」と、ほんの少し油断したところに現れたのは、キリッとした目鼻立ちが、ハーフ俳優のような美咲蓮さん。

 ここまでホストオーラ満載の霧夜さん、愛らしい笑顔の渉さんと出会ってきましたが、蓮さんから漂うのは“色っぽいエロス”です。「おおお……!?」と一瞬および腰になりかけてしまいました。

 「いらっしゃいませ、お姫様」

 と、目の前で跪き、名刺を差し出してきたのです。「ひぇぇ……。そんなそんな、もったいないです」と、男性にかしずかれた記憶のない筆者はあたふた……。

 しかし、隣に座るなりスッと彼の手が筆者の背中にまわりました。次の瞬間、ぐっと身体を蓮さんに引き寄せられ密着!「ひぇぇ……。おっ、男の人の手……腕……ヤバイ。鼻血でそう」と頭が真っ白に!

 「キミの唇、かわいいね。その口紅、とっても似合ってるよ」

 お気に入りの赤い口紅を褒めてもらえて、筆者のテンションは爆上がり。女子会のようなノリでファッションや美容についての話題で盛り上がることができました。
 それにしても、いきなり褒める場所が“唇”なんて……なんだかドキドキしてしまい、エロスが漂ってきます。
 高鳴る心臓音を気づかれると恥ずかしい……。思わず「すみません、お手洗い」とエスケープ!
  蓮さんが筆者の前を歩き、エスコートしてくれました。確かにお手洗いの場所がわからないのでありがたいな、と思いつつ用を足し、外に出ると……。

 「なぜ、ここに……?」そこには、お絞りを両手に蓮さんがたたずんでいたのです。なんだか不思議な感覚……。

 どうやらこれは、レディーファーストのよう。その時「ここでは、姫だからか!」とその至れりつくせりモードに大興奮! 初めての経験に“少し恥ずかしく気まずさ”も感じましたが、やっぱりいい気分でした。

 「姫のかわいい瞳に乾杯!」

 こんな顔立ちのいい人に、こんなに気持ちのいい言葉をかけ続けてもらえることは、筆者の生涯において二度とない体験になるだろうと、蓮さんとの思い出を心のハードディスクに書き込みました。

■これがシンジュクなのか……

 まさに“夢のよう”だった90分も終わりの時間に。寂しいですがお会計のお時間になりました。今回は初回体験だったこともあり3000円でした。

 最後は、自分がまた会いたいホストを選び、見送ってもらえる“送り指名”というサービスがあります。名残惜しく思いながらも、今回出会ったホストの方たちの中から霧夜さんを選びました。
 なぜなら、彼が隣にいる間、筆者の心動が鳴り止まず、いままで2次元でしか体験してこなかった、王子様とのドキドキを3次元で味わわせてくれたからです。そう……霧夜さんこそが「私の王子様」だったのかもしれないと確信させてくれたからです。 

 ホストクラブにきたお客様の女性は、最後まで“姫”。霧夜さんは筆者の荷物を持ってくれました。

 「次はいつ会える?」 

 去り際にはさりげなく肩に手を回して囁く霧夜さんに、筆者は緊張のあまり膝から崩れ落ちるかと思いました。新宿屈指の店で、しかも“トップ・ホスト”による最高級の時を過ごすことができた……。
 お店を出て夜風を浴びても、現実とは思えない夢ごこちな興奮とドキドキが鳴り止むことはありませんでした。

 茫然とホスト街を眺めながら「これが病める街シンジュク“麻天狼”の力か……」と現実と『ヒプノシスマイク』を混同する始末。

 それにしても、皆さん総じて心身ともに距離が近かった! けれども、それをイヤだとは感じさせないオーラを持っていることには、驚くばかりです。
 お客様の本当に些細なところに気を留め、気を遣い、気持ちを盛り上げる。言葉にすると簡単にみえることかもしれませんが、それを自然に成し遂げるのは、一流ホストならではの技術や精神力なのだろうなと感じられました。

 きらびやかな看板を見上げると、普段見慣れているはずの街が変わったように感じられました。これが大人の階段を登ったシンデレラの気持ち……。「まだまだ終わらないパーティ」がこうして毎夜繰り返されていることに乾杯、私のアイスペールは愛で満たされたよOne Night……。

 伊弉冉一二三の暮らしぶりを知りたく突撃した、インタビューとホストクラブ体験。そこは、たしかに現実離れした夢空間ではありましたが、そこでトップを目指して日々バトルを繰り広げているホストたちの生き様には確固たる信条があったように感じます。

 シャンパンタワーにシャンパンコール、そしてホストの日常。興味本位で調べてもなかなか分からなかったアレコレに触れたことで、新宿歌舞伎町という日本一の歓楽街に身を置く伊弉冉一二三の素晴らしさに改めて乾杯したい気持ちになりました。

 そして、リアル世界で日々女性たちに、姫空間を与えてくれているイケメンホストにも乾杯です。

取材協力:AIR GROUP「ALL BLACK」

電ファミニコゲーマー:かなぺん、ミゲル

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