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ベネズエラの力士たち、経済危機で遠征断念も奮闘中

12/6(木) 14:41配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【12月6日 AFP】日本で著名人としてもてはやされている大きな力士たちと比べれば、彼らの体格は遠く及ばないかもしれない。だが、南米ベネズエラではワルテル・リバス(Walter Rivas)さんのような力士たちが、相撲という気高い格闘技とともに、次第にその名を知られるようになってきている。

 ベネズエラの力士にとって最も恐ろしい敵は、土俵の反対側からにらみ付けてくる対戦相手ではない。彼らを圧倒しているのは、国の深刻な経済危機だ。

「キング・ムサンパ(King Musampa)」のしこ名で知られるリバスさんは、カリブ海のこの国で初めてこの競技を学んだ選手の一人で、今では協会の会長を務めている。

 彼ら草分け力士の努力のおかげで、野球が国民的スポーツであるベネズエラで相撲は徐々に知名度を上げているが、サッカーやバスケットボール、ボクシングなどの人気スポーツに比べればまだまだだ。

 さらに力士たちが選んだ道は、数々の問題をはらんでいて険しい。ベネズエラでは基本的な食料さえ乏しく、ハイパーインフレにより物価は日に日に上昇しかねない。大半のベネズエラ人と同様にリバスさんも、体重が減らないよう絶えず苦心しなければならない。

 最近の調査によるとこの経済危機により、ベネズエラ国民の60%の体重が平均11キロ減少した。経済危機が原因で国外に脱出した人は2015年以来、200万人近くに達している。

 日本のプロの力士は体重が150キロ近いこともあるが、「私は115キロ未満の中量級で戦っているが、いつも15~20キロ下回っている」とリバスさん。

 だが身長174センチの筋肉質のボディーで対戦相手に体当たりし、若干劣る体重をスピードとテクニックで補うことにより、彼は2年前に南米チャンピオンとなった。

■スポーツ界全体に及ぶ影響

 相撲のベネズエラ代表チームは選手らの栄養ニーズに関して、国立スポーツ機構から支援を受けている。だが問題は栄養だけではない。

 中南米における格闘技の中心地、ブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)で9月に開催された南米選手権では、深刻な資金不足のせいでベネズエラ代表は出場を断念せざるを得なかった。このことは、男女3人ずつ計6人の選手を抱える国代表の相撲チームに大きな失望感をもたらした。「私たちは傷ついた」とムサンパさんは話す。

 しかも経済危機の影響は、ベネズエラのスポーツ界全体に及んでいる。

 ボクシングやバレーボール、ソフトボール、フェンシングなども、最近行われた国際選手権への出場を断念した。リオデジャネイロ五輪でボクシングの銀メダルを獲得したジョエル・フィノル(Yoel Finol)選手は、東京五輪に向けた重要な前哨戦となる中央アメリカ・カリブ海競技大会(Central American and Caribbean Games)への出場がかなわなかった。

■初代相撲取りの誇り

 ベネズエラで相撲が初めて公式にお披露目されたのは2012年、北部マラカイ(Maracay)で初の全国相撲選手権が開催されたときだ。

「私たちはベネズエラの初代相撲取りです。皆もとはレスリングや柔道、サンボなど別の競技を行っていました」とムサンパさん。「今では36クラブあり、国際大会でメダルを獲得しているマリア・セデロ(Maria Cedello)氏のような一流選手もいます」

 相撲を始めるスポーツ選手や愛好家も徐々に増えている。レスリングから相撲に転向したリバスさんは、相撲のトレードマークであるまわしに対しては及び腰であることを明かした。「友人が一生懸命、私の気分を盛り上げようとしてくれたけど、まわしを着けなければならないことには、いつもうんざりしていました」

 映像は、ベネズエラの首都カラカス(Caracas)で、7月27日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:12/6(木) 14:46
AFPBB News

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