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海の食物連鎖、能登で解明 金大グループ 九十九湾でクジラの骨沈め、腐敗観察

2018/12/6(木) 1:49配信

北國新聞社

 金大地球社会基盤学系のロバート・ジェンキンズ助教(古生物学)の研究グループが、能登町の九十九(つくも)湾で「海の食物連鎖」の研究を進めている。クジラの骨などを海底に沈め、生態系の根幹である「腐敗」を観察し、これまでにゴカイの仲間が食物連鎖の終わりと始まりをつないでいることが分かってきた。能登の里海をモデルに、腐敗を含めた海洋生態系の物質循環を明らかにする。

 世界の海には数十万を超すクジラの死骸が沈み、その肉や脂肪、骨を食べる小さな生き物が集まって生態系をつくっているとされる。これらは「鯨骨(げいこつ)生物群集」と呼ばれるが、水深千メートルを超える深海が多いため、見つけるのは難しい。

 研究グループは2013年から、能登町小木の金大環日本海域環境研究センター臨海実験施設に面した九十九湾に、ミンククジラの背骨の断片やアオウミガメ、アカウミガメの死骸を沈め、腐敗の観察を始めた。

 回収したクジラの背骨を調べると、骨の奥の脂質を食べるゴカイの仲間「ノリコイソメ」が多く付着していた。体長1~2ミリのノリコイソメは酸素の乏しい骨の隙間に入り込み、脂質を食べて分解を加速していた。ふんは骨の外に出され、海中の微生物の餌となって食物連鎖をつないでいた。

 また、硫化水素を食べる細菌と共生する単細胞生物「ツリガネムシ」も集まってくることが判明した。これまでの仮説では、ノリコイソメが現れた後、ツリガネムシが出現すると考えられており、この2種類の生物が同じ時期に見られたのは新たな発見となった。

 九十九湾は臨海実験施設の目の前で観測をしやすいのに加え、リアス式海岸で波が穏やかなため、海底に沈めた骨や死骸が流されにくいことが研究に適している。ジェンキンズ助教は「海底での腐敗のプロセスに、新たな考え方を示すことができたのは研究の成果の一つだ」と話した。

北國新聞社

最終更新:2018/12/6(木) 2:41
北國新聞社

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