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【LPGA新人戦 選手紹介】先輩からの助言で成長!大里桃子「強くて明るくてやさしいプロになりたい」

12/7(金) 8:52配信

ゴルフ情報ALBA.Net

12月6~7日の日程で開催される「LPGA新人戦 加賀電子カップ」。近年稀に見るスコアの伸ばし合いとなった2018年LPGAプロテストを突破した第90期生・21名が出場するが、それぞれの選手の個性を紹介する。

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ゴルフ界で熊本県出身と聞けば、誰もが思い浮かべるのが不動裕理。かつては平瀬真由美、さらには古閑美保といった賞金女王を数多く育ててきた環境からまた1人、大器が羽ばたこうとしている。今年のプロテストに2回目の受験で合格した20歳の大里桃子だ。

熊本で桃子といえば、こちらも賞金女王まで上り詰めた上田桃子があまりにも有名だが、今季の上田は未勝利に終わってしまった。替わりに…というわけではないが、大里はこれまでの苦難を乗り越え、見事にチャンスをつかみ初優勝を手にした。8月の「CAT Ladies」でのできごとだ。

「自分でも驚きました。プロテスト合格、誕生日、軽井沢でホールインワン、そしてCATで優勝。ずっと『おめでとう』と言われ続けていた1カ月でしたね(笑)」と、激動の夏を振り返る。

小学校3年、8歳のときに父に連れられて練習場に行ったのがゴルフとの出会い。「看板に当たったらお菓子を買ってあげるよ」という父からの言葉。遊び半分から始まったゴルフは、いつしか少女の人生の中心となっていった。

「当たらないと悔しかった。何に対しても負けず嫌いでした。うまくいかないときでも、なんとかしてやり遂げたいというのはありました」と、ゴルフもすぐさま上達。ところが、ゴルフ王国・熊本をはじめ、九州には大勢の強豪がそろっていた。自身の実力を客観的に知るのもこの頃だった。

「4年生のときに初めてちゃんとした試合に出ましたが、熊本でも5、6番目とか。うまく引っかかれば九州大会になんとか出られるという程度でしたね」と、成長は実感していたが、周囲の環境に驚いた。「やっぱり(勝)みなみが一番でしたし、すごいアンダーで回ってくるんです。60台の半ばとか、未知数の数字です。『なんでこんなにスコアが出るの?』と思っていました」。こういった経験が大里の闘志に火をつけた。

6年では九州のジュニア大会で優勝。中学2年では日本女子アマにも出場した。ここでは鈴木愛と同組で回り、翌年の同大会では藤田光里ともラウンド。全国区の選手のすごさを目の当たりにした。同じく2年のときには、日本ジュニアで3位に入ったが、「そこで私の中でスイッチが入りました。プロになろうと決めたのもその頃です」。

多くのジュニアがゴルフ中心の生活を送るなかで、「練習は週一くらいでした。ラウンドは土日」と控え目だった大里は、この日本ジュニアの結果をもって「もっと練習しないと」と、焦りとともにさらにやる気をみなぎらせた。4歳から始めたピアノ、学校の陸上競技も辞め、ゴルフ一本に絞った。

高校に入ると、部活での生活が始まった。「ライバルというか、いつも同学年の4人くらいのメンバーで団体戦に出たりして、すごく楽しかったのを覚えています」と、ゴルフ漬けの生活が始まった。

将来を嘱望され始め、頭角を現していく大里。ジュニア大会やプロトーナメントにも出場することが多くなり、そこで運命的な出会いをすることになる。29歳年上の大先輩、鬼澤信子だ。

「高校2年で初めて地元のKKT杯バンテリンレディスに出させていただいたのですが、そのときにご一緒させていただいて、『あと3秒速くプレーしようか』と言われたんです。わたし遅いんだなと思ったのと同時に、あまり考えすぎないでプレーしたほうがいいのだなと感じることができました」

1カ月後、マンデートーナメントに出場した「中京テレビ・ブリヂストンオープン」の会場で鬼澤を見つけ、小走りに近づき挨拶をすると、「どう?3秒速くなった?」と聞かれたという。「覚えていてくださったんですね。うれしかったです」。そんな関係から、大里にとって尊敬できる先輩となった鬼澤はのちに、プロテスト受験に必要な2人の推薦人のうちの1人となる。

高校を卒業して初めてのプロテストとなった2017年。同級生には前述の勝、新垣比菜、小祝さくらといった、今では黄金世代と呼ばれるスター候補生がズラリ。ここで大里はわずか1打足りずに最終で不合格。「合格した子たちの記事を見て悔しかった。でも気合しかないと思って、QTに気持ちを切り替えました」。ここでも鬼澤から「大丈夫だよ」と励ましの言葉をもらったのを覚えている。

悔しさを励みに、直後のファーストQTから文字通り気合を込めた戦いを続け、ファイナルまで進出。「その時点で、18年はステップなどの試合には出られる権利があったので、そこまでプレッシャーを感じずにできました」と、こちらは16位で通過し、今季前半戦の出場権をもぎ取った。

臨んだ初めてのレギュラーツアーは「最初は1週間が長かったし、きつかった。予選落ちが続いたときは、『私の実力はこんなものなのだな』と思って、すごくつらかったです」。5月までの13試合で6連続を含む8度の予選落ちを経験した。

予選落ちが続くなかで、またしても鬼澤からの言葉が、大里の気持ちを変えた。「シードを獲れば正会員になれるので、それを狙っていましたが、サロンパスカップの会場で鬼澤さんから『この成績なんだから、プロテストを受けなくてどうするの!』といわれたんです。私もこのままではまずいと思っていたので、それで今年も受けることを決めました」。エントリー期限間近で、再挑戦を決めた。

6月の「ヨネックスレディス」では初めてのトップ10入りを経験し、迎えた7月末の最終プロテスト。「ツアーでやっていたぶん、力はついていると思っていましたし、ここで落ちたらもう本当に終わりという覚悟でやりました」と、難なく3位通過。4日間で18アンダーという成績で、晴れてプロゴルファーの一員となった。

実はプロテスト直前にも先輩の言葉が身にしみたという。「直前の週のラウンドで成田美寿々さんと一緒だったのですが、スタートのところに選手名鑑が置いてあって、そこに去年合格した同級生の子たちの特集が載っていたんです。『同い年?』と聞かれて、『ハイ』と答えたら、『負けるなよ!』と言っていただけたんです」と、ここでも自らを奮い立たせてくれる言葉が合格を後押ししていた。

8月に入り20歳の誕生日。「NEC軽井沢72」ではホールインワンを達成。そして「CAT Ladies」でツアー初優勝。プロテスト合格からわずか23日の史上最速優勝を決めることになった。

突然訪れた初優勝後は苦戦が続き、予選落ちがかさんだが、なんとか賞金ランキングは49位。19年はツアー優勝者という立場での参戦が決まっているとはいえ、シード獲得の50位以内に入ることができた。

プロテスト失敗から1年後に待っていたシンデレラストーリーもシーズン終了とともに幕を閉じたが、すでに見据えるのは来季だ。「序盤からつまずかないようにしたいですし、トップ10の回数を増やして上位争いができればいいと思っています」と謙虚な姿勢で臨む構え。「まずはシード権です」と、おごることなく足下を見ながらの戦いを続けていく。

「スケールの大きいゴルフでビッグスコアをも出せると思うし、小技でもしっかりと魅せたい。まずは、地元のバンテリンで予選通過するところから(笑)」と、見る者を魅了するゴルフ、そして熊本での活躍を誓う。

新しいキャリアをスタートさせたばかりの20歳。最後に約束した言葉が印象的だ。「みんなに応援してもらえるような選手。みんなのことを思えるような、強くて、明るくて、やさしいプロになりたいです」。熊本が生んだ第2の桃子が、新たなステージで花開くために、さらなる成長を進めていく。

(撮影:ALBA)<ゴルフ情報ALBA.Net>

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