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“マツタケ風味”バカマツタケの完全人工栽培成功 開発者に聞く

12/7(金) 8:30配信

神戸新聞NEXT

 香りが良く、炊き込みご飯や土瓶蒸しなどで楽しめる秋の味覚、マツタケ。そんな高級食材と風味がよく似た「バカマツタケ」の完全人工栽培に、肥料メーカーの多木化学(兵庫県加古川市)が世界で初めて成功した。通年栽培が可能で、量産化できれば比較的手頃な値段で購入できる。10月の発表後、同社の株価は急上昇した。2012年から研究に取り組んできた同社の秋津教雄主任研究員(43)に、成功までの苦労やキノコへの思いを聞いた。(綱嶋葉名)

【写真】顔より大きい珍種キノコ「モミタケ」

 -会社の本業は肥料で、食品事業へは初参入だ。

 「この会社に入ったのは微生物に関する研究がしたかったから。大学院時代はキノコの研究に没頭し、入社後も暇を見つけては採集していた。12年、思い切って、新たな研究テーマにキノコの人工栽培を提案。すると当時の研究所長が『自分が本当にやりたいテーマならやったらええ』と背中を押してくれた」

 「どうせならインパクトのあるものを-と、バカマツタケを選び、長期テーマとして1人で研究し始めた。2~3年後に後輩1人が加わったが、思うような結果は出ない。しかし、諦めたら全てが終わる。毎年『来年になったらできます』と会社に訴え続けた」

 -研究の手法は。

 「先行文献を読み、他のキノコの栽培技術も応用して、多彩な環境条件や発生要因を試した。アイデアは山ほどあり、つらくはなかった。『いつか必ず成功する』という強い思いがあった。年月とともに経験値が増え、キノコの少しの違いにも気付けるようになった。数字に表れない細かな変化も全てメモを取った。おかげで結果を出せた」

 -完全人工栽培の成功は世界初で反響がすごい。

 「取材依頼や、農家から菌を売ってほしいという連絡が相次いだ。株価も一時は1万円超(発表前の約2倍)まで上がり、世間の注目度の高さがよく分かった。3年後の実用化を目指しているが、もっと早くほしいと望まれている」

 -完全人工栽培の強みは。

 「自然栽培では年に1度しか収穫できない。管理された環境だと栽培期間が約3カ月で済み、通年で楽しめる。空調が整備された屋内で育てるので、状態がよく見た目も整ったバカマツタケを提供できる」

 -今後の展開は。

 「自社での製造、販売を目指しているが、大量生産や流通など課題は多い。他社との連携も含め、より多くの人に食べてもらえる方法を探りたい。大量生産して、値段も下げていければと思う。バカマツタケやマツタケは、菌根菌という天然の木から栄養を吸収する種類。同じ種類には、ポルチーニやトリュフなど高級で美味とされるキノコが多い。意欲的に研究したい」

 -バカマツタケという名称については。

 「もともとマツタケより発生時期が早く、生えてくる場所も違うために付いたようだ。ブランドイメージを意識した商品名も検討したい。ただ、バカマツタケという名前だからより注目が集まったのも事実なので、迷っている」

最終更新:12/7(金) 9:04
神戸新聞NEXT

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