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低迷していた「カルピス」が、右肩上がりの再成長を遂げた理由

12/7(金) 7:40配信

ITmedia ビジネスオンライン

 「カルピス」といえば、子どものころに好きだった甘酸っぱい味を思い出す。そんな人も多いだろう。多くの日本人が慣れ親しんでいるカルピスは、2019年に誕生から100年を迎える。変わらない味のロングセラーブランドだ。

【「カルピス」出荷量の推移を示したグラフ。ここ10年は右肩上がりで伸びている】

 そのカルピスがいま、再び成長している。1990年代初頭に「カルピスウォーター」が大ヒットした後は伸び悩んでいたのに、ここ10年ほどは右肩上がりの伸びを見せているのだ。2018年も前年比5%増の販売目標を達成する見通しだ。

 誰もが知っていると言ってもいい、変わらない味を守りながら、再成長できたのはなぜなのか。そこにはロングセラーブランドならではの戦略があった。

ここ10年は右肩上がり、1.5倍に

 カルピスブランド製品の出荷容量の推移を見ると、1990年代中盤以降は40万キロリットル前後で横ばいが続いていた。ところが、2008年ごろからはほぼ毎年出荷量を伸ばし、17年には61万キロリットルを超えた。10年ほどで約1.5倍に増えている。

 その間、カルピス社の資本関係も変わっている。12年にアサヒグループホールディングスの傘下に入り、16年には同グループのアサヒ飲料と完全統合している。

 アサヒ飲料によると、カルピスの近代史には2度の低迷期があったという。2000年前後の時期はその2回目に当たるようだ。まずは低迷期の要因を振り返りながら、再成長の理由を解説する。

「白くて甘い飲み物」? 認識されなくなった価値

 99年前の1919年、内モンゴルで作られていた「酸乳」をヒントに、創業者の三島海雲が開発したカルピスは、日本初の乳酸菌飲料として世に出ることになった。「初恋の味」というキャッチフレーズととともに一般家庭に広まると、その後は高度成長期まで堅調な成長を続ける。

 ところが、80年代になると徐々に環境が変わってくる。お茶やスポーツ飲料など、屋外に持ち出してそのまま飲める缶入り飲料が普及してきたのだ。カルピスはコップに注いで薄めて飲むため、家で作って飲むことが前提。手軽な競合商品に押され、販売は落ち込んでいった。

 低迷していたカルピスを救ったのが、91年に発売した「カルピスウォーター」だ。薄めずにそのままカルピスの味を楽しめるという手軽さと新しさで大ヒットとなる。92年にはカルピスウォーター単体で2450万ケースを販売し、商品単体としては今でも過去最高の記録となっている。

 しかし、それ以降はヒット商品に恵まれず、2000年ごろからはお茶やミネラルウオーターのブランドも市場に定着。お茶や水を「買って飲む」のが当たり前になり、飲料の選択肢は増えた。それに伴って、価格競争も激しくなっていった。

 どうすれば再び低迷から抜け出せるのか。一つのきっかけになったのは、苦戦が続いていた07年に実施した調査結果だ。

 それはブランドにとってショックな結果だったという。カルピスのブランドイメージを調査したところ、「白くて甘い飲み物」というイメージしかなかったのだ。アサヒ飲料 マーケティング二部 乳性グループの田中孝一郎氏は「カルピスといえば乳由来の白色、乳酸菌による甘みと酸味。それがいつの間にか認識されなくなってしまったことに気付きました」と振り返る。

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