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「生理」について男女で対立するニッポン人 外国人が見るニッポン

12/7(金) 16:56配信

夕刊フジ

 【外国人が見るニッポン】

 皆さん、ズドラーストヴィチェ!(ロシア語でこんにちは!)

 生まれはロシア、育ちは関西、舞台は東京! ロシア系関西人の小原ブラスです。

 ここ最近TwitterやFacebook等のSNSで【生理のとき男性に知ってほしいこと】と題された投稿が日本人女性に評価され、人気を集めていることをご存知でしょうか?

 「毎月同じ日にやってくる訳じゃない!」 

 「汚してしまったパンツを洗う時が虚しい!」

 「イライラしてるの?と言われると更にイライラする!」

 「1日目より2日目のほうがヤバい!」

 「生理の症状は個人差が激しい!」

 おおよそこのようなもので、基本的には女性から「そうそう!そうなのよね。」と共感を集める形で広まっていったものと思われます。女性の生理は本当に大変そうですよね。

 この投稿には「私も本当に痛くて毎回救急車を呼びたいレベルなんです!」といったコメントの他に、「男性は生理がなくて楽そうで羨ましいわ!」や「彼氏にも読ませました!」と男性に理解をして欲しいことを願ったコメントも沢山ついていました。

 何を今さら? と思いますが、そもそもこの件に限らず、SNSではしばし生理や出産等「女性の大変さ」を扱う内容が話題になります。またそれと同時になぜか「男性は~」「男社会は~」と男性との対立を煽るようなコメントがされ、それが1つの人気のジャンル(?)になりつつあると感じます。

 もちろん生理は大変だろうし、男性も何とかそれを理解して「大変なんだね」と共感をしてあげたいところですが、「男は楽でいいわね」と言わんばかりの上から目線な投稿も目立つので、「それを理解してどうすればええねん」「男性に責任はないやろ」と素直に受け入れることを拒む男性が多いのも事実です。

 実際僕も「生理は金玉を強めに鷲掴みされたとき下腹部痛くなる感じ。その絶頂がずっと続いたような痛みなの!!」というコメントを見かけた時は、「何であんたが睾丸の痛み知っとるねん」とツッコミを入れたくなりました。

 男性は「どれだけ大変か」という“現状”よりも「じゃあどうしてほしいの?」という“要望”を手っ取り早く知りたいし、女性は現状がどれだけ大変かという部分に重きを置いて共感を得たいので、お互いに上手く思いが刺さらないのです。いかに男性と女性の脳の構造が違うのかということを感じさせられる一面でもありますね。

 世界的な女性の活躍・社会進出の波の中で、海外でも同じような対立が起きているのでしょうか。

 僕はロシアのSNSも利用しているのですが、男女の対立といえば「女性に痩せることを求める男はダメ」や「男性だからって乱暴する女はダメ」等色々ありますが、少なくとも生理の大変さで対立しているものは見た事はありません。「今日は生理、イライラする!」という女性の投稿は見かけるのですが、「男性も知るべきだ。」とするような内容のものはあまり見かけないです。

 なぜ日本の女性とロシアの女性で、この点に違いが出てくるのか正直不思議です。少なくとも1つ言えるのは、ロシアの女性の方が、生理にまつわる環境に満足しているのでは?ということです。逆に言えば、日本の女性は何かしら不満を抱えているということになります。

 生理にまつわる環境といえば、生理休暇の制度が充実しているのか?と調べてみましたが、どうやらロシアには生理休暇なるものはない様子。むしろ生理休暇という制度がある日本のような国の方が珍しいと言われているようです(まあ日本では結局取得が出来ないという問題もありますが)。

 女性の生理や出産にまつわる制度は、正直ロシアよりも日本の方が充実している印象です。日本の女性を不満にさせているポイントは制度や法律ではなさそうです。ではロシアと日本の女性の生理事情で他にどんな違いがあるのでしょう。

 1番大きく違うと感じるのは、日本人の生理に向き合う姿勢です。日本では普段の生活で「生理」という単語をあまり使いませんし、そもそも生理について話すこともありませんよね。男性の前で女性が生理について話している姿はほとんど見かけることがありません。それに男性は生理について話すこと自体がご法度な雰囲気です。

 仮に生理について会話をするとしても「女の子の日」や「あの日」と言葉を巧みに濁し、ヒソヒソ声で何だか麻薬の取引でもしているかのような雰囲気で話します。女性が「生理が大変だ」「男性も知って欲しい」と不満が言えるのは匿名のSNSだからこそなのです。

 ロシアではこの点がどうだったかを思い出してみると、平気で女性が「今日は生理なの!イライラするからくだらないダジャレは言わないで!」と男性に言っていた場面を思い出しました。男性も「プルーンを買ってきたけどいるかい?」という感じです。あ、プルーンというのは鉄分が豊富で生理中の女性の健康にイイとされているフルーツ、ロシアの女性は生理中によく食べるのです。

 日本ではあり得ないかも知れませんが、嫁が夫に「ナプキンを買ってきて」とおつかいを頼むことも普通です。日本では生理用品スペースに男性が近づくこと自体がマナー違反と言われかねない状況ですが、ロシアのスーパーでは生理用品スペースに男性がいることは珍しいことではありません。

 そもそも生理用品といっても、ナプキンやタンポンの他に月経カップ等様々な商品があります。ナプキンにも羽根つきタイプや羽なしタイプ等めちゃくちゃ多種多用で男性が選ぶなんて不可能なのではないかと思うかもしれませんが、自分の奥さんがどんな生理用品を使っているかを把握しておくのはロシアでは常識です。

 日本の男性は女性が生理中にお腹が痛くなったり、イライラしたり、出血することはある程度知っていても、どんな生理用品をどのように使っているかは知りませんよね。これは男性が女性と向き合おうとしていないのではなく、単純にそれを知る機会が無いのです。

 日本の小学校に通っていた頃、突然先生に「今日は女子は保健室で授業です。男子は外でドッヂボール」と言われ、戻ってきた女子に「何の授業だったの?」と聞いたら「先生が男子には秘密だって!」と言っていたのを思い出しました。

 何で日本の小学校の性教育は男女別でやるのでしょうか? 結局その後、男性である僕は日本で生理について教育を受けた記憶はありません。生理について男子に教えないのはイジメに繋がるからでしょうか。でも男子にそれを把握しておいて貰わないと、将来、無意識に女性をイジメることに繋がるのではないでしょうか?

 以前、男性社員に「生理をするならトイレに行け」と言われた女性が話題になったことがありましたが、生理はトイレのように自分でコントロールが出来ないものと教育を受けたことがない弊害がこれです。ナプキンのCMを見て、生理中は青い液体が出ると本気で思っていた友人もいました。

 このような男性の無知からくる悪意のない不親切が女性を不満にさせ、その結果男女の対立に繋がっているように感じます。そして「男性は生理について知らないのだから、生理中の女性には何も言ってはいけない。その大変さを知らないんだから、無条件に受け止めるべきだ」という考え方が広まっているように感じます。でもそれでは逆効果でしょう。

 元はと言えば女性の体を不必要に神秘的に、秘密主義的に扱いすぎたことが原因なのですから、さらに「生理」について触れてはいけない雰囲気を強めるのはいかがなものかと思います。

 生きていく上で男性には男性の大変さがありますし、女性には女性の大変さがあります。本来であればお互いの痛みを知って助け合うのが理想でしょう。女性は堂々と生理について隠さずに話せばいいですし、男性は分からないことがあればちゃんと聞けばいい。そしてその痛みが分かれば素直に「そんなに大変なんだね。いつもありがとうね」と言えばいいのです。男女逆の場合も同じです。

 1番やってはいけないのは「あなたは楽そうでいいわね」や「こっちだって大変なんだから我慢しろよ」と相手の痛みを理解しようともせず、自分のことだけを押し付けることです。そんなことでは平和な社会になりません。みんなで上手いこと、仲良くしましょうよ。

■ブラス 1992年4月20日生まれ。ロシアで生まれ、5歳の時から日本に移住。かつては某動画配信サービスで有名配信者であった。現在はサラリーマンとして働く。

最終更新:12/7(金) 17:49
夕刊フジ

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